40歳からの女の転職、今企業が欲しい職種とは

プレジデントオンライン / 2019年9月16日 11時15分

好景気、売り手市場、女性活用など、何かと明るい話題が多い転職マーケットですが、それは40歳以上にも同じことが言えるのでしょうか。そこで、各業界の中途採用に精通するヘッドハンターの方々に、年収800万円以上を目指す40歳以上の転職事情について聞きました。第2回目のテーマは「女性登用が進む職種と転職に必要なスキル」です。
【へッドハンター】
左:<流通小売サービス>原田 周作(エグゼクティブ・ボード)
中央:<金融>下田 由紀(エンワールド・ジャパン)
右:<メーカー>畑 圭一郎(経営者JP)

■女性の求人が出やすいのは人事と広報

——業界ごとに、女性の採用が積極的に行われている職種はありますか?

【畑さん】今、日本全体で女性活躍、多様性が叫ばれており、女性の採用に力を入れている企業が多いのは確かです。しかし、それには2パターンあります。

<メーカー>畑 圭一郎(経営者JP)

ひとつめは多様性のある組織の必要性を感じ、「経験のある女性がほしい!」と希望されている会社です。多くの企業はそうなのですが、中には社会的なイメージのために女性を採用しようと考えている会社があるのも事実です。特にメーカーは他の業界に比べると保守的な企業が多く、女性が採用されやすいのは人事、総務、広報などの管理部門ですね。会社の業績に結びつく業務を担当する直接部門(製造や開発、営業・販売など)の採用は、まだまだ少ないです。

【原田さん】確かに人事、広報は女性の求人が出やすいですね。流通・小売・サービス業界に特化した職種でいうと、商品開発、バイヤーなどでしょうか。女性向けの商品を扱っている企業であれば、商品開発に関われる部門などでも女性を積極的に採用していますよ。

<金融>下田 由紀(エンワールド・ジャパン)

【下田さん】金融業界で、あえて女性を採用している職種はないですね。金融業界はあくまでも能力とスキルで職種が決まるので、性別はあまり関係ないように思います。ただ、転職で40代以上の女性がよく入っているのは、審査や経理。あと、最近でいうとIRですね。海外に留学経験のある人や外資系の金融機関にいた、英語力に長けた女性が採用されています。

■「なでしこ銘柄」とESG投資を要チェック

【原田さん】IRの話でいうと、経済産業省が東京証券取引所と共同で選定している「なでしこ銘柄」というのがあります。女性活躍推進に優れた上場企業が毎年選ばれているんですが、特にそういった企業は女性の社員を増やしたり、女性管理職を育てたりすることに力を入れているので、女性が社内で伸び伸びとチャレンジしやすいと思います。そういう企業が増えれば増えるほど、上場企業が「ウチも負けていられない!」となるはずなので、今後ますます女性が活躍する場が増えていくのではないでしょうか。

【下田さん】あとはESG投資も、世界的に注目されていますね。ESG投資とは環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)に配慮している企業を重視・選別して行なう投資のことで、ESG評価の高い企業は事業の社会的意義、成長の持続性など優れた企業特性を持つと言われています。女性はわりと社会に対する問題意識が高いように思うのですが、ESG評価が高い企業であれば普段の生活でも接点がありそうなので、女性も入りやすいのではないかと思います。

■資格さえ持っていれば安泰という時代ではない

——転職に向けて持っておいた方がいい資格はありますか?

