堀江貴文「『メモの魔力』がどれだけ話題になっても、僕がメモを取らないたった一つの理由」
プレジデントオンライン / 2021年10月7日 15時15分
※本稿は、堀江貴文『破戒のススメ』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。
■誰もがホリエモンのような生き方をできる
学生時代に起業してから今日まで、日がな1日ぼんやり過ごしたり、「なんか面白いことないかなぁ……」と、無為に時間を費したことがない。
1日に数十件のビジネスの予定をこなし、旅行に会食、トレーニング、情報収集や発信を行っている。それでも、睡眠時間は6時間以上取っている。普通の人なら、数日こなしただけで寝こんでしまうようなスケジュールかもしれないが、僕の心身はまったく問題ない。毎日がひたすら楽しい。嫌なことやストレスを可能なかぎり省き、常識やいろんな制約に縛られず、不要不急の遊びを味わいつくしているからだ。
遊んで暮らしていますと言うと、「ホリエモンだからできるんだ」と言われる。そんなことは全然ないのだが……逆に問いたい。僕だからできるという根拠は、何? すると、もともと情報処理能力が高い、人より情報に恵まれている、優れたスタッフが周りにいる……などと挙げてくる。
だったらあなたも、できるでしょう? と言いたい。誰だって、その気になれば僕と同じ多動力人生は、可能なのだ。
「遊んで生きる」暮らしは、僕が発明したものでもなんでもない。誰にでも、できる選択だ。もし自分にはできないと言うなら、「できない」理由をつけて、わざわざ遊びを捨てただけではないだろうか。なんて、もったいないのだろう。
他人と見比べ「自分には無理」と言い訳して、行動に制限をかけている人は、人生をムダにしている。繰り返して言うが、人生は有限なのだ。
人生100年時代とはいえ、無限に生きられる人は、僕を含めて一人もいない。だからこそ、僕は無限に生きるために、全力をつくしているのだ。「ホリエモンだから」と皮肉られるいわれは、まったくない。たったいまから、夢中になれる遊びに没頭し、この瞬間を生きる! 特別な能力などなくても、簡単にできることだ。
■成功者は遊びのエキスパート
この世は諸行無常。指をくわえてヒマになるタイミングを待っていても、時間は削られていくだけだ。手や足を好きに動かして、すぐ遊び出す。つまり、行動が大事だ。
ひとたび行動を起こしたら、人生は必ず、大きく動き始める。必ずだ。
待っているだけの人に、チャンスは来ない。動いた人には、チャンスの方から、つかみやすいベストの速度で飛びこんでくる。これはライフマネジメントの法則なのだ。
遊びに乗りだし、遊びにハマることで、成功を強く引き寄せる。損得や後先にとらわれない「没頭」によって、オリジナルの感覚や視点が育つ。それが他人と差別化できる、個性を生み出すのだ。
ビジネスで成功した者たちは、みんな遊びにハマるエキスパートだ。
製造業でもサービス業でも、ネット企業でも、創業者たちは口をそろえて「好きなことに夢中になっていたら、お金に困らなくなっていた」と言う。嫌なことを我慢したおかげでお金持ちになれた、という人は、一人もいない。
「失敗したらどうしよう……」と考えないで、好きな遊びに夢中になる。そうした者にこそ、本物の恵みが自然に集まっていくのだ。
自分を主張せず、上からの命令に従っている常識人が、昔はどの分野でも重宝された。だがいまは、常識を破る行動力の持ち主が求められている。コロナ禍では、さらに価値を高めているだろう。
シンプルに言えば、人生のムダをいとわない「ノリ」のいいヤツだ。頭のいいヤツや要領よく仕事をこなせる秀才は、いくらでもいる。でも、ノリのよさで頭一つ抜け出る人は、なかなかいない。ノリよく、いろんな遊びや出会いの場に顔を出すだけで、プラス評価を積み上げられるのだ。
才能と実績は、意欲的に動いていると、勝手に身についていく。
これからは面白い「ノリ」、そして「カオ」「コト」を持っている人が、ビジネスでも恋愛でも、勝ちを総取りできるのだ。
■「僕はメモや手帳の類いをいっさい使わない」
僕の知り合いであるSHOWROOM代表・前田裕二さんの著書『メモの魔力』が大ベストセラーになった。
他にもメンタリストDaiGoさんの『人生を変える記録の力』や、野口悠紀雄さんの『「超メモ」革命』など、メモ術を説いたビジネス書が近年流行しているようだ。GMOインターネットグループ代表・熊谷正寿さんの「夢が、かなう手帳。」や糸井重里さんの手がける「ほぼ日手帳」などの手帳も、毎年よく売れている。
