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「とにかくプリーズを付ければ丁寧になる」と思ったら大間違いだ

プレジデントオンライン / 2020年3月29日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ovbelov

日本人が勘違いしている英語表現は多い。たとえば「please」は「~してください」と誤解してはいないだろうか。『外資系1年目のための英語の教科書』の著者マヤ・バーダマンさんは、「丁寧な言い方ではなく、むしろ命令調に聞こえてしまう」という――。

※本稿は、マヤ・バーダマン『外資系1年目のための英語の教科書』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■なぜ「Please reply to my email」と書くと相手は怒るのか

今回のテーマ:気遣いの感じられる依頼をする

日本語で依頼をするときは、決まった「敬語」があるので、「~(して)いただけますでしょうか?」や「~をお願いいたします」などの形式的な表現を用いると丁寧な表現になります。

他方、英語では同等の「敬語」がないため、内容のみになってしまい、直接的で一方的に聞こえることがあります。依頼は特に「アクションを取ってもらう」という相手に負担をかけるものなので、聞き方を工夫して相手が気持ちよく受け取りやすいようにします。

【The Essentials ―本当の基本―】

1:「please + 動詞」は依頼というより命令調に聞こえる
2:Wonʼt you...? や Can’t you...? は失礼に聞こえる
3:wantは命令調&幼稚に聞こえる

■とりあえす「pleaseを文頭につければ丁寧」は大間違いだった

1:「please + 動詞」は依頼というより命令調に聞こえる

何かを頼むときはpleaseを文頭につければ丁寧になると思いがちですが、実際には「please + 動詞」は一方的で、「上から目線」で命令調に聞こえてしまいます。相手に選択肢や断る余裕を与えていない言い方になってしまうからです。特に目上の人には使わないようにしましょう。

ビジネスシーンで依頼をするときは、Could you please...? やWouldyou please...? といったリクエスト形式を使うとより丁寧です。これは相手の都合に配慮し、相手が引き受けるかどうかを考える余裕を残します。

依頼の形式として、「please + 動詞」(~してください)の他にも、「I want (you to...)」(~をしてほしい)がありますが、丁寧な依頼の際にはこれもふさわしくありません。その代わり、couldとwouldを用いた2通りの聞き方を覚えておくといいでしょう。この2つは、「~していただけますか?」というリクエストの形式です。

【Could:可能かどうかを聞く】
Could you (please)...? ~していただけますか?

※可能性を聞くため、相手に「断る」という選択肢を持たせることができます(やや断りやすい)。

【would:意思があるかどうかを聞く】
Would you (please)...? ~していただけますか?

※意思があるかどうかを聞きます(Could you...? よりも相手に心理的負担がかかり、やや断りにくい)。

●Do’s
Could you please reply to my email?
メールに返信していただけますでしょうか?
Could you please help review this draft?
このドラフトを見ていただけますでしょうか?
Could you spare me a few minutes to review this draft?
このドラフトを見ていただきたいのですが、少しお時間いただけますか?
I would really appreciate it if you could review this draft.

このドラフトを見ていただけるととても助かります。

メールに返信していただけますでしょうか?
イラスト=2g(「外資系1年目のための英語の教科書」より)
●Don’ts
Please reply to my email.
メールに返信してください。
Please review this draft.
このドラフトをレビューしてください。

※Pleaseをつけていても、上から目線で、命令調に聞こえることは変わりません。また、相手の都合を考慮していなくて、相手に断ったり交渉をしたりする余裕を与えていない言い方です。依頼をするときにはより丁寧に聞くようにしましょう。

メールに返信してください。
イラスト=2g(「外資系1年目のための英語の教科書」より)

■Won’t you...? は「~してくれないの?」と相手を責めるニュアンス

2:Won’t you...? や Can’t you...? は失礼に聞こえる

依頼をするときにリクエストの形式にすると丁寧だと説明しましたが、「~していただけませんか?」という日本語を直訳したWon’t you...? やCan’t you...? だと印象が変わってしまいます。これは「~してくれないの?」「~する気はないの?」「~できないの?」と相手を責めているニュアンスになり、相手はyesかnoかを迫られるようで、プレッシャーを感じてしまうためです。日本語の直訳にはこのようなリスクがあるので、気をつけたいところです。

白い背景のアジア系のビジネスマン
写真=iStock.com/taa22
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/taa22
●Do’s
Could you please get back to us by the end of the week?
今週の終わりまでにお返事いただけますか?
Would you please respond to my email?
メールに返信していただけますか?
Could you kindly open the door for me?
ドアを開けていただいてもよろしいですか?
●Don’ts
Won’t you respond to my email from yesterday?
昨日のメールに返事をしてくれないのですか?
※「昨日のメールにお返事いただけないでしょうか?」のつもり。

Couldn’t you get back to us on the orders?
注文についてお返事いただけないのですか?

