あなたVSドリンク「ジュースや缶コーヒーの"見えない糖"が病気を引き起こす」

プレジデントオンライン / 2020年8月9日 11時15分

PIXTA=写真

■“消化不要の液体”が危険な理由

暑い暑い夏は、冷たい飲み物がおいしい季節。あなたが毎日飲んでいるドリンクはなんだろう。

実は、健康の観点からできるだけ避けてほしい飲み物がある。清涼飲料水だ。ベストセラー『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)を執筆した牧田善二医師(AGE牧田クリニック院長)は、缶コーヒーや炭酸飲料、スポーツドリンクなどを“悪魔の飲み物”と評する。

「これらは人の消化や吸収機能を無視して作られているのです。本来食べ物が胃に入ると、炭水化物なら3時間、脂肪なら7時間ほどかけて消化をします。そうしてドロドロになったものが腸に送られ、ゆっくり体に吸収される。

ところが、液体に“消化”は必要ないんです。清涼飲料水に含まれた砂糖の塊は、胃を通り越して一気に腸に入ってしまいます。米やパン、さらにはケーキなどに含まれる糖質より体への悪性度がずっと高い。血糖値が急上昇し、血管の内皮が傷ついて、やがて血管が硬くなります」

人の空腹時血糖値はおよそ90ミリグラム/デシリットル。これは100ccの血液中に90ミリグラムの砂糖が溶けている、と理解するといいという。

「体の全血液は4.5リットル程度ですから、4.5リットル中に約5グラムの砂糖が溶けているとしましょう。ジュースを飲むということは、その血液中に20~30グラムの砂糖の塊をドバッと入れるようなもの。血糖値でいえば千の数字が出るほどの量を一気に取り込むことなる。体は血糖値が急上昇しないように、すぐさま膵臓から大量のインスリンを分泌し、千の数字が出るほどのものを140(ミリグラム/デシリットル)程度に抑える。それを何度も繰り返すうちに膵臓は疲弊し、必要なときにインスリンが出せない=糖尿病に行き着くんです」(牧田医師)

■肥満、糖尿病、認知症の原因になる

血糖値が急上昇するとき、体内で老化を促進させるAGE(終末糖化産物)という悪玉物質が大量発生することがわかっている。糖質が多い飲み物は、血管を傷めて動脈硬化を進めることと、AGEを生み出して体内に蓄積させるという2点から体を老いに向かわせ、肥満、糖尿病、認知症の原因になるともいわれているのだ。新型コロナの感染では糖尿病などの生活習慣病が重症化リスクを高めると考えられている。

近年、欧米諸国では清涼飲料水を危険視している。消費者の購入を抑制するため、糖質を多く含む清涼飲料水に「砂糖税」が導入されたほどだ。

「Added sugar(=添加糖。加えられた糖)という言葉が、最近海外で注目されているんです」とアンチエイジングに詳しい吉木伸子医師(よしき皮膚科クリニック銀座院長)が補足する。

「かぼちゃやフルーツのような自然の甘みではなく、食品の製造過程で入れた糖という意味です。これが悪い糖になり、世界中で問題視されています。国内の市販の炭酸飲料やジュース類、タピオカドリンクなどの多くには1本あたり40グラム(スティックシュガー13本分)もの添加糖が含まれます」

そうなのだ。私は、日本臨床栄養協会評議員で管理栄養士の遠藤惠子氏とともに国内のメジャーな清涼飲料水の糖質量をチェックし、それを1本3グラムのスティックシュガーに換算。すると誰もが聞いたことのあるような商品名の清涼飲料水はほぼ例外なく、スティックシュガー3本以上の“見えない糖”を含んでいることがわかったのだ(図参照)。

「ちょっと1本」飲むことが、驚くほどの量の糖質摂取につながる

また一見すると体に良さそうな飲むタイプのヨーグルトや、野菜・果物のジュースにも、多くの糖が含まれている。調査にあたった遠藤氏が説明する。

「体を気遣う人に限って、それらを常飲しています。飲むタイプのヨーグルトは飲みやすいように甘くしています。果物もそのまま食べるなら数個で満足感が得られますが、ジュースにすると果物10個分ぐらいの糖分を一気に取ってしまいます。夏になるとライチやレモンなどの酸味の効いたもの、梅味のドリンクがブームになりますが、パッケージにある成分表の『糖質量』を必ず確認してください」

■幸福感とイライラをもたらす糖質中毒

缶コーヒーも“微糖”を選んでいるから大丈夫と思うのも、大間違い。“微”のイメージからはほど遠い、スティックシュガー換算で1~3本の糖を含む商品が大半だ。

さらに微糖、甘さ控えめ、カロリーオフなどの商品には“甘さ”に慣れやすいアスパルテームやスクラロースといった「人工甘味料」も含まれている可能性が高い。

甘さに慣れることを牧田医師は「糖質中毒」と呼ぶ。

「たくさんの糖を取ると、血糖値がぐんと上がり、脳内物質のドーパミンが分泌されるので幸せな気分になるんです。血糖値が急上昇する→脳がご褒美と感じる→インスリンが大量に分泌され血糖値が下がる→低血糖でイライラ→再び飲みたくなる、というサイクルになってやめられない。タバコを吸ったら気分が良くなるニコチン中毒と同じですよ。糖質中毒から抜けるには2カ月ほどの我慢が必要とみています」

コーヒーそのものは動脈硬化や糖尿病防止にも働き、良いドリンクだ。余計なものを添加した市販の缶コーヒーが体に良くないことを知っておきたい。そしてどうしてもコーヒーに砂糖を入れたいときは、自分で足したほうがまだいいだろう。もう1度、図を見てほしい。自ら砂糖(スティックシュガー)を入れるなら、3本以上ともなると躊躇するのではないだろうか? 普段目にする市販ドリンクには“見えない糖”がここまで含まれているのだ。

それでは夏においしいアルコール類についてはどうだろうか。

最も気をつけたいものは「梅酒」。

「梅酒100ミリリットルで一般的にスティックシュガー9.8本分もの糖分が含まれています。梅が氷砂糖に漬かっているものをもとにしていますから、まさしく砂糖の塊といえます」(遠藤氏)

ビールは食後に血糖値を上げやすく、日本酒は糖質が高いので、どちらも飲む量に注意が必要だ。

ワインの場合は、発酵の過程でブドウに含まれる糖分がアルコールに変化するため、糖質がほぼ含まれない。

「赤ワインにはレスベラトロールなど、さまざまなポリフェノールが含まれます。抗酸化作用が高く、AGEも半分くらいに抑えられるという研究もあるのです」(牧田医師)

ちなみに白ワインにもポリフェノールは含まれる。

ドリンクの良し悪しは、砂糖(糖質)量はできるだけ少なく、そしてポリフェノールをできるだけ多く含むもの、という観点から選ぶといい。もちろんシンプルに「水」も、花丸だ。

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笹井 恵里子(ささい・えりこ)
ジャーナリスト
1978年生まれ。「サンデー毎日」記者を経て、2018年よりフリーランスに。著書に『週刊文春 老けない最強食』(文藝春秋)、『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)など。

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(ジャーナリスト 笹井 恵里子 写真=PIXTA)

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