正直、メモ本ブームに加われないのは少しだけ悔しい。タバコを吸わないので、喫煙ルームでの一服の輪に加われないのに似たもどかしさだ。
愛煙家のビジネスパーソンは、オフィスの喫煙ルームで、同じ愛煙家たちと「最近あの子とどうなった?」とか、「会員制バーの権利がようやく手に入ってさ……」など、その場でしか交わせない話で盛り上がったりしている。他愛もない会話かもしれないが、何か面白いきっかけが生まれる可能性のある空間に入れないのは少し残念だ。
だけど、流行っているからメモの取り方を学ぼうとか、友人のすすめる手帳を買うつもりは全然ない。僕は、メモや手帳の類いをいっさい使わないからだ。
■予定はスケジューラーでの開放が効率的
「人間にとって必要な不要不急」と「人間にとって必要でない不要不急」で言うと、メモ帳は後者の方だ。実利的にはぜんぜん意味がないと思う。
前述した知り合いたちの著作のように、メモ術を説いた本にも、いいものはあると思う。それが読者のビジネスの質を高めるのに役立つなら、結構だ。
でもそれって、メモを使わなくても、できるんじゃない? と僕は考える。
「ほぼ日手帳」は、便利だというなら買ってもいいけれど、「スケジュール管理を見える化して効率よく生きることが上手な自分」を演出したいのが目的だったら、ムダな出費ではなかろうか。
僕がメモ帳を使っていたのは、もう20年以上前だ。ライブドアの前身となるウェブ制作会社を起業して、毎日スケジュールに追われていた。創業2年目くらいまでは、予定管理のためにメモ帳を利用していた。
しかし、3年目に自分たちで社内用のスケジューラーを作りあげた。「iモード」のシステムを使ったツールで、外出先からもチェックできた。自前のシステムで充分、スケジュールを管理できたのだ。
後に共有のスケジューラーを開放して、社員たちが僕のスケジュールを自由に組んでいけるようにした。現在はiPhoneにもともと入っているカレンダーにGoogleカレンダーを同期させ、スタッフにスケジュールを開放している。
スケジュールを整えるのに、メモ帳はいらない。
不要不急の用事がいつ、どんなタイミングで入ってくるのかわからないのだから、スケジュールを開放しておくのが最適だ。逆に言うなら、メモ帳でスケジュール管理しているうちは、まだまだ遊びが足りなかったり、行動の余白が埋めきれていない証拠なのだ。
■メモなんかに頼らず行動に熱中しよう
メモは、めったに取らない。大事なことは必ず記憶しているから。つまり記憶からこぼれてしまうようなワードや案件は、僕にとって重要ではないのだ。
たまにメモを取っても、まず見返さない。家のタンスの奥にしまってある、着なくなった服みたいなものだ。気まぐれにタンス整理していたとき「あ、こんなの残ってたっけ」と、気づいたりするくらいで、特に大事ではない。
たくさんの情報をインプットすれば、脳の中は新しい情報で急速にアップデートされていく。その加速運動においていかれるようなメモワードは、捨てていい。
すごいビジネスアイデアを思いついたからメモする、トラブルの処理方法がわかったのでメモする、という人もいるだろう。しかし、それが後になって本当に役立ったことは、ほとんどないんじゃないだろうか。メモしたような内容は時間が経てば、違う価値ある別の情報に上書きされているはずだ。
メモなんかに頼らず、聞いたことはみんな忘れるつもりで、行動に熱中してほしい。そうすれば情報の上書きからすりぬける、強いアイデアや言葉だけが残るはずだ。
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実業家
1972年、福岡県生まれ。ロケットエンジンの開発や、スマホアプリのプロデュース、また予防医療普及協会理事として予防医療を啓蒙するなど、幅広い分野で活動中。また、会員制サロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」では、1500名近い会員とともに多彩なプロジェクトを展開。『ゼロ』『本音で生きる』『多動力』『東京改造計画』『将来の夢なんか、いま叶えろ。』など著書多数。
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(実業家 堀江 貴文)
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