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セブ島留学での社会人特化型語学学校がスゴい!

プレジデントオンライン / 2016年4月6日 14時15分

今年4月にオープンさせたMBA渋谷校にて、今後の展望を語るMBA代表渡辺和喜さん。「タイではフィリピン人が正しい英語を教えてくれる先生として尊敬されています。日本ではまだフィリピン人と言うと残念なことに夜のイメージをもつ人がいる。それを変えていきたいんです。日本で働くきっかけを提供することで、セブの講師陣のモチベーションも上がっています。(上)/同じ建物の中にある寮は、ビジネスホテルのイメージに近い。部屋には衛星放送が映るテレビと冷蔵庫が準備されている。掃除も週に2回入り、バスタオルも清潔なものが提供される。リゾートのイメージではないが、十分に快適に暮らせると言える。(下左)/なぜ、シャワーの写真? と思うかもしれないが、これはセブ島ではとても重要なこと。ホテルでさえ十分な温度と水圧のシャワーに出会えないことがある。その点、ここのシャワーは日本製であり、日本クオリティーで完璧とは言えないが、ホテル以上だった。(下右)

■30代以上のビジネスマン向け

第3回では、欧米留学について触れ、ビジネスパーソンが短期の留学で成果を挙げることの難しさについて紹介した。同時にセブ島留学の新潮流について取り上げ、激安を求めず、一流の講師陣と支払い可能な価格で学ぶ方法があると伝えた。第4回では、そうした新潮流の代表格であり、社会人の需要に特化しているMaster of Business English Academy(通称MBA)での体験について紹介していく。

MBAは基本的に仕事の経験があるビジネスマンのみを受け入れる社会人特化型の語学学校だ。代表である渡辺和喜さんもかつてセブ留学を経験したことがあり、その費用対効果に魅力を感じた。半面、学生時代から起業を経験していた彼にとって、同じ単語を覚えるにしても例文に恋愛の話ばかりが取り上げられる一般英会話の授業に不満を抱き、また教室や寮などの学習環境も改善の余地を感じた。

「自分が嫌だと思ったものをすべて取り除き、必要だと思うものを取り入れてこの学校をつくりました。例えば、セブにはまだまだ虫がでる寮なども多いのですが、個人的に大嫌いなので、徹底的に管理しました」。実際、滞在中にMBAでは虫を見なかった。

MBAには本気で英語を習得する意志のある大人が集う。なかには企業からの派遣で2カ月ほど来ている人もいた。起業家、投資家、転職の合間を使ってブラッシュアップにきているコンサルタントなどバックグラウンドはさまざまだか、ここでのこうした交流も醍醐味の1つになっているように思う。

ホテルやツアーなどでも言えることだが、ある程度の金額の学校であるということが、「真剣味」という意味での生徒のクオリティーを上げているように感じた。生徒数は、アットホームというほどに少なくはなく、顔が分からないほどに大きくはない。筆者の滞在時で30名程度だったと思う。適度な活気があった。

■完全なオンデマンド授業

なかなか言葉がでてこない時でも、ボディランゲージで会話を促してくれる様子が印象的。元記者だった経歴から言彙も豊富であり、正確さを伸ばすレッスンでは、筆者の会話をすべて真剣にノートに取り、その後一緒に間違いを探した。彼女からはインタビュー英語を教えてもらった。

MBAでは、どんなシーンで英語を使う必要があり、どんな英語を勉強したいのかについて事前のヒヤリングが行われる。そのうえでまずは適切な講師が選ばれる。

例えば、筆者の場合、以下のようなリクエストをした。見ての通り、個人的で、専門的だ。

筆者のリクエスト
【一般的なもの】
●ビジネスシーンでの基本的な用語のインプットがしたい
(意見の伝え方、企画提案の仕方、条件や日程などの調整、交渉 など)
●雑談ができるように、シーン別の日常会話を確認したい

【専門的なもの】
●企画、編集、リポートが専門フィールドなので、そこで使う言葉を覚えたい
●日本語の記事を書くために英語でインタビューをすることがあるので、インタビュー用語を習いたい。(取材前のスモールトークやインタビューの決まり文句、繋ぎの言葉など)
●英語で簡単なニュースを書く練習がしたい。
●ニュース読み、TVリポートの英語を習いたい
●もし専門の先生がいるなら、1コマTOEICに充てたい。

これらの要望を受けて、大学でマスコミを専攻し、メディア業界のバックグラウンドがある2人の講師がついてくれた。1人はまだ若いが通信社にて取材をし記事を書いていた女性、もう1人は地元のコミュニティーFMにてニュースを読んでいた元ラジオパーソナリティーだった。同じフィールドにいる彼女らとであれば、話がスムーズで、実践的な授業が受けられる。

まずはこの講師の配置に驚かされた。他と比べて授業料が安くないことと関連してくるが、ここには経営学を勉強していたり、米国系のオフィスで勤務していたことがあったりと、志が高くさまざまなバックグランドを持つ講師たちが集まっている。そして、特筆すべきは、皆、結果を出すことへの熱意に溢れていた。

