「無能すぎる上司」への対応でバレる…仕事がデキる人と三流の人の決定的違い
プレジデントオンライン / 2022年3月29日 13時15分
■会社や職場への不平不満はどこから生じてくるのか
ビジネスで成功した経営者や起業家たちは、たとえ思い通りにいかないことが生じても、愚痴ったり不満を誰かにぶつけたりすることが少ないように思います。
彼らのほとんどは「人生はすべて自己責任である」という前提で生きています。
自己責任とは、文字通り自分の人生に責任を持つことです。
これは勘違いする人が多いので注釈をつけると、自己責任とは他人を見放すとか社会的弱者を切り捨てることではありません。そうではなく、「自分の頭で考えて自分で決める、その結果は自分で受け入れる」という意識を持つことです。
他人に決めてもらうと、その結果が望ましくないときに不満となります。
そもそも他人や会社や政府や社会のせいにしたこところで、その人たちが何かしてくれるわけではありません。むしろ期待し依存したら、期待とは違ったとき、裏切られたときに腹が立つでしょう。
それに、自分の人生が自分で変えられないとしたら、希望が持てなくなってしまいます。
だから決定権は他人には譲らない。自分で考えて決めることです。
こうした意識は、何か外的な要因でネガティブな事が身にふりかかったときにも自力で修正・改善していく姿勢につながります。
■「上司が無能すぎる」と思ったら
もちろん、思いがけず病気になったり、あるいは車で後ろから追突されたり、暴漢に襲われたりということまで自己責任だと言うわけではありません。
ウクライナで起きている戦争のように、国民には何の非もないのに、家を追われ車を破壊され命が脅かされるという、理不尽で不条理な状況に巻き込まれることもある(だから私は戦争やテロを徹底的に非難します)。
それらやむを得ない事情は別として、自分の生き方や人生は自分で決めることであり、その結果どんなことが起こっても、すべて自分の責任であるという認識を持つことで不平不満をぐっと減らすことができます。
たとえば、「上司が無能すぎてモチベーションが上がらない」と嘆く人がいます。
しかし、他人に自分のモチベーションが左右されるのはつまらないでしょう。「無能すぎる上司」のために、自分のやる気が損なわれるのはもったいない。
仕事がデキる人は、上司が無能でも文句を言わずサポートします。検討違いな指示が飛んできたら、さりげなく対案を提示するでしょう。そして説明を尽くしても理解してもらえないなら、自ら実際に成功事例を作る。成果を突き付ければ、周囲の考えも変わるかもしれない。あるいは上司のさらに上の上司に相談してみるなど、打てる手はさまざまあります。そこまでしてもダメなら転職すればいいのです。
■不満が多い人の頭の中
これに対し、何かと不満が多い人は、無意識のうちに「自分の環境は誰かから与えられるもの」「その環境は自分では変えることができない」という発想があるように感じます。
学校、就職、結婚といったさまざまな選択肢も状況も、すべて誰かから与えられている。だから自分はその中でベストを尽くすしかなく、それでうまくいかなかったら、その環境を与えた側の責任である、という受け身の考え方です。
こう捉えれば、「自分だって努力しているのに不遇なのは、自分がポンコツだからではなく、努力不足だからでもなく、その時代環境や状況をつくり出した誰かが悪いんだ」と主張している理由がわかるような気がします。
最近はやっている「親ガチャ」というのも、「自分が無能なのではなく、ダメ親だから自分が不遇なだけで、親に恵まれれば自分だってうまくやっていけたはずだ」という、自尊心を守ろうとする保身願望が含まれています(子の人格を破壊するような毒親は別として)。
会社や上司の不平不満ばかり言う人も同じ思考回路です。不満があるなら自ら変えようとか提言しようとか、あるいはそこから離れようとか、いくらでも選択肢はあるのに、「自分で何とかしよう」という意思を捨てて思考停止してしまっているのです。
■誰かの影響をモロに受けてしまうのは不幸
受け身で思考停止しているから、おかしいことをおかしいと思わない。
おかしいと思っても、おかしいと言わない。
おかしいと言うだけで、おかしいことを変えようとしない。
こうしたことを続けていると、誰かの影響をモロに受けることになります。誰かに翻弄(ほんろう)され、誰かに搾取されるということが起きてしまう。とても不幸なことではないでしょうか。
不満を口にしない人たちは、人生や世の中の捉え方が180度違います。彼らは「自分の人生も環境も、自分で創り出せるし自分で変えることができる」という前提で対峙(たいじ)しています。だからつねに問題意識が発動します。
「これはちょっとおかしいんじゃないか?」「こういう問題が起こるんじゃないか?」「これは変えた方がいいんじゃないか?」と気が付き、「では自分ならどうするか」に思考が向かいます。つまり「考え、行動する」わけです。
コロナが長引いて、多方面に甚大な影響が出ています。けれど彼らの多くは、2020年の早いタイミングで、コロナに対応できる商材やビジネスモデルの変革に舵を切りました。飲食店経営者の知人に聞くと、やはり相当な打撃を受けているそうですが、行政を批判したところでどうしようもないと、集客強化のため新メニューの開発をしています。
■「チャンス」をはき違えていないか
企画を通さない上司や不本意な異動に不平不満をこぼす人もいます。逆に、「どうすれば上司をぎゃふんと言わせられるか」「どうすれば今の部署で力を発揮できるか」を考える人もいます。つまりその状況そのものが最初から善とか悪とか決まっているわけではなく、それで発奮するかクサるかは本人の自由なのです。
「希望の部署で経験を積むチャンスがもらえなかった」という人は大きな勘違いをしているのではないでしょうか。たとえば図書館に行けば最新のビジネス書や専門書もあってタダで勉強できるし、世界のトップ大学の講義もオンラインで無料公開されています。社内外で学ぶチャンスはたくさんあり、希望の異動が叶わなかったからといって必要な教養や専門知識、スキルが身に付かないということはありません。
「チャンスをもらえなかった」という人は、チャンスというものをはき違えていることが多いように思います。チャンスとはリスクを背負っているもので、常に表裏一体です。完璧なチャンスはチャンスではないのです。
しかしチャンスがないと嘆く人は、リスクや苦労を避けたいと考えているから、その裏側に隠れているチャンスが見えない。自らチャンスを遠ざけてしまっているのです。
この春、“無能な上司”の元で働くことになったり、“不本意な異動”をすることになったら、そうした視点をもってみてはいかがでしょうか。
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米国公認会計士
1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒。大学卒業後、東京都内の会計事務所にて企業の税務・会計支援業務に従事。大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。現在は不動産投資コンサルティングを手がけるかたわら、資産運用やビジネススキルに関するセミナー、講演で活躍。『捨てるべき40の「悪い」習慣』『「いい人」をやめれば、人生はうまくいく』(ともに日本実業出版社)など著書多数。「ユアFX」の監修を務める。
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(米国公認会計士 午堂 登紀雄)
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