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「キッチンにお菓子がある人は、ない人より4キロ重い」外資系産業医が教えている"3つのダイエット法"

プレジデントオンライン / 2022年6月8日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ALLEKO

多忙なビジネスパーソンがダイエットをすることは可能なのか。外資系企業で産業医を務める武神健之さんは「働き盛りの時期は自分に厳しくしすぎなくてもいい。難なくできる方法を選ぶことが大切だ」という――。

■体重は食事、体型は運動で作られる

年間1000人の働く人の心や体の悩み相談に乗っている産業医の武神です。毎年この時期に必ずあるのは、「夏までにかっこいい体型になりたい」という相談です。

そして、1万人以上の働く人をみてきた私の毎年の答えは、「簡単に痩せる/太る方法はありません。ルール3つと具体的対策3つをお話ししますので、理解した上で、できそうなものをまずはやってみてください」です。

今月も、あなたのお役にたてば幸いです。

まず、ルール1は、体重は食事、体型は運動により作られる、です。

体重を減らすにも増やすにも、一番大切なのは運動よりも食事です。摂取する(食べる)カロリーよりも消費する(運動等)カロリーが多ければ痩せますし、その逆ならば太ります。

病気でない限り、人が太る原因のほとんどは、カロリーのとりすぎです。食べ物でも飲み物でも、摂取したカロリーが高すぎるだけです。コロナ禍でリモートワークとなり、通勤や出社がなくなったことで、私のクライエント社員の多くは男性2~4キロ、女性1~3キロ太りました。基礎代謝や日常生活での通勤や運動で消費するカロリーよりも、摂取したカロリーが多い状態が続いてしまった結果でしょう。

■「これさえやれば痩せられる」方法はない

一方、肩幅を広げたい、胸板を厚くしたい、腰痛を改善したい、お尻をきゅっとひきしめたい等々のボディメイクこそ、食事よりも運動(特に筋トレ)です。もちろんこの場合も、筋肉をつけるためには、消費するよりも多くのカロリーをとらなければなりません。

痩せたい人は運動よりも、カロリーのとりすぎに注意することに尽きます。体重を1kg落とすためには約7200kcalマイナスバランスである必要があります。これを達成するために産業医としては、次のルール2を守っていただきたいと考えています。

ルール2は「これさえやれば簡単に痩せられる/マッチョになれる!」方法やサプリはありません、です。カロリーバランス(計算)とPFCバランス(タンパク質Protein、脂質Fat、炭水化物Carbohydrate)が現時点では最も信頼のできる戦術です。

ただしこの戦略はとても地道です。

人が本来とっていい1日のカロリーは、実は、現在の体重に関係なく、身長から導かれる標準体重1kgあたりに25~30kcalをかけた値となります。たとえば、身長173cmの男性の標準体重は、約66kg。これに25~30をかけると1650~1980kcalとなります。簡略化のため細かいことを省いてざっくりと1日1800kcalくらいと考えましょう(日中の活動レベルを考慮に入れるなど、標準体重の算出方法はいろいろありますので、やりやすいものでいいと思います)。

■筋トレの有無に関係なく、タンパク質は必要

大切なことは、この標準摂取カロリー内に、摂取カロリーを抑えることです。

食品に含まれる栄養素の中で、カロリーがあるものは、糖質(炭水化物)、タンパク質、脂質の3種類で、これを三大栄養素と言います。それぞれ1gあたりのカロリーは、糖質とタンパク質が4kcal、脂質が9kcalです。脂質は高カロリーですから、1日の摂取カロリー内でのやりくりを考えるのであれば、お腹いっぱいにするためには、脂質よりも糖質とタンパク質をとろうとなります。

ここで大切になるのが、糖質ではなくタンパク質を優先することです。タンパク質は筋肉のもととなるため、不足すると、全身の筋肉量の低下、基礎代謝量の低下、つまり太りやすい・リバウンドしやすい体質となってしまいます。ですから、タンパク質を十分にとることは、筋トレをしている・していないにかかわらず、筋肉の維持に必要になるのです。

■不足分のタンパク質はプロテインで補ってもいい

タンパク質の摂取すべき量は、具体的には、毎日、自分の標準体重×1.5~2.0(g)が目安になります。先ほどの例、173cmの男性の場合、定期的に筋トレ等をしているのであれば、摂取すべきタンパク質量は1日132gとなります。しかし、タンパク質を多く含むとされる鶏胸肉100gにもタンパク質は25g、卵1個には約6.2gしかありません。働く人が1日3回毎食150~200gの鶏胸肉を食べることは難しいので、プロテインの併用を考えてもいいかもしれませんね。

鶏胸肉
写真=iStock.com/fotek
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fotek

この男性の場合、タンパク質132gは約528kcalですから、タンパク質以外のものは約1300kcalとっていいと計算できますので、その範囲内で残りの食事は、脂質と炭水化物をやりくりしていただきましょう。