■ゴールを意識した授業進行

マンツーマンレッスンでは仕切りのあるオープンスペースを主に使用する。この空間が講師同士のコミュニケーションを取りやすくしているように思えた。(上)/グループクラス用の部屋として仕切りのある部屋もいくつか用意されている。(下)

結果を出すためのしかけの1つに、「コアティーチヤー制」というものがある。MBAの授業は1日50分を7コマ(1コマのみグループレッスン)であるが、そのうち2コマはこのコアティーチャーと呼ばれる講師が担当する。計6人の講師が常に連携をとって生徒の伸び具合を見てくれるのだが、特にこのコアティーチャーがその中心的な役割を果たしている。

そのコアティーチャーから、初回の授業時にある提案がされた。リクエストに書いたフォーカス項目からTOEICを外させてほしいと言うのだ。「ここまで聞く限りあなたにTOEICは必要がないように思う。その分の時間を他のことに使わせてほしい」とのこと。単純に生徒の要望に合わせて1コマだけTOEICのクラスを入れてしまうことなど簡単だ。しかし、筆者の滞在期間4週間を鑑みてこのように持ちかけてくれたのだ。確かに、体験を終えてみて、中途半端にTOEICの授業を取り入れなくてよかったと感じている。

相談の末、1日の授業構成はこのようになった

1:ビジネスイングリッシュ(セミフォーマルな会議進行、交渉、e-mail)
2:インタビュー英語 (接続詞の効果的な使い方、インタビュー実践)
3:グループレッスン(プレゼンテーション、自社紹介、業界用語)
4:時事問題 (リーディング、単語、他のレッスンで覚えた表現の実践)
5:ビジネスイングリッシュ(決まり文句の実践)
6:日常会話(クレーム、パーティートーク、褒める表現、会話実践、など)
7:スピーチコミュニケーション(s、th、sh、イントネーション、強調法)

このように、プログラムはそれぞれの「目的」と「滞在できる期間」に基づいて考え込まれたものであり、生徒同士でコミュニケーションをすればするほどにそのことが分かった。徹底的なヒアリングにより、生徒によって内容や順序が大きく異なっているのだ。

例えば、7時限目の「スピーチコミュニケーション」という授業を例にとってみよう。これはつまり、「発音レッスン」のことだ。多くの学校で発音を学ぶ場合、日本人が不得意とするR、Lからスタートするか、もしくは母音から始めることが多いだろう。しかし、MBAでは違う。さまざまな先生へのヒアリングに基づき、「最も聞き違いを起こす懸念のある音」からはじめる。言いかえると、生徒が滞在できる期間中に「もっとも英語の質が上がる方法を探す」のだ。結果、私のケースでは「s、th、sh」から修正されることになった。

2週間が過ぎ、いくつかの発音修正が済んだあとには、こんなふうに言われた。

「RやLの音はできている時とできていない時がある。あと私が使える時間は2週間だから、1つひとつの発音はここでやめて、次はイントネーションに移りたいのだけれどいい?」

その結果3週目からはその週にCNNで使われているニュース原稿を使った特訓に移行した。それに伴い、この仕事をしているものとして、盛り上がる試練が与えられる。

「この原稿ちょっと長いでしょ? だから1分で読めるようにリライトしてきてほしいの。それを読んで録音して、明日聞かせて。他の先生にも聞かせるから本気でやってね」

なんという無茶ぶりだろうか。しかし、多少仕上がりが荒くても、講師と共に楽しんで取り組んだことは言うまでもない。また、この課題は、はじめに出した私のリクエストともリンクしている。4週目には、CMナレーションを扱い、英語の発音だけではなく、読むペースや強調の方法について指摘された。

筆者は日本でTVリポーターやナレーター、またプレゼンテーションなどのコミュニケーションを教える講師をしていたことがある。まさにそこで自分がやっていたことや教えていたことと同じことを英語で習っていることに面白味を感じ、授業以外の時間も懸命に練習してしまった。このように生徒の関心に合わせて、やる気にさせる方法もとても上手だった。

■実践の場が用意される

金曜午後のプレゼンテーションの様子。この日のために講師と二人三脚で準備をする

MBAでは、生徒の実際の需要に沿って多くの実践の場が用意される。

例えば、ビジネスイングリッシュの授業で筆者はセミフォーマルな会議進行法について教わっていた。仕事と自分の性格上、一般的なテキストにあるようなビジネス用語では、少々固すぎるのだ。よって、講師と相談し、もっとも自分らしい表現を選んでいった。これを実践に即して使う機会として、「模擬会議」が準備されたのだ。

「セブ島紹介の連載企画に関する予備取材」という本当にありそうな名目で、筆者を進行役にして、まさにセミフォーマルな会議が開かれ、初めて会う講師2名と筆者だけで、なんとか会議を進行していかなくてはならなかった。この取組みのゴールは「覚えたフレーズを自然に使うこと」「本当に企画ができるだけの情報を実際にヒアリングすること」であった。

