会議で「空気を読めていない」と思われがちな人がよくやっている話し方
プレジデントオンライン / 2021年5月24日 9時15分
※本稿は、阿隅和美『仕事ができる人の話し方』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
■人の話を聞く余裕がない
会議で発言のタイミングが難しいと感じることはありませんか?
場の空気を読みすぎて言いたいことが言えない、話したいことがあるのにタイミングをつかめず悶々としてしまうなど、自分の思い通りに発言できなくて、もどかしい思いをすることってありますよね。
発言が唐突で、場の空気が読めていない
私の経験上、会議中にうまく対話の波に乗れないのは、おもに2つの原因がありました。
1つは、論客ぞろいで、もし発言をしたらどう思われるかと反論が不安な時。自信がないと躊躇してしまうものです。
そしてもう1つの原因は、今日こそ発言するぞ! と身構えすぎて、人の話を聞く余裕がない場合です。ちゃんと聞いていれば「それってさあ」と流れを汲んで自然に話に入っていけますが、自分に意識が向いているとまわりが見えていません。
勇気を出して「ちょっといいですか!」と話に割って入っても、「その話、もう終わったけど」とか、「今の流れとは関係ないよね」と空気を読めない人と化してしまうのです。
では、タイミングよく発言する人は、どうしているのでしょうか?
■言葉よりも先にアイコンタクトで合図する
それは、話している人に視線を送り、「次に話したい」という合図をしているのです。
話をしている人に視線を送り続ける
リアルの場なら、発言したくない時は当然、目をそらしますよね。その逆で、話したいことがある時には、発言者に視線を送っていれば目が合います。
言葉よりも先に、こうしたアイコンタクトで“少しいいですか?”と目配せをする非言語コミュニケーションが、話の流れにうまく乗りたい時には便利なのです。
それに、人は見ているところ(この場合、会議のファシリテーター〈進行役〉や主要な発言者)に意識が集中しますので、会議の流れも頭に入ってきます。そこで「あ、それ、重要ですよね!」「同感です!」などあいづちをきっかけに話に入ることもできます。
■オンラインでは発言理由を言うと好印象
一方、オンラインではどうでしょうか?
まず、オンラインでの途中発言は、言葉がかぶらないように許可制がおすすめです。発言したい時には手を挙げる、チャットに発言がありますと書き込むなど、参加ルールを決めておくとスムーズです。
そして特に大切なのが、「なぜ、このタイミングで発言をするのか」の理由を伝えることです。
・緊急性を伝える例
「今の○○さんの報告に関連して補足したいことがありまして、少し(お時間いただいて)いいですか?」
・重要性を伝える例
「○○さんの報告にあったクレーム、大事な点なので(発言しても)いいですか?」
リアルは、みんなが同じ場所にいるので、わざわざ言わなくても雰囲気が伝わるのですが、オンラインではそうはいきません。突然、割って入って勝手な話をするのはオンライン会議の迷惑行為です。
そんな誤解を受けないように、どうして発言するか、その理由を短く伝えることで、発言許可をもらうのです。このように丁寧なコミュニケーションを心掛けると、いつもタイミングよく発言をする人だなあ、と一目置かれる存在になります。
オンラインは、年功序列や役職による席次がなくなり、画面上に顔が並んで表示される「フラットな環境」が特徴です。
これまで上司の顔色をうかがって積極的な発言を控えていた若手が、自分の意見を言いやすくなったという声もあります。
一方で、これまで単に声が大きいだけで存在感を保ってきた人や、議論と関係ないことでいちいち口をはさみ、流れを止めていた不要な発言をする人があぶり出されています。
多様性を認める企業風土づくり、生産性を高める組織づくりを進める意味からも、オンラインミーティングの活性化は望ましいことです。ぜひ、オンラインでの進め方を上手に取り入れていきましょう。
■脱線話をうまく引き戻す仕切り上手のツボ
会議に積極的に参加した結果、議論が白熱するのは好ましいことですし、短めの脱線話なら、よい気分転換にもなります。
しかし、しばしば要領を得ない発言をダラダラ続ける人や、いつの間にか自分の自慢話にすり替わっている人がいます。こういう人のせいで、せっかくの貴重な時間を浪費してしまうのはもったいないことです。
例えば、あなたが進行役のミーティングで脱線話を長々とする人がいたとしましょう。
苦笑いをしながら黙ってがまんしている
気心の知れた相手なら「ちょっと時間が押しているので、巻きで(短めに)お願いします!」などと冗談っぽく注意できますが、気を使う上司やお客様となると困るのではないでしょうか?
