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「私が辞めると聞いてどう思った?」と質問攻め…なぜか"みんなに嫌われる人"が決定的に勘違いしていること

プレジデントオンライン / 2024年4月12日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Farknot_Architect

なぜか周囲に嫌われてしまう人は、どこがマズいのか。コミュニケーションコーチの小林音子さんは「自分の承認欲求を満たしたいと、自分勝手に動いてはいけない。思い通りに「人が動く」と、思い通りに「人を操る」には、決定的な違いがある」という――。

※本稿は、小林音子『アメリカの中高生が学んでいる話し方の授業』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■「相手中心のマインド」を持つことが不可欠

自分の承認欲求をマネジメントすることができないと、自己中心のマインドでコミュニケーションをしてしまい、その結果、相手に違和感や不快感を与え嫌われてしまいます。

それでは、どのようにすれば「自己中心のマインド」を「相手中心のマインド」に変えられるのでしょうか。それにはまず、自分軸を置いた上で、相手の価値や意見、感情を尊重することを念頭に置きます。

このマインドセットした「心の持ち方」を意識して、常に相手を尊重しようと会話の途中でも何度も思い出しながらコミュニケーションすることが、「相手中心のマインド」を持つということです。

「相手中心のマインド」を持つことは、健全な人間関係の構築、効果的なコミュニケーションに不可欠です。そのためには「自分の承認欲求」を自覚してマネジメントし、「相手の承認欲求」に応える必要があります。順を追って説明します。

■「あの人ってムカつかない?」と言いたくなったのはなぜか

自分の承認欲求を自覚するにはどうすればよいでしょうか。実は自分の承認欲求に気づくことは簡単ではありません。自然には気づきにくいのです。ですから、コミュニケーションを取っているときは、常に自分のマインドにある承認欲求を自分にあったやり方で探しましょう。

言われたい言葉から逆算する

コミュニケーションにおいて承認欲求を満たすために自分がどんな言葉を求めているのか考えてみる方法があります。「いいね」「すごいね」「正解」「OK」「ありがとう」「わかる」「大丈夫」「大好き」などの、承認を意味する言葉を言われたいという承認欲求を持っていることに気付くことができます。

たとえば「あの人ってなんかムカつかない?」という話をしたくなったとき、一旦立ち止まって、自分の気持ちを客観視します。「なぜ私はそのようなことを相手に伝えようとしているのか」理由を考えるのです。

「あの人ってなんかムカつかない?」「わかるームカつくよね!」
「あの人ってなんかムカつかない?」「そうなの。私も思ってた(正解)」

というように、この場合は「わかる」「正解」と言ってもらいたいことが多いでしょう。

このように承認を意味する言葉から見つけることができます。

■「お願い文」にすれば自分の承認欲求を自覚できる

「お願い文」に書き直してみる

漠然と思っていることから承認欲求を見つけるもう一つの方法は、今から相手に伝えようとしている言葉を心の中で丁寧な「お願い文」に書き直してみる方法です。

「あなたもあの人がムカつくと思うなら一緒に悪口を言いませんか?」
「私は、あの人にムカついていますが、あなたもムカつくなら詳細を教えてくれませんか?」
「私が、あの人にムカつく理由を聞いてくれませんか?」
「私は、あの人の意地悪についての分析が優れているので興味があるなら聞きませんか?」
「私は、あの人にムカついたのであなたに愚痴を言ってストレス解消をしたいのですが、聞いてくれませんか?」

もし、このように「お願い文」に変換することができれば、相手に何かしら承認を求めているということになり、相手に伝えたかったことは自分の承認欲求だったのだと気づくことができます。

自分の承認欲求を自覚できるようになると、「自分は間違っていない」「他人を批判することで自分を肯定したい」「悪口で興味を惹きつけたい」というような自己中心のマインドに気づけるかもしれません。

ここまで自分の承認欲求を理解できるようになれば大きな進歩です。すると「ああ、私は愚痴を言いたかっただけだ。でも他人を巻き込むのはやめよう」という考えになるかもしれません。

また、もしどうしても愚痴を言いたいとわかった場合は「3分愚痴を聞いてもらってもいい?」と素直にお願いするのもいいでしょう。相手の気持ちや状況などを考えながらコミュニケーションを行えるようになります。

吹き出しを持つ人の手
写真=iStock.com/simarik
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/simarik

■「自分との対話」で自分を客観視できるようになる

セルフトーク

私どものレッスンでは、皆さんにセルフトークを実践していただいています。自分と自分で対話を行うことで、自分が何を考えているのか、何を思っているのかを掘り下げていく手法です。