また別の日には、インタビュー英語の講師から声がかかった。

「卒業式のあとに、時間ある? 講師を数名集めておくから、実際に記事を書くことを想定して彼女らのキャリアをインタビューしてみて! あ、事前準備はあえてなしで。書いてると読んじゃうからねー。卒業課題として頑張って!!」4名の講師に次々とインタビューをしていくと、不思議と日本語でそれをしているときと同じ気持ちになってきた。

なお、毎週金曜日の午後にはプレゼン大会が行われ、生徒、講師を合わせて60名程度の前でマイクを使ってプレゼンをする機会がある。参加は任意であるが、それぞれのレベルで多くの人がチャレンジする。こうした舞台が用意されていることも、この学校の姿勢が表れているのだと思う。

余談であるが、筆者のケースはプレゼンターではなく、司会をやらないかと誘われ挑戦してみた。司会業の経験のある先生が私の担当ではないにも関わらず付き添ってくれ、共に台本を書いて進行した。実に拙かったと思うが、本番と授業の間の経験として、いい機会だったと思っている。

このようにして講師の発案により、実践に限りなく近い場がさまざまな方法で用意される。「知っていること」と「使えること」の間に大きな隔たりがあるということは、少しでも英語学習に時間を費やした人であれば痛感しているはずだ。こうした実践は、時には至らない現状に気づかされ落ち込み、時には自信を与えてくれた。

講師たちは、生徒の期待を越え、率先して授業以外の時間をやる気のある生徒の成長のために使ってくれる。これは多くの生徒が語っていたことで、感動的なことだった。

■お酒を飲みつつ自習できる大人環境

別視点からMBAを紹介すると、この学校はおそらくセブの中でもっとも飲酒に寛容な学校だ。前の回で述べたように、セブ島留学はもともと韓国人大学生が就職前にスパルタ式で英語を伸ばすための合宿所としてつくられたため、門限があったり、厳格な飲酒禁止ポリシーがある学校が少なくない。これは、放っておくと遊んでしまう学生の留学生活を取り締まるためのルールだ。

しかし、ここMBAは大人のための学校。やる気のある人は自分から勉強するし、そうでない人もたまにはいるが、それも自己責任だ。賢明に仕事をした後のビールがおいしいのと同じように、7時間集中して勉強したあとのお酒もおいしい。ビール片手に明日の授業の準備をしたって、ビジネスパーソンにとってはなんの問題もないと個人的には思う。こうした点でも、いつものライフスタイルのまま勉強できる環境がここにはある。

MBAには1Fに「AJITO」という食堂兼BARが併設されており、日本からきた気さくなシェフがつくる日本食が提供されている。生徒同士が共に勉強や、情報交換をしている。実際筆者も、ずっと付き合っていきたいと思える友人ができた。(上)/授業ごとにノートをファイルし、いつでも見られるように保管している。英国に戻った今でも、英語学習時に頻繁にこのノートを振り返っている。どんなテキストよりも自分に向いた、とても大切な専用のテキストが出来上がった。(下)

すべてを語り尽くすことはできないが、ビジネスパーソンに英語を教えるプロ集団が個々のニーズに合わせ、一緒になって英語力の成長にコミットしてくれる様子が伝わっただろうか。MBAのような「セブ留学の新たな潮流」これこそ筆者が英語の必要性に直面しているビジネスパーソンに最も伝えたかったことである。

そうはいっても、セブ島留学に出かける時間はしばらくの間とれそうもないという方にも朗報がある。この春より同校ではオンラインクラスと渋谷校をスタートさせている。スタート直後につき体験レッスンなども用意されているようなので、興味のある方は覗いてみてほしい。料金なども、公式WEBサイトを参照のこと。

MBAオンライン:
https://mba-cebu.asia/online/
MBA渋谷:
https://mba-cebu.asia/shibuya
MBAセブ校:
https://mba-cebu.asia/

次回、最終回では、MBAで本気に英語を勉強した3名のビジネスパーソンに、その成果や現在感じていることを話してもらう。

 

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高野美穂(たかの・みほ)●スタイルクリエイト代表、英国在住コミュニケーションコンサルタント。1979年、東京都生まれ。大学卒業後、ベネッセコーポレーション入社。進学情報誌の編集を務めた後、2005年にコンテンツ制作会社を設立。以来、執筆・企画制作のほか、ビジネスシーンでのイメージコンサルティングやメディアを通じたコミュニケーション分野でも活動。その延長として日本人の英語習得法に関心を持つ。2014年に渡英。ラグビーW杯英国大会においても精力的な取材活動を展開した。著書に『夢がかなう 「いろの魔法」』、『ストーリーでしっかり身につく 今どきのビジネスマナー』、『W杯イングランド大会ラグビーファンみんなの観戦記』(共著)ほか多数。
スタイルクリエイト http://style-create.jp/

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(スタイルクリエイト代表、英国在住コミュニケーションコンサルタント 高野 美穂 高野美穂=写真)

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