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父逝去後、とりあえず母に全額贈与させてしまった子の残念な末路

プレジデントオンライン / 2020年4月11日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Maica

■目先の節税にとらわれるな

相続は2回ある――こう聞いて、あなたはピンとくるでしょうか。1回目は両親の一方が亡くなったとき(一次相続)、2回目はもう1人が亡くなったとき(二次相続)です。一般的に一次相続のほうが納める相続税は少なくなります。配偶者には税制面で大きく優遇される制度があるからです。

配偶者は、法定相続分の相当額または1億6000万円のいずれか多い金額まで相続税が非課税になります。また、「小規模宅地等の特例」という、土地の相続に関する制度でも条件面で優遇されています。これは、被相続人(亡くなった人)が住んでいた建物の敷地を相続する場合に、330平米までは8割引きの評価額で相続できる制度です。原則、相続する人が同居の親族という条件ですが、配偶者は仮に別居していたとしてもこの制度が利用できます。

このように、配偶者には様々な優遇措置があるため相続税が0円になることもあり、よかれと思って一次相続のときに配偶者が全額相続するケースがあります。しかし後先を考えないと、二次相続で莫大な相続税がかかってしまう場合があるのです。

遺産1億円を相続することになった一家のケースで、一次相続で全額配偶者が相続したときと、そうではないときでどれくらい納税額に差が出るかをシミュレーションしたのが図です。目先の節税にとらわれると、トータルで見て実に416万円も多く相続税を払うことになってしまうのです。

二次相続シミュレーションチャート

■相続税率は金額が大きくなるほど高くなる

相続税率は金額が大きくなるほど高くなるということから、このようなことが起こります。配偶者がもともと自分の財産を持っている場合などは、二次相続でその分も子にのしかかり、ますます納税額が高くなります。

一次相続で配偶者と子でそれぞれどれくらいの配分で相続するのがベストかは、遺産総額やきょうだいの数、配偶者がもともと持っていた財産などによって変わるので一概には言えません。一次相続の後、相続したお金を使って奥さんが自分に生命保険をかけるというのも策。保険金の受け取りには非課税枠があるので、税金がかかることなく子どもにお金を渡せることになります。相続は2回あることを念頭に長い目で対策していくことが重要です。

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島田 亮子(しまだ・りょうこ)
税理士
辻・本郷税理士法人 品川相続センター長。辻・本郷税理士法人湘南事務所所長を経て現職。全国女性相続センターにも所属している。

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(税理士 島田 亮子 構成=万亀すぱえ)

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