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知って損なし「医療費控除対象」32項目

プレジデントオンライン / 2018年10月17日 15時15分

医療費がかさんだ場合、納めた税金が一部戻る制度が「医療費控除」。ひと口に「医療費」といっても控除されるものとされないものがありますが、対象だと知らずに、申告リストから外している「医療費」はありませんか? 最新の医療費控除のルールや申請方法を解説します。

■病院に支払った治療費だけではなく、交通費や温浴施設利用料も控除対象!

年間医療費が10万円(図版参照)以上かかったら、翌年の確定申告で「医療費控除」を申告すると、支払った所得税が一部戻り、住民税も軽減される。ドラッグストアで買った薬などの合計額が、年間1万2000円を超えたときに所得控除が受けられる「セルフメディケーション税制」も、2017年からスタート。医療費控除と併用はできないので、得するほうを自分で選ぶ仕組みだ。

医療費控除もセルフメディケーション税制も自分の分だけでなく、生計を一にする家族分を合算OK。「共働きはそれぞれ申告できますが、所得の高いほうが医療費を負担し、まとめて申告したほうが節税効果は高いです」(黒田さん)

医療費控除の申告に必要なものは表のとおり。医療費の明細書には支払先や金額を記入。以前は領収書をそのまま申告書に添付していたが、17年分の確定申告から明細書のみ添付する形式になった。

とはいえ、明細書の作成時に領収書などが必要な点は変わらない。後々税務署から連絡が来ることもあるので、領収書などは手元に5年間保管するルールになっている。

明細書を作成するとき、どんな出費が控除の対象かを頭に入れておくと便利だ。病院に支払った治療費だけでなく、交通費やマッサージ代、温浴施設利用料なども、場合によって対象になるのだ。

しかし、例えば交通費は公共交通機関はOKで、自家用車を病院の駐車場に停めた際の利用料はNGなど、判断しづらい内容も。

「保険金の支払いや高額療養費の払い戻しがあった場合は、医療費から差し引くことになっています。見落としがちなのでご注意を」

▼医療費控除の対象になるモノ・コトをCheck!
病気やケガなどの治療・療養
<対象になる出費>
●健康保険などを適用した後の自己負担した治療費・診療費・リハビリ費用
●松葉づえや車いすなどのレンタル・購入費用
●治療目的で必要なものとして作成された診断書代

<対象にならない出費>

●美容目的の治療費
病気やケガなどの入院・手術

<対象になる出費>

●健康保険などを適用した後の自己負担した治療費・診療費・リハビリ費用
●病院で出された食事代

<対象にならない出費>

●美容整形手術の費用
●入院のための寝間着や洗面用具の費用、クリーニング代
●入院時のテレビや冷蔵庫のレンタル料
●入院したとき、自ら選んで個室にした場合などに生じる差額ベッド代
●担当医師や付添人などへの謝礼
がんに関すること(保険適用の治療費以外の出費に関する一例)
<対象になる出費>
●先進医療の技術料や自由診療に基づく治療の費用
●人工肛門用装具・人工膀胱用装具費用
●乳房再建の費用(ただし、術式によって異なる)
<対象にならない出費>
●医療用ウィッグの費用
健康診断・人間ドック・予防接種
<対象になる出費>
●健康診断や人間ドックの費用(異常が見つかったときは医療費控除の対象になる)
<対象にならない出費>
●健康診断や人間ドックの費用(異常が見つからなければ医療費控除の対象にはならない)
●インフルエンザなど、各種予防接種の費用
通院してかかった交通費
<対象になる出費>
●公共交通機関の交通費(電車やバスでの移動が困難な場合は、タクシー代も対象となる)
<対象にならない出費>
●必然性なく利用したタクシー代
●マイカー利用時の駐車場代やガソリン代
歯に関すること
<対象になる出費>
●健康保険などを適用した後の自己負担した治療費
●歯の定期検診費用(虫歯などが見つかったときは医療費控除の対象になる)
●入れ歯・差し歯・銀歯などを作った際の費用
●治療としての歯列矯正費用
●親知らずの抜歯費用
●美容目的ではないインプラント治療費用
<対象にならない出費>
●虫歯などの予防目的で受けた歯科検診・クリーニング費用
●美容目的の歯列矯正費用、ホワイトニング費用、インプラント費用
▼医療費控除の対象になるモノ・コトをCheck!
目に関すること
<対象になる出費>
●健康保険などを適用した後の自己負担した治療費
●一定以上の症状の弱視、斜視、白内障、緑内障などで、必要に応じて購入した眼鏡代
●レーシック手術などの近視治療
<対象にならない出費>
●一般的な近視、遠視、老眼で購入した眼鏡やコンタクトレンズ代
●眼鏡などを作る際の検眼費用
●医療機関以外で受けた視力回復のための施術
妊娠・出産
<対象になる出費>
●婦人科健診費用(何らかの異常が発見されたときは対象になる)
●妊娠中の定期健診費用、分娩・入院費用
●何らかのトラブルで急遽受診、入院したときの費用
●不妊治療費用
●人工授精費用
●乳児の健診・入院費用
●医学的理由・経済的理由での妊娠中絶費用
●無痛分娩の費用
<対象にならない出費>
●妊娠検査薬費用
●婦人科健診費用(異常が見つからないときは対象外)
●里帰り出産のための帰省費用
●妊婦用下着や赤ちゃんの紙おむつ、粉ミルク代など
●セミナーなどの受講料
●マタニティーヨガ、マタニティビクス費用
●乳児の任意の予防接種費用

<対象になる出費>
●医師の処方による薬の代金
●医師の処方による治療のための漢方薬の代金
●治療のためにドラッグストアなどで処方箋なしに購入した医薬品
<対象にならない出費>
●常備薬として購入した薬の代金
●病気の予防や健康維持目的で購入したサプリメント、ビタミン剤、栄養ドリンクなどの費用
●自己判断で購入した目薬
その他
<対象になる出費>
●病気・ケガの治療を目的として、マッサージ、鍼灸、整体などを受けたときの施術費用
●温泉利用型健康増進施設(クアハウス)の利用料金
<対象にならない出費>
●「疲れを癒やす」「体調を整える」といった、治療に直接関係のない目的でかかったマッサージ、鍼灸、整体などの費用
●医師の証明書なしにクアハウスを利用した場合の費用
●クアハウスの宿泊費用
出所:国税庁HP

(元山 夏香 教えてくれた人=ファイナンシャルプランナー 黒田尚子)

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