【畑さん】私、個人的には資格は重視していません。世の中の潮流を見ても、資格で人を取るというケースは減ってきているのではないかと。もちろん企業規模や職種によって違いはあると思いますが、メーカーに限った話をすると特筆すべき必要な資格はないですね。

<流通小売サービス>原田 周作(エグゼクティブ・ボード)

【原田さん】僕も40歳以上のエグゼクティブ層に必要な資格があるかと言われれば、それはないのではないかと思いますね。弁護士資格を持っていようと、公認会計士資格を持っていようと、資格さえ持っていれば安泰という時代ではないからです。

【下田さん】金融業界では「会計の資格を持っている」という話をよく聞きます。あとは証券アナリストや、宅建など。仕事に必要だから頭に入れるという意味で資格を取った人がほとんどで、実際に仕事に役立っているようです。業界的には先述したような資格は持っていて当たり前という雰囲気がありますね。

【畑さん】仕事に結びつけるために手段として資格を取ることは間違っていないと思います。前にもお話しましたが、40歳以上に求められているのは実行力。いかに形にするかということが求められるので、そういう意味では資格を取ることも、立派な企業へのアピールになるかもしれません。

■金融業界へ転職希望なら「中国語」も学ぶのがオススメ

——語学力を求められることはありますか?

【下田さん】金融業界への転職を希望するのであれば、英語力はないと厳しいです。中国語ができれば尚良し。国内企業でもすでに海外に進出しているところがほとんどです。

他方、外資系企業が日本に投資するというインバウンドのアテンド一つにしても外国語での案内がマストだからです。英語ができない優秀な人はすでに業界の中にたくさんいるのですが、業界全体として英語でコミュニケーションが取れる人が少ないので、ネイティブレベルで英語が話せる人は求められます。

【畑さん】メーカーでも英語力が求められることはありますが、今、下田さんの話を聞いた限りでは金融業界ほどではないのかなと思います。

「女性登用が進む職種」
●業界別職種
・(メーカー業界)人事、総務、広報
・(流通・小売・サービス業界)商品開発、バイヤー
・(金融業界)特になし。40歳以上の経験者で多いのは:審査、経理、IR

●注目すべきキーワード
・なでしこ銘柄
・ESG投資

「転職に必要なスキル」

・資格で人を採用するケースは減少傾向
→面接で実行力をアピールする意味では、有効かもしれない
・(金融業界)英語力必須、中国語ができれば尚良し
その他、会計、証券アナリスト、宅建の資格を持っている求職者も多い

原田 周作(はらだ・しゅうさく)
大手金融サービス会社の営業本部にて法人営業、商品企画業務を6年経験。2005年より日系エグゼクティブサーチ会社に入社。2010年に執行役員、2011年から取締役就任。2013年より株式会社エグゼクティブ・ボードに参画。担当業界は、流通小売業、製造業(自動車、機械、化学など)が中心。企業の経営層との深いリレーションにより、経営幹部、管理職層の紹介実績多数。BizReach主催の「ヘッドハンター・オブ・ザ・イヤーMVP」(流通小売サービス部門)を2018年に受賞。
畑 圭一郎(はた・けいいちろう)
新卒で三越へ入社。その後、2008年に人材・組織開発のコンサルティング会社に転職。大型案件や難易度の高い案件の獲得で常時トップのコンサルティング実績を誇る。2013年経営者JPに入社。コンサルティング事業本部長として、コンサルタントチームの運営・教育に従事する傍ら、製造業・サービス業を中心に3500名以上のエグゼクティブパーソンとのキャリアコンサルティングを行う。数多くのエグゼクティブと対面してきた実体験を通して、組織の中で活躍できるビジネスパーソンには【サクセス3ポイント】があることを学びとる。
下田 由紀(しもだ・ゆき)
大学卒業後、大手金融会社で経理としてキャリアをスタート。自分の適性と志向性から営業に出たいという思いで、ミドル・フロントの経験を積み、2012年から人材業界にキャリアチェンジ。2012年中国において人材紹介会社大手のインテリジェンス中国に転職。蘇州支店マネージャーとして中国人ローカルスタッフマネジメント、中国江蘇省の日系企業向けに人材紹介(現地スタッフ、日本人)および日系企業の労務・研修サービスを提供。2014年日本帰国後、エンワールド・ジャパン株式会社に転職し、金融業界および金融専門職種等の専任コンサルタントとして従事。BizReach主催「ヘッドハンター大賞 金融部門MVP」2017年・18年と2年連続受賞。

(福田 彩 写真=iStock.com)

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