1日に摂取すべきカロリー、三大栄養素量に基づき食べる食事法をもっと詳しく知りたい方は、PFCバランス、マクロ管理法などで検索してみてください。

■「ダイエットしながらマッチョになる」は多くの場合不可能

最後にルール3ですが、「ダイエット(体重を減ら)しながら筋肉をつけてマッチョになる!」は多くの場合できません。

人体を動かすためには炭水化物が分解された糖質を中心としたエネルギー源が必要です。しかし、摂取する糖質や脂質などが不足すると、人の体は、タンパク質、つまり筋肉を分解してエネルギー源に変えるようになります。このことをカタボリック(異化)と言います。

一方、人の体は、摂取エネルギーが十分満たされていてタンパク質も十分に摂取している状態だと、筋肉ではタンパク質の合成が行われます。これをアナボリック(同化)と言います。

皮下脂肪が薄く筋肉隆々とした体のボディビルダーは、1年を通してほとんど筋トレをしていますが、シーズンオフは体脂肪も増えるけれどもたくさん食べ、体重と共に筋肉を増やします。つまりアナボリック(同化)を優先しています。そして、コンテストの数カ月前から摂取カロリーを消費カロリーよりも減らし、体を絞って(体脂肪を減らして)います。

厳密に言えば大会前のボディビルダーは、筋肉量を保ったまま体脂肪率を減らしている、つまり、カタボリックを抑えアナボリックを促すようにしているのですが、これは一般的な働く人には難しい食事と運動管理が必要となりますのでお勧めはしていません。

サラダボウルを持つ男
写真=iStock.com/FS-Stock
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/FS-Stock

■自分に厳しくしすぎないほうがいい

繰り返しますが、ダイエットには近道はありません。食べる量(摂取カロリー)を抑え、運動(消費カロリー)を増やすという、誰もが分かっていることの実践あるのみです。

産業医として暴飲暴食を推薦するわけではありませんが、疲れた時の甘いおやつ、頑張った自分への週末のごちそうなど、仕事が佳境を迎えていたり、働き盛りの時期は自分に厳しくしすぎなくてもいいのではないでしょうか。

海外の行動心理学的研究では、人は1つのことを我慢すると、他のことに対する集中力や根気が減ってしまうというものがあります。ですから、ダイエットにはなるべく難なくできる方法が大切です。

そこで次に、難なく痩せるために具体的で行いやすい方法を3つ紹介させていただきます。

■いつもより小さい食器を使うと、食べる量を減らしやすい

1つめ(※1)は、いつもより小さい食器(お茶わん、お皿、スプーン等)を使うことです。

アメリカの研究で、映画館でポップコーンを注文した客に、大きいサイズを出した方が、小さいサイズの時よりも、食べた量が多かったというものがあります。同じように、いつもより大きいスプーンを使った人は、そうでない時に比べ、カップによそうアイスクリームの量が14%増えた。反対に、いつもより小さいスプーンにしても、食べた量が2割減っても気付かないことがほとんど、というものがあります。

ポップコーン
写真=iStock.com/Dmitriy Maltsev
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Dmitriy Maltsev

我々の持っている満腹感と実際に食べた量の関係性は結構いい加減なものなのです。そうならば、食器を小さくすることにより、苦労せず(?)に食事摂取量を減らすことができる可能性があります。

■見えるところに食べ物を置かない、食後は15分間待つ

2つめ(※2)は、see foodをやめる、見えるところに食べ物を置かないことです。

(※1)(※2) Brian Wansink “Slim by Design: Mindless Eating Solutions for Everyday Life”(William Morrow)

キッチンカウンターや冷蔵庫などのよく“見える”場所に、ポテトチップスや清涼飲料水などを置いてある人は、置いていない人に比べ平均して体重が4kgも重かったという調査結果があります。

手の届きやすいところにあるお菓子は無意識に手が出やすいのです。一方、小腹が空いてお菓子が食べたくなったけれども、家になかったからわざわざコンビニに行くことはやめたという経験は、誰もがあるのではないでしょうか。見えるところに食べ物を置くこと(see food)はやめましょう。そうすればあなたのダイエットに少なからずいい影響があるはずです。

3つめは、15分待つということです。せっかく食べたのにまだお腹が満たされず、もう少し食べたい、もう一品食べたい、おかわりが欲しい、等々思ったことは、誰にでもあると思います。そのような時、ぜひ、15分間待ってみましょう。多くの場合、その間に血糖値が上がったり、満腹感が増してきて、あと少し食べることを難なく我慢できると思います。ぜひお試しください。

誰もが分かっているけれど、毎年繰り返されるこの手の話、あなたのココロとカラダの健康管理にご活用いただけますと幸いです。

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武神 健之(たけがみ・けんじ)
医師
医学博士、日本医師会認定産業医。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。ドイツ銀行グループ、BNPパリバ、ムーディーズ、ソシエテジェネラル、アウディジャパン、BMWジャパン、テンプル大学日本校、アプラス、アドビージャパン、Wework Japanといった大手外資系企業を中心に、年間1000件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を実施。働く人の「こころとからだ」の健康管理を手伝う。2014年6月には、一般社団法人日本ストレスチェック協会を設立し、「不安とストレスに上手に対処するための技術」、「落ち込まないための手法」などを説いている。著書に、『職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書』や『不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣』『外資系エリート1万人をみてきた産業医が教える メンタルが強い人の習慣』などがある。公式サイト

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(医師 武神 健之)

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