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いま最も好かれる上司は「フラミンゴ」だ

プレジデントオンライン / 2019年2月20日 15時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Jonathan Ross)

管理職世代の価値観は、部下世代には通用しない。世代の違いを超えて良好な人間関係を築くにはどうすればいいか。マネジメントコンサルタントの濱田秀彦さんは「若手社員に好かれる上司は『フラット』『フランク』『フラミンゴ』の『3フラ』です」という――。

■ダメな上司はすぐに見限られる時代

「管理職たるもの部下に好かれる必要はない」「部下を甘やかしてはいけない」「鬼となって部下を動かせ」。かつては、こんなことがよく言われていました。

いま、そんなスタンスで管理職をやったらどうなるでしょう。若手社員はそんな上司をすぐに見限り、さっさと転職してしまいます。そして人員の補充がなされず、行き詰まってしまうことは目に見えています。だからと言って、腫れ物に触るように接していては仕事になりません。

いまや、若手社員と良好な関係を作り、彼らの力を活かし、成長を促すことが管理職として必須の条件になっています。

この記事では、どのようにすれば若手社員と良い関係が作れ、円滑な職場運営ができるのかを考えます。

私はセミナー講師として、毎年2000人以上の若手社員と接しています。そこから見えてくる「若手社員に好かれる上司」の傾向は、3つあります。それは、「フラット」「フランク」「フラミンゴ」の「3フラ」です。以下、見ていきましょう。

■「納得」と「自由度」の欠けた指示は嫌がられる

1.フラット

かつて、学生の部活では監督の言うことは絶対でした。部員は監督の指示通りに動く。疑問があっても質問できる雰囲気ではなく、口答えすればビンタもあり。先輩は1歳しか違わなくても明確に立場が上。掃除や荷物持ちは下級生の役目。ポジションパワーが組織運営の根幹にある。管理職はそんな時代に育っています。

しかし、いまは違います。指示的にならず、学生の自主性を引き出すのが名指導者。体罰など論外。上級生は率先して掃除をする。若い部下たちはそんな時代に育っています。

管理職が自分の育った時代の感覚で、ポジションパワーを前提にしたマネジメントを展開したら、若い部下は嫌がり、ついてきません。若い部下が求めるのは、上下関係を意識させないフラットな関係なのです。

とはいえ、管理職の役割として「部下に指示を出し、指導する」ことはいまも変わらず存在します。かつての「命令」「統制」というスタイルをどう変えていけばよいか考えましょう。

若手社員に指示を出す際のポイントは、「納得」と「自由度」です。

「これは業務命令だ」と上下関係を前提に押し切るような言い方は、若い部下が最も嫌がることです。指示する場合は、部下が納得するような出し方をする必要があります。具体的には「何のためにやることなのか」という目的となぜ君なのかという意義を伝えます。

■「なるほどね」と最後まで聞いてから、一つだけ伝える

例えば、備品の発注マニュアルの作成を指示するとしましょう。その際は、「来期の新入社員の受け入れに使いたい」という目的と、「1年前、新入社員だった君の目線で作ってもらえれば、より新入社員の役に立つと思うんだ」という意義を伝えることで、納得感が高まります。

そして、やり方については、自由度を多めに与え、任せることが部下にやりがいを感じさせます。

指示を出した後は指導です。指導にあたっては、「問いかける」という方法が効果的です。例えば「マニュアルの進捗はどう?」「完成を100%とするといま何%ぐらい?」「完成までの課題はどんなこと?」「どうすればいいと思ってる?」というように問いかけます。

そして、部下の話はさえぎらず、「なるほどね」と最後まで肯定的に聞きます。こうすることで「君の考えを尊重している」というメッセージを送ることができます。

もし、修正したほうがよさそうなことがあったら、最後まで聞いた上で、「ひとつだけ思いついたことがあるのだけれど、言っていいか?」と尋ねてみてください。たいていの場合「はい」と返事が返ってきます。そうした後で、「さっき君の言った解決策だけだと、○○という問題が残る。君の考えに加えて、こういうこともやってみてはどうかな」というように告げます。

