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破綻連鎖を防げ! 緊急告知「東京都からもらえるお金」

プレジデントオンライン / 2020年4月20日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AndresGarciaM

■命か経済か。国との攻防

4月7日、安倍晋三首相は改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を発出した。人の流れを抑制することで、新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めをかけようというものだ。東京都知事としての権限が生じたことに伴い、小池百合子都知事は東京都独自の措置案を発表。しかしあろうことか、国がこれに待ったをかけた。

理由の一つは、休業要請の内容が厳しすぎるということ。その裏には、休業要請をしてもセットである補償ができないという事情もあった。本来であればこの補償は国の仕事であり、緊急事態について定める特措法にも明記すべきもの。しかしそれがなかったのだ。国は基本的対処方針の改正までして都知事の権限を奪い、小池知事の動きを止めた。

その波紋は都議会にも広がった。都民ファーストの会も最大会派として国に抗議し、戦った。しかし揉(も)めている間にも感染は広がっていく。東京都にとって事態は一刻を争っていた。命か経済か。3日間にわたる攻防の末、小池知事は4月10日、国を押し切る形で休業要請対象となる業種を発表した。

休業を要請するということは、少なからず経済にブレーキをかけることを意味する。当然、中小企業や個人事業主へのダメージが懸念される。しかし東京都においても同じく、予算面でも制度面でも補償を行うのは現実的ではない。繰り返しになるが、それは国の仕事だ。一体どうなるのか。都内で商いを営むすべての人が固唾(かたず)を飲んで見守る中、小池知事が発表したのが「感染拡大防止協力金」だ。

■休業してください。50万円を支給します

都の休業要請には、厳密にいえば「特措法に基づく要請」と「特措法に基づかない協力依頼」の2種類がある。従わなかった場合の対応には差があるが、いずれも諸外国のような強制力や罰則はない。都から休業(あるいは時短営業)のお願いをする。それに協力してくれた事業者には、お礼として現金を支給する。その意味で、補償でなく協力金なのだ。

具体的には、緊急事態措置期間中(4月11日から5月6日まで)全面的に協力した中小企業および個人事業主が対象。支給額は1店舗につき一律50万円。お店を運営する事業者に対して支払われる。2店舗以上を経営する事業者には一律100万円だ。

対象業種は以下。

基本的に休止を要請する施設(特措法施行令第11条に該当するもの)

商業施設や遊興施設、パチンコ屋やライブハウス、スーパー銭湯なども対象となった一方で、コンビニやスーパーなど生活必需品を扱うお店、病院や銀行など生活インフラは対象外となった。

対象となった中でも、床面積が100平方メートル以下の店舗に関しては適切な感染防止対策の徹底のうえで営業することが可能となっている。営業することもできるが、支給の対象とはならない。休業した場合は支給の対象となる。

飲食店に要請するのは営業時間の短縮だ。休業は要請しないが、朝5時から夜20時までの間にしてください、夜間・深夜に及ぶ営業はやめてくださいというお願いになる。歌舞伎町や六本木で発生したとされる「夜の街クラスター」を意識してのこと。お酒の提供は19時までとしてもらう。

もちろん完全に休業した場合も対象になる。とにかく夜20時から翌朝5時の間は営業しないことが条件だ。店舗営業を20時で切り上げ、20時以降はテイクアウトやデリバリーに切り替えてもOK。ただし、もともと20時までやっていないお店は残念ながら対象外だ。

■いつから、どうやって申し込むのか

申請から支給までのスケジュールや申し込み方法が発表されたので記しておく。

受付開始は4月22日。募集要項が公表されるのと同時に、専用ホームページが立ち上がる。基本的にはここからオンライン申請していただくことになる。郵送や持参も可能とのこと。

申請に必要な書類は

①協力金申請書(法人の場合は法人番号を記入)
②営業実態が確認できる書類(確定申告書や直近の帳簿、営業許可証などの写し)
③休業の状況が確認できる書類(事業収入額を示した帳簿や休業期間を告知するホームページ・店頭ポスターなどの写し)
④誓約書

