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"感じのいい人"が無茶振りをされたときに愛用「でも・だって」を肯定的に伝える"言い換えフレーズ"

プレジデントオンライン / 2022年6月9日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

「でも・だって」は印象が良くない言葉だ。それでは、無茶な要求をされたときはどう反論すればいいのか。これまで3000人以上と面談をしてきた起業コンサルタントの中山ゆう子さんは「コミュニケーションの印象がいい人は、まず『肯定』で相手を受け止める傾向がある」という――。

■「でも」「だって」を使う限り、前には進めない

仕事をする上で、人とのコミュニケーションは必要不可欠。そのとき、とても感じのいい応対をする人がいる一方で、「でも」「だって」と否定や言い訳ばかりの人がいます。

私がこれまでに3000人以上の人にコンサルティングをしてきた中で、息をするように「でも」「だって」を使う人は少なくありませんでした。

しかし、その言葉を使っている限り、なかなか前には進んでいかないのです。なぜなら「でも」「だって」に続く内容は、必ずと言っていいほど、

・やらない理由
・できない理由

だからです。

つまり、「でも」「だって」は、相手の提案やアドバイスを「否定する」ために使う言葉。「こうしたらいいですよ」「こんなふうにしてみたら?」と、現状を変えていく手だてをお伝えしても、それを否定し続けている限り、前には進みません。

これは、コンサルタントという私の仕事だけに限らず、あらゆる職場やコミュニティの中で起こっていることなのではないでしょうか?

そこで今回は、

1.「でも、だって」を使ってしまうのはなぜなのか
2.「でも、だって」を使うことでどんな損をしているのか
3.「でも、だって」をどう言い換えたらいいのか

についてご紹介したいと思います。

■「D言葉」の裏側で起きていることを知る

1.「でも、だって」を使ってしまうのはなぜなのか

「でも、だって」は、相手の話に対し、とっさに言い訳をするときや、否定・抗議の意をあらわにしてしまうときに使われます。ほかにも似たような言葉で、「どうせ」「ですから(だから)」もありますが、これらは頭文字に「D」がつくことから、「D言葉」と言われるようになりました。

たとえば、

「でも、○○は難しいと思う」
「だって、この前も○○だったよね?」
「どうせ、○○って言われるから……」
「ですから、そうじゃなくて……」

本人は何気なく言っているのかもしれませんが、このような返し方をされた相手は面白くありません。「でも、だって」のコミュニケーションが日常化している人には、相談事はもちろん、話しかけることもやめておこうかな、と思われるようになります。

距離を置ける相手ならよいのですが、職場の上司や部下、あるいは、仕事やコミュニティの中でどうしても関わらなければいけない人など、避けては通れない相手の場合もあるでしょう。

では、どうしたらいいのか?

まずは、「でも、だって」という言葉を使う人の心の中で何が起こっているのか、知っておくことが重要です。

代表的なものは、次の3つ。

1.自分を守りたい(自己防衛)
2.大切に扱ってほしい
3.負けたくない、自尊心が高い

それぞれ解説していきたいと思います。

■「考え方の癖」や「心の状態」が背景にある

(1)自分を守りたい(自己防衛)

自分の非を認めることで低い評価をされたくない、責任を負いたくない、という「ディフェンス・メカニズム」の一種です。

責められていると感じ、そこから逃れたい、自分を守りたい、今の地位を失いたくない、責任を負って大変な思いをしたくない、と無意識に思い、つい「でも」「だって」と言い訳をしてしまいます。

(2)自尊心が高い、大切に扱ってほしい、構ってほしい

「どうせ……」と自分を卑下することで、「そんなことないよ」「大丈夫だよ」と人からの勇気づけで自尊心を復活させようという気持ちです。人に対する甘えの表れでもあります。

(3)負けたくない、自尊心が高い

「ですから」「だから」「でも」と、ついつい言い返してしまうのは、「マウンティングしていたい」の表れ。そのマウンティングは他者に対してということもあるし、自分のプライドを保つためでもあります。

このように、言葉の裏にはその人たちの「考え方の癖」や、長年にわたり染み付いた「心の状態」があります。

「でも、だって」が自然に口をついてしまう人は、相手の言葉や態度によって「攻撃された」と反射的に感じてしまう傾向が強いと言われています。その攻撃から自分を守るために、「でも、だって」が咄嗟に出る。本人はよくわからないまま条件反射的に口をついて出てしまっているので、自分で気づくことは難しいものです。

ですから、「責めているわけではないよ」ということを言葉や態度で示しつつ、「でも、だって」をはじめとするD言葉を「よく使っていますよ」と、相手にしっかりとお伝えするのも必要なことです。

丸めた書き損じが頭を占めてしまっている人のイメージ
写真=iStock.com/tadamichi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tadamichi

