コンビニの"無人店舗"は本当に便利なのか
プレジデントオンライン / 2019年2月10日 11時15分
■無人キャッシュレス店舗で“いじわる”してみた
2018年10月1日発売の“週刊ポスト”にて、経済ジャーナリストの鳥越俊太郎氏がキャッシュレス経済の利便性を認めつつも「お金を使った感覚に乏しく、つい使いすぎる恐れがあるうえに、レジでお釣りを渡す際に会話があったほうが生活は明るくなる」とコメントしていました。
しかし、お金を使う感覚が乏しいことが原因の1つであるカード破産は、スマホ決済が普及する前からありますし、コンビニではマニュアル以上の会話はありません。新しいものを取り入れずにいることは、逆に多くの機会を逃すことになりかねません。
現在赤羽駅でテスト運営が行われている無人店舗などは、その典型でしょう。この無人店舗はサインポスト社のAIによる無人決済システムを導入しており、店舗内にあるカメラが人物と商品を認識し、手に取った商品を自動でカウント。レジに立つと手に取った商品が自動でリストアップされ、支払いまで完全無人で行えるシステム。支払いも交通系ICカード限定となっており、従来店舗よりもスムーズな購入が行えるそうです。
私もこの無人店舗を体験してみます。支払いに使うのはモバイルSuica。チャージ元を還元率2%のデビットカード“Kyash Visa”に設定し、Kyashのチャージ元をジャックスが発行する最大還元率1.575%の“日本盲導犬協会カード”に設定すれば、合計3.575%の還元率となり、無駄なく買い物ができます。
気になるのは、無人店舗運営のキモとなるAIの精度。手に取った商品が正しくカウントされなかったり、自分と他のお客さんの会計が交じってしまえばトラブルは避けられず、通常のコンビニよりも不便となってしまいます。
そこで今回は常識の範囲内でAIが判断ミスを起こしそうな行動を店内で取り、本当に無人店舗がスムーズに運営できるのかをテストしました。
まず、店内に入ってすぐ目についたパンを手に取ります。そして上着と帽子を脱ぎ、メガネを外します。もしAIが正しく認識できていなければ、上着を脱いだ私は別人扱いになり「この人はパンを取っていない」と判定されます。
商品を手に取ったかは、棚に付いている小型カメラで判定されているようです。そこで、飴を1度手に取って棚に戻す行動を3回繰り返します。人間が起こしうる、このようなイレギュラーにもAIは対処できるのでしょうか。
そしてこの後は、同種のガムを3つ同時に手に取った後、ドライフルーツとクッキーを同時に手に取りました。
これで私が手に持っているのはパンとガム3つ、ドライフルーツとクッキーになりました。AIは正しくこれを認識できているのでしょうか?
会計用の端末前に立つと……エラーを起こすと思われたパンや、ガムの個数も正しく把握されています。AIの正確さに驚きながら、Suicaをタッチして支払いです。
商品をレジに出してスキャンし、お釣りを手渡しする手間がないため、一瞬で会計は終了。買うものが決まっていれば入店から退店まで15秒とかからなそうです。参考までに、正午に同じ商品を駅のコンビニで買った場合は会計まで3分かかりました。
技術の進歩を生活の発展に結び付ける企業の努力に、私は感動を覚えましたが、新しいものを受け入れなければこの感動はありませんでした。できる限り物事を受け入れようとする姿勢が大事です。
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行動するお金博士
1991年生まれ。自らの節約生活をもとにした「1週間食費0円生活」を月刊誌で連載中。節約術やお金の最新事情に精通。
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(行動するお金博士 山野 祐介 写真=iStock.com)
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