そんな時に役に立つのが、雰囲気よくやんわりと場を仕切るフレーズです。
例えば、脱線した話をやんわりと戻したい時には「クッション言葉+結論を催促」がおすすめです。
クッション言葉とは、「恐れ入りますが……」など依頼やお断り、意見・反論をする時に、きつい印象にならないように先に挿入して使う緩衝材となるフレーズです。
「ご発言中ですが、要約させていただくと……」
「お話の途中で恐れ入りますが、今の発言の意味は○○ということでよろしいでしょうか?」
こんなふうに言えば、話が脱線した相手に不快感を与えずに、うまく軌道修正できます。
また、
「興味深いお話ですが、そろそろ本題もお伺いしたいです」
「そのお話は、また別の機会にお伺いするということで……」
というやんわりしたフレーズで本題に引き戻せば、相手を嫌な気にさせず、ちょっと話しすぎたかなと気づいてもらえます。
■「さすが!」と言われる仕切り直しフレーズ
心証を悪くさせないコツは、おどおどせずに朗らかなトーンで、「本当は続きを聞きたいけど時間の都合で申し訳ない」というニュアンスを伝えることです。
このテクニックは、オンラインでも使えます。
オンラインでは、発言のルールをあらかじめ決めておけば、比較的仕切り屋タイプの人が勝手な話の展開に持っていくことは少ないはずですが、話が迷走する人は出てきますし、意見が対立して空気が険悪になることもあります。そんな時に有益なのが場を仕切り直すフレーズです。
・話が迷走気味の人への助け舟の例
「要約すると、どういうことですか?」
「結局のところ、○○について、どうなのでしょうか?」
・空気が悪くなった時
「このあたりで一度これまでの話を整理して方向性を確認しませんか?」
こうした場を仕切るフレーズをいくつか用意しておくと、いざという時に焦りませんし、何より「場をうまくまわせる」と「さすが!」と言われます。
■しゃべりが止まらない人を静止したい時の秘策
アナウンサーも、ゲストとのトークを仕切るスキルがある人=デキるアナウンサーというのが一つの評価の目安となっていました。
仕切るためには、タイミングとフレーズの2つが大事です。そのためには、なんでそんな発言をしているのか、趣旨を捉えながら聞くこと。そうすることで、口をはさむのにキリのいいタイミングがわかりますし、適切なフレーズも浮かんできます。
それでも、どうにも話が白熱して止まらない時や、しゃべりが止まらない人を静止したい時の秘策があります。それが、相手が息継ぎをする瞬間を狙って言葉をはさむ方法です。
息を吸うタイミングを見計らって「すみません、少しいいでしょうか?」「話は尽きませんが、次のテーマに進めます」と言葉をはさんで、話の流れを取り戻すのです。いざという時に使ってみてください。
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WACHIKAコミュニケーションズ代表
青山学院大学経営学部卒業。中部日本放送アナウンサーを経て、NHK衛星放送キャスターとして、株式市況、世界のトップニュースを10年担当。20年にわたり、スポーツ、経済、情報番組に関わる。アナウンサー名は瓶子和美。現在は、TV現場で培った技術を活かし、ビジネス現場でコミュニケーション力を発揮し、成果を出す人材を育成する研修、講座、講演を行っている他、経営層・管理職、エグゼクティブリーダー向けプレゼン・スピーチのパーソナルトレーニングやコンサルティングなどを実施している。著書に『心をつかみ思わず聴きたくなる話のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)があり台湾でも翻訳されている。ホームページ
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(WACHIKAコミュニケーションズ代表 阿隅 和美)
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