このセルフトークによって、自分が発言したことについて、「本当にそう思っているのだろうか?」と自問していきます。すると、最初は「そう思ったからそう言ったに決まっている」と自信満々だったのが、徐々に「あれ? 本当は違うことを考えていたかもしれない」と自分のことを客観視できるようになっていきます。

「誰のために?」「何のために?」「どうしたいの?」「今?」「絶対に?」「相手は望んでる?」などなるべく短い質問で自分に問いかけます。たとえば「あの人なんかムカつかない?」という話をしたくなった場合で、考えてみましょう。

「話したい理由は?」「誰のために?」「自分のため?」「相手のため?」「あの人のため?」などと問いかけているうちに、答えが見えてくるのではないでしょうか。

■「違和感があった会話」を振り返るといい

自己分析の時間を作る

時間があるときや寝る前、自己理解を深めるために、経験したことを振り返り「違和感があった会話」「もやもやした会話」「言われて気持ちが悪かった言葉」について深く考えてみましょう。

瞑想しながらセルフトークをするのもよいでしょう。違和感があった会話を振り返ったり、普段の口癖を自覚することも自分を知る手がかりになります。

片手にコーヒーカップを持ち、ノートに何かを書く人
写真=iStock.com/MundusImages
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/MundusImages

■思い通りに「人が動く」と「人を操る」は決定的に違う

まず、「理想通り」に皆に好かれたいと考えるのは健全です。これは、理想として皆に好かれている状態が目標とされているのであり、そのため自分自身が努力して、皆に好かれるような人になれることを目指します。

つまり、自分が成長していくのですね。そして理想通りに好かれて人が自発的に協力してくれたり、自分のために動いてくれたりする光景は、まさに人間関係がすべてうまくいっている成功のイメージそのものではないでしょうか。

しかし、思い通りに「人が動く」と、思い通りに「人を操る」には、決定的な違いがあります。そのため、あなたがどちらを選ぶかで、コミュニケーションの姿勢が変わってきます。

思い通りに「人が動く」とき、協力してくれるかどうかは相手の自主性に委ねられています。

■自分の送別会を仕切りだしたHさん

一方、思い通りに「人を操る」というのは、人をコントロールしようと考えている状態です。

このような考えを持っていると、結果的には皆に嫌われることになります。

Hさんが退職することになり送別会がありました。Hさんの理想は涙ながらに引き止められ、名残惜しげに見送られることです。ところが、行ってみると送別会という体裁のただの飲み会の雰囲気で、それぞれが楽しんでいます。

小林音子『アメリカの中高生が学んでいる話し方の授業』(SBクリエイティブ)
小林音子『アメリカの中高生が学んでいる話し方の授業』(SBクリエイティブ)

しかし理想と違うことに腹が立ったHさんは「理想通り」を望み「私が辞めると聞いてどう思った?」「これからほんとに大丈夫?」「私は会社に残ることもできたんだけど……」「あなたが昇進したときのこと覚えてる? 私がさ……」「あのプロジェクトをやり終えてないことが心配で……」などと思い通りの回答を得られるまでみんなに話しかけました。自分の思い通りに言わせよう、褒めさせようとゴリ押しし続けたのです。

最後には「この送別会の仕切りはどうなの?」「そろそろ私へのメッセージを一人ずつ聞きたいな」などと送別会を仕切りだしてしまいました。理想と違う現実を思い通りにするために人を「操ろう」としたのです。これは嫌われてしまうことは明白です。

理想通りの送別会ではないとわかったときに、Hさんがそのことを受け入れ、理想通りを諦めることができたら違ったでしょう。諦められなかったため、どうにか相手を操ってでも理想通りにしようとしたのです。

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小林 音子(こばやし・おとこ)
コミュニケーションコーチ
TEDxスピーチトレーナー、エグゼクティブメディアトレーナー。オリオンズベルトグローバル代表取締役。俳優。コミュニケーションにおけるマインド、言語表現、非言語表現の3つの観点から「自己理解」を深め、「伝える技術」が向上するメソッドを確立。アメリカでコミュニケーションのスクールを複数回視察し、得た知見をメソッドに取り入れる。TEDxスピーカーやビジネスパーソンをはじめ、講師、学生、俳優、タレントに至るまで多様な分野の方に「表現力」のトレーニングを提供。メディアコーチとしては、政界や経済界のエグゼクティブ、広報担当者にメディア対応に必要な技術をコーチング。コミュニケーションコーチとしては、子供からシニアまで幅広い年齢層に向けて「話し方」「聞き方」の基本から、受験・就職面接対策、お見合い対策などをコーチングする。多角的に執筆・講演・ビジネストレーニングを手掛けている。

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(コミュニケーションコーチ 小林 音子)

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