いまの若い部下が望むフラットな関係を前提とした、指示・指導はこのようなイメージです。

■「なにを話せばいいか」という発想自体がダメ

2.フランク

若い部下との日常会話はなかなか難しいものです。共通の話題が少なく、何を話せばよいかわからない。あまりプライベートにクビをつっこむと嫌がられる。だから、会話が少なくてもしょうがない。

そうなってしまいがちなのですが、若い部下たちは上司と気軽に話せるフランクな関係を望みます。では、どんな会話をすればよいか。

まず、「なにを話せばよいか」という発想を「なにを聞けばよいか」と転換しましょう。

雑談で部下を喜ばすことができるような話術を持った上司はごくわずか。たいていの人は、自分のことを話したところで部下の関心は得られません。それよりも聞くことです。

若い部下がサッカーをやっていることを知っているとしましょう。それについて、「最近、サッカーの調子はどう?」といったように聞いてみるとよいでしょう。

ここで、ポイントになるのが質問の種類です。答えがイエス、ノーで終わってしまう「クローズ質問」ではなく、自由に答えられる「オープン質問」を活用しましょう。

例えば「サッカーは続けてる?」というクローズ質問だと「はい」と言われて会話は途切れてしまいます。

■相手を気分よくさせる質問

一方、「最近、サッカーの調子はどう?」というオープン質問をすれば「最近ちょっと足を痛めて練習できてないんですよ」「足はどうしたの?」というように会話がつながります。ちなみに、オープン質問の代表例は5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)です。これ使った質問をすれば、自然とオープン質問になります。

さらに、相手を気分よくさせる質問があります。それは、教えてもらうということです。例えば、「子供がサッカーをやってるんだけど、なかなか試合に出してもらえなくて。どうしたらうまくなるのかな?」と質問してみます。相手は喜んで教えてくれるでしょう。人は、教えるということで、自尊心が満たされます。

部下が興味を持てないような話を一方的にするより、このように質問を活用して相手に話させるほうがよい会話になります。昼休みや、外出で同行する際のちょっとした時間を活用して、若い部下とフランクにコミュニケーションをとっておきましょう。そうすることが、「相談しやすい環境作り」につながり、結果的に職場運営のプラスになります。

■一本足で立っていられる実力があるか

3.フラミンゴ

「フラミンゴ」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。世界のホームラン王、王貞治さんを思い出した人は50代以降の方でしょう(ちなみに私もそうです)。王さんのトレードマークは一本足打法。一本足で立つことからフラミンゴ打法とも呼ばれていました。若い部下に好かれるのは一本足でもピシッと立っていられる上司。ひとりで、難度の高い仕事が完結できる。そんな自立した上司が尊敬されます。

管理職に求められるスキルは3つあると言われています。それは、「コンセプチュアルスキル」「ヒューマンスキル」「テクニカルスキル」です。コンセプチュアルスキルは戦略立案、問題解決などに使う考える力。ヒューマンスキルは話す、聞く、交渉・説得する際に使うコミュニケーション能力。そして、テクニカルスキルは業務の進めるための専門知識、専門技能を指します。

この3つを高いレベルで持っていることが自立した上司の条件ですが、テクニカルスキルは範囲が広いことが多く、すべてにおいて部下を上回る知識・技能を持つことは難しいものです。だから、テクニカルスキルについては、部下のほうが上という分野があっても構いません。部下のほうが詳しいところは謙虚に部下に教えてもらう。そんな上司も部下から好かれます。

部下から「ウチの上司は仕事ができる」と思われる。ポジションパワーではなく、尊敬をパワーにしたマネジメントが理想です。

以上、上からではなく「フラット」にパートナーとして支援してくれ、「フランク」に話すことができ、専門スキルを持ち一本立ちしている「フラミンゴ」。「3フラ」を兼ね備えた人が若い部下に好かれる上司像ということでしたが、おまけがもうひとつあります。

もうひとつの「フラ」は「フランダースの犬」。部下が大変なときは助け、苦しんでいるときには、そっと寄り添う。そんな上司を目指しましょう。

(ヒューマンテック代表取締役 濱田 秀彦 写真=iStock.com)

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