※「注文についてお返事いただけませんでしょうか?」のつもり。

■「(何かを)してほしい」と言いたくてI want you to...も失礼

3:wantは命令調&幼稚に聞こえる
マヤ・バーダマン『外資系1年目のための英語の教科書』(KADOKAWA)
マヤ・バーダマン『外資系1年目のための英語の教科書』(KADOKAWA)

「(何かが)ほしい」ときはI want...、「(何かを)してほしい」ときはI want you to... など、「ほしい」というとwant を思い浮かべる方がいるかもしれません。しかし、これは場面によっては命令調で一方的、または幼稚に聞こえる可能性があります。

例えば、上司にI want you to review these slides.(スライドをレビューしてほしい)と言うと命令調になり、不躾です。また、I want more time.(もっと時間がほしい)と言うと、I want candy.(キャンディーがほしい)と子どもがお母さんに言うような幼稚な印象を与えかねません。

I want a reply to my email.
メールの返事がほしい。※命令調で不躾かつ失礼です。

▼wantよりwouldでよりビジネスに適した表現に

wantをwouldに変えて、I would (I’d) like to... としても間違いではありませんが、あくまでも主語は“I”であり、「自分中心」であることは変わりません。そこで、より丁寧にするために、appreciateという動詞を用いて「あなたに~していただけると助かります」という表現にします。

【Before】
I want to schedule a meeting with you.
ミーティングを設定したいです。
【OK】
Iʼd like to schedule a meeting with you.
ミーティングを設定したいです。
【After】
I would appreciate it if we could schedule a meeting with you.
ミーティングを設定させていただけますとありがたいです。
●Do’s
I would like to schedule a meeting with you.
ミーティングを設定させていただきたいと思います。
Iʼd like to ask you to approve the purchase of a new projector.
新しいプロジェクターの購入を許可していただけますでしょうか。
●Don’ts
I want to schedule a meeting with you.
ミーティングを設定したい。
I want you to approve this budget.
この予算を承認してほしい。
I want you to approve the purchase of a new projector.
新しいプロジェクターの購入を許可してほしい。

■「人にお願いをする」英文でバレる、丁寧な人不躾な人

●コラム1「丁寧な話し方、不躾な話し方」
ビジネスソリューション
写真=iStock.com/pixelfit
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/pixelfit

上段の事例ほど「命令調(一方的)」、下段の事例ほど「丁寧」

I want you to sign this form for approval.
このフォームに承認のサインをしてほしい。
I would like you to sign this form for approval.
このフォームに承認のサインをいただきたいです。
※会話ならI wouldを短縮してIʼdでもOKです。
I would like to ask you to sign this form for approval.
このフォームに承認のサインをお願いしたいです。
Could you please sign this form for approval?
承認のためにこのフォームにサインしていただけますか?
Would you mind signing this form for approval?
承認のためにこのフォームにサインしていただけますか?
I would appreciate it if you could sign this form for approval.
承認のために、このフォームにサインをしていただけるとありがたいです。
●コラム2「卒業するべきくだけた表現」

会話でwouldn’t (would not)、I’d (I would)、can’t (cannot) といった短縮形を使用しても、自然に聞こえるので問題はありません。ですが、wanna、gonnaなどは、ビジネスではカジュアルな印象を与えるので、控えるようにしましょう。

×:wanna (want to) → ○:would like to
×:gonna → ○:going to
×:gotta (got to) → ○:have to
×:needta → ○:need to
×: ‘cuz → ○:because
×: till, ‘til → ○:until

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マヤ・バーダマン 仙台市生まれ。上智大学比較文化学部卒業。ハワイ大学へ留学し、帰国後は秘書業を経て、ゴールドマン・サックスに勤務。医学英語に携わったのち、別の外資系企業に勤務。著書に『英語のお手本 そのままマネしたい英語の「敬語」集』『英語の気配り マネしたい「マナー」と「話し方」』『英語の決定版 電話からメール、プレゼンから敬語まで』(朝日新聞出版)『品格のある英語は武器になる』(宝島社)などがある。

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(マヤ・バーダマン)

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