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2020年ギグ・エコノミー時代に勝てる人の条件

プレジデントオンライン / 2020年1月21日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/bee32)

2019年4月から順次施行されてきた「働き方改革法」。平成の間にも引きずり続けた“昭和的”な働き方を脱却し、新しい働き方が広まっていく時代になるのでしょうか。経験とスキルを複数社で活かすプロ人材のプラットフォーム(プロシェアリング)を提供するサーキュレーション代表取締役の久保田雅俊さんに、2020年の働き方のトレンドやキーワードを伺います。

■ギグ・エコノミーが急拡大する

ギグ・エコノミーと呼ばれる働き方はすでに大きな潮流となっています。単発の仕事を受けて、自分のスキルや労働力、時間を提供するという働き方です。2020年には、さらに大きなうねりが生まれるでしょう。もっともわかりやすい例は、配車サービスでまたたくまに世界的企業になったUber。新たな労働紛争も生まれるなど、解決しなければならない問題はありますが、ギグ・エコノミーは今後さまざまな業界でも取り入れられ、新時代の働き方として広がると考えています。

職能の高いプロフェッショナル、あるいは広報、人事、経営戦略など、自分の仕事のテーマが決まっている人は、ギグ・エコノミー的な働き方との親和性が高いと思います。

■変わる“イケてるキャリア”の定義

以前は、「大手企業で年収1000万円以上!」というような肩書が、いわゆるイケてるキャリアでした。これからは、「どの領域に専門性を持っていて、どのくらいの時間でどんな成果を出せるか」ということが重視される時代に入っていく。能力の高い人が1社に縛られず、複数の会社で働くことができたなら、労働に関する係数も倍増するわけです。知見が循環し、市場は活性化します。

ギグの時代に備えるためには、「自分の仕事において生産性の高い時間は何か」ということを、より突き詰めていかなければなりません。会社員であれ、フリーランスであれ、プロジェクトで働く状態をつくることが重要になるでしょう。自分の働き方のなかで、ギグとして切り取れるものは何か、それにおいて自分はどうなりたいのか。

単発で価値発揮をするギグ・エコノミーの視点で自分のスキルを見直した時に、単なる労働力の提供にとどまってしまいそうだと感じたら要注意です。自身のキャリアや働き方を見つめ直すタイミングかもしれません。

■成功の鍵は、オンリーワンプランニング

さまざまなメディアで新しい働き方やその成功例が紹介されています。しかし、それは全員がこのやり方でやれば豊かになれる、幸せになれる、という世界ではありません。プロ人材の方と話していて痛感するのは、自分のスタイルを見つけることの重要性です。

これからは、自分のスキルを定義し、セルフブランディングしていくこと、それ自体がキャリアにつながる時代です。なぜやるのか、どうなりたいのか、なにができるのか、自分の仕事についてのwhyとwill、そしてgiveをかためる作業をするのが、まさに今、2020年の私たちの課題といえるのではないでしょうか。

そのために必要なものは、何でしょうか。幸いなことに、寸暇を惜しんでバリバリ働くことではありません。キモとなるのは、「知性」と「情報」。

バリキャリじゃないとナレッジが蓄積できないかといえば、そんなことはありません。世界中の本がAmazonで手に入り、リカレント教育のプログラムは以前より格段に充実し、マネー教育、人材教育、SDGs教育などは無償で受けられるものさえある。

知の探究をすれば、自分の意思や価値観がどこに向いているのかが見えてきます。

理解が足りない上司と2時間粘って関係性を構築するより、その2時間を自分の価値観の変容のために使ったほうがいい、とすら私は思います。

■移動しながら働く人が増える

テクノロジーの進化により、クラウド上での受発注も多くなっています。デザインやイラストなど、成果物が明確に見える職種にとってはなじみやすく、今後も広がっていくでしょう。ただし、クラウド上だけで仕事をすることが、本当に人にとって楽しいことなのだろうか、という疑問もあります。

私は、これからの時代、新しい働き方をする人はどんどん移動するようになるだろう、と考えています。

「逆ではないか?」と思う方もいるかもしれませんね。クラウドを利用すれば、離れた場所に拠点があるクライアントとも仕事ができる、実際に動く必要はない、と。

よく在宅ワーカーとリモートワーカーを混同している方がいますが、リモートワーカーというのは動く存在。物理的に動くことで、知の循環、労働の循環がよくなり、ムーブメントが沸き起こる。地方は強烈に人材を求めています。たとえば、週に2日地元の企業でマーケティング戦略を担い、週に3日は東京の企業で働く。

こうした働き方は自身のキャリアにもつながりますし、同時に地方創生にも寄与するものです。

実際に弊社登録のプロ人材の中にも、全国各地で20のプロジェクト・3つの自治体をプロデュース、住む場所も東京から移すなど、場所にとらわれず活躍している方がいます。

■いよいよ女性からの発信が大事になる

2020年は「女性×新しい働き方」というのも、いよいよ大きく広がるだろうと思います。在宅ワーク、リモートワーク、クラウド、スキルシェア、副業・兼業、パラレルワーク。さまざまな選択肢が出てきています。とくに子育て中の女性にとっては、在宅やリモートでの働き方は生産性を上げ、限られた時間のなかでも力を発揮できる働き方だといえるでしょう。

ただ、これまでを振り返ってみると、女性の活躍を含めた多様性が企業の成長にとっても大切である、ということがわかっていながらも、なかなかすぐには変わっていけない現実もありました。

企業の視点からみれば、将来の経営陣候補として、まず経営陣のパートナーとなったり、部長、部門長のパートナーとなることができる知的人材は喉から手が出るほどほしいはずです。2020年には、こうした役割を担う方々からムーブメントが起きてくるのではないか、と考えています。

土壌ができつつあるなか、女性自身がさまざまな情報を得ながら、自分自身のストーリーを描いていくフェーズに入ってきていると思います。そして、そうしたオンリーワンのストーリーをSNSなどのツールを通じて発信していく。それが新しい働き方を拡充するエンジンになっていくと思います。

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久保田 雅俊(くぼた・まさとし)
サーキュレーション代表取締役
1982年生まれ、静岡県出身。新しい働き方を追い求め、学生起業、家業の清算、会社員としての管理職、パラレルワーク、社内起業を経験する。学生時代に複数の事業を立案し学生起業家となり、パラレルワークを実現。21歳のときに、地元の進学塾を経営していた父親が意識不明となり、10年間に渡って、父親の介護を余儀なくされる。父親が経営していた企業は継続不可能となり、自身の手で会社の清算をすることとなる。その経験から企業経営には「金」以上に「人の経験・知見」が必要であるという考えにたどり着いた。2014年株式会社サーキュレーションを設立。プロフェッショナル人材の経験とスキルを複数社で活かすプラットフォーム(プロシェアリング)を運営している。2020年現在、経営プロフェッショナルのネットワークは1万3000人、導入企業は1500社を超える。

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(サーキュレーション代表取締役 久保田 雅俊 構成=浦上 藍子 写真=iStock.com)

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