■「話しかけるのはやめておこうかな」と避けられる

2.「でも、だって」を使うことでどんな損をしているのか

ここまで読んで、「自分がD言葉を使っているかもしれない」と思い当たった方もいるのではないでしょうか。「でも、だって」を使うことで、どんな損をしているのか。それを知ることで口癖が変わっていく可能性も大いにあるので、ご紹介したいと思います。

会話の中で、「でも」をはじめとするD言葉を頻繁に使ってしまうと、本人に否定しているつもりはなくても、周囲をだんだんと不愉快な気持ちにさせてしまいます。すると、少し前に書いたとおり、相談事はもちろん、話しかけることもやめておこうかな……と思ってしまいます。つまり、避けられるようになってしまう、ということ。

そして、時には、相手からの怒りを買ってしまう場合があります。そうなりがちなのが、「代替え案のない否定」。たとえば、上司に頼まれていた企画を見せた時、一通り見たあと、「ん〜……でも、これは無理なんじゃないかなぁ」とだけ言われる。そんなやり取りばかりだとしたらどうでしょうか。

何がどう無理なのか、あるいは、どこをどうしたらOKなのかという代替え案を伝えてもらえると、その後の取り組みが変わるだろうな、ということは想像できますよね。多忙なのに感じがいい人たちは、否定しっ放し、攻撃しっ放し、ということが、まずありません。

■反論が必要なときには「否定語」以外を使う

3.「でも、だって」をどう言い換えたらいいのか

とはいえ、たとえば人から、少しばかり無茶な要求をされたら、ついつい反論もしたくなります。そんなときには、どのような言葉を使えばいいのでしょうか。コミュニケーションの感じがいい人が使う言葉にヒントがあるので、ご紹介したいと思います。

余談ですが「感じ」を辞書で調べると、「感覚」や「印象」と出てきます。感じがいい人とは、印象がいい人。たとえどんなに多忙だったとしても良い印象を崩さない人は、「でも、だって」の代わりに「ある言い方」をしています。

たとえば、こんなふうに。

(例)「これ、明日までにお願いします」と仕事を頼まれた
「申し訳ありません。今○○の業務をしなければならず……その後でよろしいでしょうか?」
「すみません。今日中に仕上げなければいけない業務があるので、明日の午前中でもいいでしょうか?」

「でも、だって」の人たちは、反射的に否定語からはじめてしまいますが、コミュニケーションの感じがいい人は、「これをやってほしい」「こうしてほしい」という相手の希望に今は添える状況でないことをまずお詫びし、その後、自身の状況を伝えます。

■まずは「肯定」で相手を受け止める

これは、相手から言われたことに対し、ひとまず「Yes(肯定)」で受け止める、という「アサーティブコミュニケーション」と呼ばれるコミュニケーション手法のひとつです。

どんな時も好印象を崩さない感じがいい人たちは、「まず、相手を受け止める」という手順を自然と踏んでいるものです。誰でも、自分を受け入れてくれたら安心感を覚えるとともに、受け入れてくれた相手にもいい印象を抱きます。その印象が感覚となって残るので、「感じがいい人」というふうになるのです。

「でも、だって」と、つい否定語から入ってしまう人も、まず相手を肯定してみるというスタンスを意識していくことが、人と良好な関係性を築いていく上で大切なことです。

また、上記の例では、「すみません」や「申し訳ありません」を言い換えの例としてお伝えしましたが、Yes(肯定)で受け止める言い換えは、ほかにもあります。

・なるほど
・そうですね
・そう思っているんだ
・そういうことか……
・こういうのはどうでしょう?

など。

ビジネスミーティングで話し合い、説明する女性
写真=iStock.com/SetsukoN
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SetsukoN

「“でも、だって”を言いたくなったら、○○を使う」と、置き換えの言葉を決めておくのもよいでしょう。

また、相手の言っていることが無理難題である場合や、間違っていると思われる時は、その場で解決しようとせず、少し考える時間を置いてから返事をするのも効果的です。

まとめますと、

・相手を肯定する姿勢を意識する
・言い換えの言葉を決めておく
・代替え案を用意する

そうすることで、コミュニケーションの質や形が、否定的なものから感じのいいものへと変わっていきます。

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中山 ゆう子(なかやま・ゆうこ)
起業コンサルタント
1972年生まれ。短期大学卒業後、地元の市役所へ就職。30歳でコーチングを学び始める。16年間着任していた市役所を辞職し、37歳で渡米。帰国後、独立起業したものの、鳴かず飛ばずの時期を4年過ごす。再起をかけて42歳でビジネスを基礎から学び直し、同時にプライベートでは、婚活をスタート。半年後、現在の夫と結婚。そのスピード婚の秘訣を知りたいという問い合わせが殺到し、婚活コンサルタントとして活動をスタート。働き方についてのご相談を多数受けるようになり、女性起業家を支援する起業コンサルタントへ転身。様々な側面から女性の経済ステージをシフトする活動を行っている。

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(起業コンサルタント 中山 ゆう子)

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