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「コロナでいきなりテレワーク」で困らない会社が必ずやっている3つのこと

プレジデントオンライン / 2020年7月2日 6時15分

サーキュレーション代表取締役 久保田雅俊さん

コロナ禍を契機に本格的にテレワーク推進へと動き出す会社、一過性で終わって元の働き方へと戻る会社、両者を分けるものは一体何なのでしょう? プロ人材のシェアリングサービスを運営し、多くの企業の事例を見てきたサーキュレーション代表取締役の久保田雅俊さんに伺います。

■変革には、経営トップの強い意志が不可欠

経営トップが働き方についての発信をしているかどうか、というのはわかりやすい指標の1つです。たとえ「現時点ではテレワークを急速に進めることはできない」という判断であったとしても、それをトップとして社員に伝えているかどうか。

新型コロナウイルスの影響で、多くの企業は業績にダメージを受けています。また、テレワークで成果を出すにはどうしたらいいか、というメソッドもまだ確立されているとはいえない状況です。

混乱がおさまらない現時点では、「テレワークを本格導入した会社は先進的」「出社を求める会社は変化に乗り遅れる」と断定することはできません。「テレワーク続行!」にしても「全員出社!」にしても、“お達し”のみでトップのメッセージを伴わないのが最も残念なパターンです。

■人事戦略に落とし込んだ企業の動きは早い

この数カ月、混乱のなかでもテレワークを導入してみて発見したことを、アフターコロナにどう活かしていくか。変われる会社は、必ずこの視点を会社の経営計画にまで盛り込んでいきます。

さらにテレワーク導入を、人事戦略上の重点ポイントだと認識しているかどうかも見るべきポイントです。自社に合わせたテレワークのあり方について人事戦略につけ加えているか、議論のみに終始せず、そのアウトプットが全社員に共有されているかどうか。

たとえば人事制度のなかにテレワーク勤務に関する項目を入れ込んでいく。そして評価制度、目標管理をきちんと行う。これがさらに進むと、プロジェクトマネジメントの意識を高める研修など、具体的な施策が動き出します。オンラインミーティングのモデレーション、ファシリテーションについての研修、デジタル化でどう働くかという知識レベルをあげる施策が走っていくはずなのです。

経営計画、人事戦略の重要課題ととらえて対応を始めている会社は、こうした具体策への動きも早いのです。

■自社流テレワークを言語化、260ページのブックに

弊社では、緊急事態宣言下の約2カ月の間に、テレワークに関するレギュレーションブックを制作しました。その分量は、すでに260ページにも及びます。最初の60ページでは、オンラインミーティングのために必要な準備、ウェブ会議でのコミュニケーションの注意点などがまとめられています。いわゆる決まり事、ルールですね。残りの200ページは、全社員から寄せられたテレワークのTipsです。これをテレワークプロジェクトのチームメンバーが精査し、全社員に共有できると判断したものをピックアップして掲載し、随時更新しています。

このプロジェクトは全社巻き込み型で行い、誰もが経営に発信できるようにしました。そして、それを毎日やり続けたのです。テレワークの本質的な生産性というのは、このように言語化することでしか見えてこないと考えています。

6月以降、取り組んでいるのは、出社とテレワークが混在するハイブリッドワークにおけるメソッドの実行開発です。テレワークで蓄積した知見を入れ込みながら、ハイブリッドワークならではの新しいものが構築されつつあります。

もちろんこの作業は非常に手間がかかります。だからこそ私自身がこのプロジェクトのオーナーとなり、取締役がプロジェクトマネジャーに、さらにCTOも加わることで、会社が本気であることを強いメッセージとして発信しています。

■デジタルツールが使えない管理職はいらない

日本企業の上層部は、企業ガバナンスや過去のマネジメントについては非常に詳しい傾向があります。けれど、残念ながらデジタルツールについてはアレルギー反応を示す人が多いようです。これまでは部下が横について、部長の代わりに操作をしてあげていました。でも、テレワークになったら、その部下はもう隣にいないわけです。誰かにいちいち案内してもらわなければ、オンライン会議システムにさえ入れない。そんな上司はもう不要ですよね。マネジメント層は早急にデジタルツールの習熟をめざすべき。そして、なるべく早く日本中からデジタルツールが使えない人材を減らしていくべきです。それでも勉強をしないという人は、管理職をやめるしかありません。

いま、ウェブ上でもさまざまな教育プログラムが配信されています。無償で受けられるオンライン講座も山ほどある。ツールを使いこなすぐらいのことは、いくら年配の人でもできないはずがありません。もしどうしてもわからないことがあるなら、部下に頭を下げて教えてもらえばいいんです。

■学び、スキルアップの目的は何か

日本は諸外国に比べて、生涯教育、リカレント教育の遅れが指摘されています。デジタルトランスフォーメーション(DX)、マネーや投資、そして自身の専門性を高める学び。今、気づいて始めた人と、無為に過ごした人とでは、数年後に大きな差ができることは明らかです。

新型コロナウイルスがもたらした混乱は非常に大きい。でも、今回の問題は絶対に解決できる種類のものです。私はこれからの世界に、大きな希望を持っています。これからは、「社会のために自分の価値を発揮する」という働き方が主流になるでしょう。競争ではなく、「共創」の社会になっていく。誰かに勝つために能力開発をするのではなく、大きく変化していく社会に対して自分の価値を発揮し続けるために、自分の能力を開発していく。そういう発想が必要です。

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久保田 雅俊(くぼた・まさとし)
サーキュレーション代表取締役
1982年生まれ、静岡県出身。新しい働き方を追い求め、学生起業、家業の清算、会社員としての管理職、パラレルワーク、社内起業を経験する。学生時代に複数の事業を立案し学生起業家となり、パラレルワークを実現。21歳のときに、地元の進学塾を経営していた父親が意識不明となり、10年間に渡って、父親の介護を余儀なくされる。父親が経営していた企業は継続不可能となり、自身の手で会社の清算をすることとなる。その経験から企業経営には「金」以上に「人の経験・知見」が必要であるという考えにたどり着いた。2014年株式会社サーキュレーションを設立。プロフェッショナル人材の経験とスキルを複数社で活かすプラットフォーム(プロシェアリング)を運営している。2020年現在、経営プロフェッショナルのネットワークは1万3000人、導入企業は1500社を超える。

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(サーキュレーション代表取締役 久保田 雅俊 写真=iStock.com)

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