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「都心のマンションが高すぎる」あきらめて郊外の新築を買った夫婦が覚悟すべき"この先のシナリオ"

プレジデントオンライン / 2023年6月19日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SvetaZi

都心のマンションが高い。それでは郊外の新築マンションを買うのはどうだろうか。スタイルアクト代表の沖有人さんは「どのエリアを選ぶにしても、購入したら都心には戻れないと考えたほうがいい」という――。

■賃貸では大損、家は買うしかない

「高くて買えない」と考える理由に住宅ローンの限度額がある。現在は、年収の8~10倍の住宅ローンを借りることができる。借りることができるとは、銀行が貸しても返してもらえることが確実だと思っているという意味だ。それは過去の統計に基づくので、返済が大変なのではと心配する必要はないのだ。まずは自分が買える金額はいくらかを年収の10倍以上の物件を添えて仮審査することから始めなければ、「買えない」と言っていても何も始まらない。

次に、「家を買うか、借りるか」問題を考えよう。住宅ローンの返済が35年で終わるのに対して、30歳の余命は60年ほどあるので、単純に60年÷35年=1.7倍の生涯住居費の差が出る。このため、買った方がいいのはどの時代でも変わらず、その結果として、日本の85歳以上世帯の持ち家率は85.2%、都区部でさえ75.4%もあるのだ。これは、国が持ち家促進政策を取っており、競争を導入して金利を下げ、これでもかと減税している結果に他ならない。賃貸では大損になるので、家は買うしかないのだと心得よう。

■築1年ですべての新築は「中古」になる

ただし、購入するのに新築にこだわる必要はない。築1年経過したら、すべての新築は中古扱いになる。中古でも内装をリフォームすれば新築同様の見た目にすることはできる。そして、コロナ禍に持ち家を探す人が増えたことで、新築が適正な価格より平均8%ほど高くなったと筆者は分析している。

筆者が主宰する無料会員制サイト「住まいサーフィン」では新築・中古の適正価格を算出しているが、適正価格は中古の成約価格をベースに算出している。それが当てになるのは、自分の買った家がいくらで売れるかの判断基準だからだ。新築物件同士を比較して、高い・安いを語ってもそもそも意味がない。この8%は竣工と同時に一旦は剥がれ落ちる可能性があるので注意が必要だ。

注意の仕方は周辺の中古売出価格を調べることで分かる。その1割引きが成約する価格の目安になるので、築年に応じてその付近まで価格が落ちると覚悟した方がいい。下落幅がローンの元本の減り方よりも大きければ、含み損を抱えることになるので購入リスクが高いと認識しなければならない。

■持ち家を買っても損はしにくい時期

でも、超低金利の現在はそのリスクがかなり低い。現在の住宅ローン金利は0.4%程度でかなり低くなっている。この程度の金利だと、年間の元本返済額は借入総額の2.7%ほどになる。半数以上の人が物件価格と同額を住宅ローンで借りているので、この2.7%よりも物件の年間下落率が低ければ安心だ。首都圏の平均下落率は2.0%、都区部の平均は1.2%なので、都心から離れなければ含み損が出にくい状況にはある。ちなみに横浜市2.2%、さいたま市2.3%なのでOKだが、千葉市は2.8%でNGエリアになる。

そして、今は「買い時」である。なぜなら、2023年4月に日銀の総裁が代わったが、金融緩和を当面継続することを表明している。金融緩和されているうちは資金が担保の取れる不動産に流れやすくなるので、借入しやすい分だけ資産はインフレすることになる。これは金融緩和されている際には必ず起こっている現象である。

日銀が言う金融緩和の検証作業は2年程度かかる見込みで、そうなると今から2年後まで金融緩和が続く可能性が高い。その時点でデベロッパーが買ったマンション用地はそのさらに2年後に、新築として売り出されることになる。つまり4年先まで2割程度値上がり期待がある状況なので、持ち家を買っても損はしにくい時期にあるのだ。

日本銀行本店
写真=iStock.com/show999
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/show999

■千葉県流山市の新築マンション価格が上がっている

そんな中、ファミリー世帯の流入によって新築マンション価格が値上がりしているエリアがある。それは千葉県流山市で、人気が高いのが「送迎保育ステーション」だ。流山おおたかの森駅と南流山駅に設置された送迎保育ステーションは、朝に預けると保育園まで送ってくれ、夕方は再び送迎ステーションまで返してくれる。親は毎日駅での行き帰りに子どもを預け、引き取ることが通勤の一環でスムーズに行うことができる。一回100円で利用可能で、利用にあたり審査と面談があるが、お迎えのストレスが軽減し、時短になることからこのサービスに対する評価は非常に高い。

また、保育園の数を15年で5倍に増やし、2021年に待機児童ゼロを達成している。最寄り駅などのアクセスを無視した、保育園定員の総数ベースでの待機児童ゼロは主張する行政が多いが、これは机上の空論でしかない。筆者が主宰する住まいサーフィンという会員制サイトでは、駅別に0歳児人口と認可保育園定員を比較して入りにくい駅をランキングしているが、こうした実質的にゼロなエリアは非常に少ない。流山市は親世代が引っ越しをする際の安心感に結びついていると考えられ、6年連続で人口増加率1位だったりしている。

■郊外マンションを売るなら、夫婦2人になったとき

また、人気エリアとして資産性が高く狙い目になるのは、学力が突出したところだ。「公立小移民」という言葉があるように、子どもの教育環境を考えて引っ越す家族は多い。代表的なのは東京大学などがある文教地区が多い文京区で、その年間下落率は0.8%。ほかにも、新浦安1.7%、横浜市青葉区1.9%、つくば市2.2%などで、周辺エリアよりも資産性が高いのは根強い需要に支えられていると考えられる。こうしたエリアでは、コロナ禍でも流入人口が増えていたりする。

どのエリアを選ぶにしても、マンションを購入したら、その立地から都心には戻れないと考えた方がいい。住み替えをするにしても、相場が上昇して自分の住んでいるマンションが高く売れても、どこでも値上がりしているので都心に近づいていけるわけではない。

もしそれをしたいなら、子どもたちが巣立ち、夫婦2人になった時くらいだろう。そこで面積を70平方メートルから50平方メートルとかにダウンサイジングすると、含み益がキャッシュに変わる。住まいサーフィンの会員には毎年自宅の査定を推奨し、昨年は年間2400件以上を無料査定している。その結果は、物件価格が平均2400万円値上がりしており、元本を返済している分も含めると含み益は4000万円を超えて、99%の方が含み益を出している。このように自宅で資産形成して、老後資金を作り出すことは大都市圏に住む誰もが実現可能な状況にある。自宅の資産性は学習した分だけ、結果を出すことができるようになっているということだ。

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沖 有人(おき・ゆうじん)
スタイルアクト代表
1988年、慶應義塾大学経済学部卒業。監査法人トーマツ系列のコンサルティング会社、不動産コンサルティング会社を経て、1998年にアトラクターズ・ラボ株式会社(現在のスタイルアクト株式会社)を設立、代表取締役に就任。著書に『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書)、『独身こそ自宅マンションを買いなさい』(朝日新聞出版)など多数。分譲マンション情報サイト「住まいサーフィン」(https://www.sumai-surfin.com/)、独身の住まい探し情報サイト「家活」(https://iekatu.com/)を運営している。

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(スタイルアクト代表 沖 有人)

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