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コロナタワマンの惨劇!「トイレ逆流パンデミック」で42人が死亡

プレジデントオンライン / 2020年3月18日 15時15分

SARSの集団感染が集中したアモイガーデンE棟(33階建て、香港)。問題の排水構造は、日本のマンションと基本的に変わらない。(時事通信フォト=写真)

■下水の飛沫が割れ目から……

新型コロナウイルスで混乱する日本。政府は不要不急の外出を控えるよう呼びかけているが、室内でも気を付けるべきことがある。2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した当時、香港の高層マンション「アモイガーデン」でSARSの集団感染が発生、10日間の隔離命令が出された。英BBCによると、329人が感染し、42人も死亡した。特筆すべきは、感染が疑われる入院患者の約半数が1つの棟(E棟)の各階7号室・8号室に住んでいたことだ。

そのときの状況を事例として紹介している、横浜市健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課の記事(同市ホームページ内)によると、E棟の各階の7号室と8号室は、下水管でそれぞれ垂直につながっており、下水管への入り口である排水口にはU字形の排水トラップが設置されていた。

排水トラップは下水からの臭気・虫などの侵入を防ぐためのものだが、長期間の不在などでU字の底部分にたまっていた水が蒸発すると、下水から臭気や虫などが侵入することもある。

患者が7号室と8号室に多く発生したことは、患者の便によってそれらの部屋の下水管が病原体(SARSコロナウイルス)で汚染され、そのウイルスを含んだ下水の小さな飛沫が、空気とともにバスルームの床から侵入したためと考えられている。バスルームの換気扇は吹き抜け部分につながっているため、そこを通じて他の部屋にもウイルスが拡散した可能性もある。

■下水の飛沫がその割れ目から吹き抜けへと出ていった可能性

また、E棟の4階では下水管内の圧力を調整するためのパイプに大きな割れ目が確認されていた。これは、トイレが使われるたびに、下水の飛沫がその割れ目から吹き抜けへと出ていった可能性を意味する。

以上が香港のアモイガーデンで起こったSARS集団感染の真相だが、これを対岸の火事と思ってはいけない。

不動産コンサルティングサービスを手がけるさくら事務所によると、同マンションの排水構造は、日本のマンションと基本的に変わらないのだ。これは日本のタワマンだけに限らず、マンション全般に関わる話だと同社の担当者は説明する。

マンション居住者の方から「バスルームや洗面台、トイレや部屋の中などで下水の臭いがする」「バスルームにチョウバエ(小さな黒い虫)がいる」などの相談を受けることは珍しくないという。これらの現象は、排水トラップ内の水が蒸発することによって起こるものであり、新型コロナウイルスについても、当時のアモイガーデンと同様の状況を生み出すおそれにつながる。

同事務所は、マンションで排水管からの感染拡大を防ぐためのポイントとして以下の点を挙げている。

1・換気設備の使用に際しては十分に給気を行う(給気口がない場合は窓を開けて換気をして使用する)
2・臭気などの発生が気になる場合にはキッチンやバスルーム、トイレ、洗面台、洗濯機パンなどの排水口(トラップ)にこまめに給水する
3・長期間不在にする場合にはバスルームや洗面台などの排水口をラップなどで覆い、飛沫や臭気の居室内への侵入を防ぐ
4・排水管(下水管)の漏水を放置せず、早めに確実に修繕する(下水の漏水で建物内で感染が広がる可能性も)
5・敷地内の汚水桝などのメンテナンス(清掃)を確実に行う
6・老朽化した排水管(下水管)については専門家の診断を受け、必要に応じて配管の引き換えやオーバーホールなどの措置を早期に検討する。

(ライター 万亀 すぱえ 写真=時事通信フォト)

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