明朗会計の「お布施」がウケている理由
プレジデントオンライン / 2018年12月17日 9時15分
■人気の派遣サービス「お坊さん便」
誰しもが避けられない人生の終焉……。ついのすみかをどこにするのか。死後のこととはいえ、後悔はしたくない。そんな思いから今、葬儀の形や墓をめぐる環境が大きく変わってきている。かつての葬儀といえば、華美な装飾の祭壇をしつらえ、100人を超える弔問客で故人を弔うのが一般的だった。
しかしなかなか景気が回復しない経済環境、親族や地域社会との絆の希薄化、信仰心の薄れなどで、最近は家族葬や直葬といった「小さい葬儀」が主流になりつつある。特に日常でお寺との交流をもたない人が多く、お葬式のときにだけお願いをする“葬式仏教”がほとんどだ。
最近のお寺とのつながりを象徴する1つが、インターネットのアマゾンサイト内で一周忌などの主要法要を3万5000円、一般の葬儀を16万円、戒名の授与2万円と、葬儀の注文や僧侶の派遣を定額で受け付ける「お坊さん便」が人気になっていることだろう。
読経を依頼する寺院との付き合いがない人がほとんどだったり、お布施や車代などの費用相場がわかりにくかったこともあって、普段、寺と接点がなきに等しい都市部で人気のほか、明朗会計の「お布施」がウケているという。
この「お坊さん便」に対して全日本仏教会は、「僧侶の宗教行為を定額の商品として販売することに大いなる疑問を感じる」とアマゾンに抗議文を送り、販売中止を求める事態も起きている。要はお布施の金額は決まっているものではなく、定額にすることは“宗教行為”でなくなるからやめてくれといっているわけだ。
しかし、一般庶民はきわめて冷静で「今さらお坊さんはどうでもいい。大事なのはお墓」という一点だけで、お寺とつながっていると感じている人が多いのではないだろうか。
そのお墓も以前は「先祖代々のお墓を守っていく」「夫婦は一緒のお墓に入る」などと考える人も多かったが、家族形態の変化やライフスタイル、価値観の多様化などで、お墓に対する意識も変化してきている。近年は、若い世代が都会に出て新たな世帯をつくるようになったため、田舎のお墓の維持が難しくなってきている。
そのうえ、お墓は主に長男などの血縁者が承継するべきだとか、家族は同じ墓に入るべきといった旧来の観念がいまだに残っているため、お墓をどうしたらよいのか悩む人も少なくない。いずれにしろお墓は自分だけでなく、その死後も管理する子や孫の世代に関わってくる問題であるだけに、自分たちがもっとも供養しやすいお墓づくりをすることだ。
そのためには自分がどんな供養をしてもらいたいのかじっくり考えることが重要である。
(ジャーナリスト 吉田 茂人 写真=iStock.com)
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