①と④は都でフォーマットが用意されることになると思うが、②と③はあらかじめ用意が必要だ。申請の受付は4月22日から6月15日まで行われているのでとりわけ焦る必要はないが、支給は5月の上旬から順次を予定している。目の前のキャッシュに困っている事業者も多いときだからこそ手続きも煩雑にせず、スピード感にこだわったところだ。

なお、先に述べたように緊急事態措置期間そのものは4月11日から始まっているのだが、制度概要の発表は4月15日になってしまった。経営判断もこれを見てからという方も多いと思うので、実際の休業は4月16日からでも構わない。

応募できるのは休業(時短営業)要請の対象になっている業種で、4月11日以前から開業しており、営業の実態があるお店。本社が都外であっても、店舗・事業所が都内にあれば対象となる。申請が通った暁には、協力事業者として施設名(屋号)を都のホームページで紹介することになっている。

「うちは対象になるのか」「こういった場合はどうなるのか」など、不明な点は以下に問い合わせができる。

東京都緊急事態措置等・感染拡大防止協力金相談センター
03-5388-0567
受付時間 9~19時(土日祝日を含む毎日)

■国の「持続化給付金」もセットでもらう

東京都が「感染拡大防止協力金」の支給を決めたのに対し、国は「持続化給付金」の支給を検討している。新型コロナウイルスの感染拡大により大きな影響を受けた事業者、具体的には売り上げが前年同月比で50%以上減少している事業者に対し、給付金を支給するというものだ。

持続化給付金に関するお知らせ

資本金10億円以上の大企業を除けば、中小企業や小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者、また医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など対象は幅広い。

給付額は法人で200万円、個人事業者で100万円。ただし、昨年1年間の売り上げからの減少分が上限となる。東京都の協力金のように一律ではなく、マイナス分だけ補填される仕組みだ。計算式は以下。

前年の総売上(事業収入)―(前年同月比▲50%月の売り上げ×12カ月)

2020年1月から同12月のうち、前年同月比で売り上げが50%以上減少した月を事業者側で選んで申請できる。昨年創業したばかりの事業者への対応も検討中だ。

申請方法や要項については国会の補正予算成立と同日に公表される予定。国会の審議日程にも左右されるが、いまのところは4月24日が有力だ。申請方法は東京都の協力金と同じくオンライン申請が基本。対応窓口も順次設置されるとのこと。

申請に必要な書類は以下。

法人の場合
①法人番号
②2019年の確定申告書類の控え
③減収月の事業収入額を示した帳簿等
個人事業主の場合
①本人確認書類
②2019年の確定申告書類の控え
③減収月の事業収入額を示した帳簿等

補正予算が成立してから1週間程度で申請受付が開始されるということなので、いまのところ4月末には専用のホームページが立ち上がるものと思われる。オンライン申請の場合、申請してから2週間程度で口座に振り込まれる。

東京都の「感染拡大防止協力金」も、国の「持続化給付金」も、簡素な手続きで申し込め、スピーディに現金が手に入ることが特徴だ。感染拡大の煽(あお)りを受けダメージを負った都内の中小事業者、個人事業主の皆様には少しでも早く元気になっていただきたく、ぜひセットで使ってもらいたい。

■大事なのは手元の現金とスピード感

新型コロナウイルスの感染拡大とともに経済へのダメージは大きくなり続ける一方で、いまだに国では制度設計や線引きの議論に延々と時間を消費している。政治がまず手を差し伸べなければならないのは明日、明後日の生活に困っている人たちであり、そのために必要なのは手元のキャッシュ(現金)だ。

当面は命を助けるための感染防止対策と経済対策を最優先し、その他は後回しでもよい。死んでから助けられても遅いのだ。日々目まぐるしく状況が変わるなかでも、とにかくスピード感を意識しながら、都民の命とお財布の両方を守っていきたい。

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尾島 紘平(おじま・こうへい)
都民ファーストの会・東京都議会議員
早稲田大学政治経済学部卒業。衆議院議員小池百合子(現東京都知事)秘書。2015年練馬区議会議員。2017年東京都議会議員(練馬区)。「新しい」「正しい」「わかりやすい」をキャッチフレーズに、都政改革に取り組んでいる。

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(都民ファーストの会・東京都議会議員 尾島 紘平)

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