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銀座ママ「つまらないコンプライアンスが日本を滅ぼす」

プレジデントオンライン / 2020年7月26日 11時15分

若かりし頃のママ。「いままでお付き合いしてきた男性はみんなお店のお客様です」。

■私、進次郎さんに物申しました

コロナコロナで、夜の街で働く私たちは毎晩悲鳴をあげていますが、バブル崩壊、リーマン・ショック、東日本大震災と、これまでにも数々の危機を克服してきました。今回もきっと乗り越えることができる。そう信じているのです。

それよりも私が不安に思っていることは、いつからかみなさんが当たり前のように使うようになった、「コンプライアンス」という言葉です。銀座の街は夜の社交場としての役割をまっとうしていたわけですが、コンプライアンスのせいで接待すること自体が厳しくなってきました。会社としても、接待交際費として飲み代を経費で落とすことができない。

ひと昔前は、一流企業の役員様と同伴させていただいた際、並木通りを歩きながら「これ素敵ね」なんて言うと、ポケットマネーで何十万もする着物を買ってくれたものです。河井夫妻の1億5000万円はそりゃコンプライアンス違反ですが、企業の方たちが銀座や赤坂、新橋で飲み歩き、そこで出会いが生まれビジネスが生まれ、経済が回っていくのです。

■人間関係は薄くなっていく一方

最近ある会社でこんなことが起きたそうです。若手の社員が上司から、「経費で落としていいから、銀座で取引先を接待してきなさい」と命じられ、「残業代は出るのでしょうか?」と聞き返した。会社のお金で飲み食いするうえに残業代だなんて、何を言っているのでしょうか。さらにいまの時代は、上司が部下を飲みに誘うだけでもパワハラになってしまうケースもある。こんな世の中では義理人情もへったくれもなく、人間関係は薄くなっていく一方です。

銀座の街を飲み歩いて美しい女性を口説く、もちろんそういった目的もあるにはあります。しかし最たるは、経営者や役員同士が銀座で出会って人間関係を深めながら大きな商談に発展してゆく。そこに作家たちも加わり、新しい文化が生まれていくことにあります。息子さんは少し遊びの幅が広すぎたようでしたが、大王製紙の井川高雄元会長などは、文壇とも非常につながりが濃く、日本の文化を担っていたお方でした。

企業も企業で、お金を貯め込まないでどんどん吐き出さなきゃいけない。利益が出れば外国に投資ばかりで、国民のことなんかひとつも考えていないところが増えてしまいました。

以前私が経営していた蕎麦屋に、現環境大臣の小泉進次郎さんが来店したことがあるんです。「進次郎さん、このままでは銀座の文化は廃れていくばかりです。企業の接待交際費を認める世の中に戻してください」と私は物申しました。すると彼は、「私が声をあげるのではなくあなたのような人がもっと声をあげていかないと変わりません」とおっしゃったのです。進次郎さんのファンとしては期待通りの声をいただけませんでした。国民の声を具現化するのが政治家の仕事ではないのでしょうか。

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水口 素子(みずぐち・もとこ)
銀座老舗文壇バー「ザボン」ママ
鹿児島から上京後、商社で役員秘書として勤務。囲碁棋士の藤沢秀行に連れられ、銀座を訪れたことを機に退社。文壇バー「眉」に入店し、5年で独立。

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(銀座老舗文壇バー「ザボン」ママ 水口 素子)

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