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世界を救ったワンダーウーマンが残した言葉

プレジデントオンライン / 2020年5月9日 11時15分

ネットイヤーグループ代表取締役社長 CEO 石黒不二代氏

■日本人が学ぶべき、世界が称賛したグローバルリーダー

2019年に亡くなった緒方貞子さんは、日本人初の国連難民高等弁務官として活躍しました。その仕事ぶりは“グローバルリーダー”と呼ぶにふさわしいものでした。それまで日本には幾人かの首相のように国内だけの偉大なリーダーはいたかもしれません。しかし、世界を舞台に難民支援という役割を演じきったのは緒方さんだけです。

しかも、60歳を超える年齢で、小さな体を紛争地帯に運び、難民たちの過酷な状況を前に、けっしてひるむ姿勢を見せなかったといいます。彼ら彼女らを「救わなければならない」との使命感、志に裏打ちされた行動は、国際的にも非常に高く評価されました。

緒方さんは外交官一家に生まれ、ミッション系の女子大を卒業し、アメリカに留学。やがて国際基督教大学で教鞭をとりながら国連公使に就いています。そうした家庭環境とキャリアのなかで、もともと持っていた国際人の資質が開花したのでしょう。

私の実家は、愛知県で小さな製函業を営んでいました。高校生のときに工場が倒産したこともあり、「経済活動を通じてたくさんの人を幸せにしたい」と考え経済学部に進学。しかし、大学卒業を控えた当時は女子学生に対する求人はほとんどありませんでした。国内でいくつかの企業に勤めた後、私は海外に活路を見出しました。米スタンフォード大学ビジネススクールに留学し、MBA(経営学修士)を取得したあと、米シリコンバレーでコンサルティング会社を起業したのです。

■志を持つことの大切さ

緒方さんと仕事の分野は異なりますが、志を持つことの大切さは同じだと感じています。しかし、それを保つことはさらに大変です。緒方さんにしても、繰り返される紛争で、国外に脱出する難民だけでなく、国内で命の危機にさらされる避難民の現実に心が折れそうなこともあったでしょう。それを支えたのは、2200万人ともいわれる難民に対する責任の大きさにほかなりません。

緒方貞子のスピーチ「3つのリスペクト」

緒方さんの笑顔は周囲の人たちから愛されたといいます。その理由は、彼女の人への接し方にあったのでしょう。緒方さんはスピーチで「3つのリスペクト」について語ったとおり、けっして上からの視線ではなく、常に相手を敬っています。国際貢献に取り組む国の政府、現場で活動するユニセフなどの国連人道機関や各国のNGO(非政府組織)のスタッフ、そして何より一番に難民自身を強くリスペクトしていました。

社会と社員に責任感と敬愛の念を持つことは経営でも同じ。そのうえで、トップにはミッションを明確にし、実践していくための的確なロードマップづくりが求められます。それがうまくいくかどうかは、経営者のリーダーシップにかかっています。

残念ながら、緒方さんのような強い意志を抱いて世界で活躍する日本人は、あまり見当たりません。だからこそ、いま私たちに必要なのは、まず一人一人が強い意志を持つこと。それに加えて、国際社会にしっかりと目を向けることではないでしょうか。

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石黒 不二代(いしぐろ・ふじよ)
ネットイヤーグループ代表取締役社長 CEO
愛知県生まれ。名古屋大学経済学部卒。1999年、ネットイヤーグループの創業に参画し社長兼COOに。2000年より現職。

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(ネットイヤーグループ代表取締役社長 CEO 石黒 不二代 構成=岡村繁雄 撮影=門間新弥)

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