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「無理せず買える価格の物件を探す」は間違い…マイホーム選びでわかる金持ちになる人と貧乏になる人の違い

プレジデントオンライン / 2023年7月23日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kyonntra

住宅や保険のような「大きな買い物」で損しないためには、どうすればいいか。米国公認会計士の午堂登紀雄さんは「モノやサービスのコスト構造、あるいは流通の仕組みを知るといい。その知識があれば、価値に対して割高な商品を見抜くことができる」という――。

※本稿は、午堂登紀雄『お金の壁の乗り越え方 50歳から人生を大逆転させる』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■「借金は悪」と決めつけると損をする

マネーの専門家の中には、「借金は悪」と言って、「お金が貯まったら住宅ローンを繰り上げ返済しなさい」と主張する人がいます。

もし、あなたが、たとえば貯まった何百万円かを住宅ローンの繰り上げ返済にあてようと考えているなら、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。

住宅ローン元本の返済は、繰り上げ返済する・しないに関係なく一定ですから、繰り上げ返済で節約できるのは、金利分です。そこでの判断基準は、住宅ローンの金利よりも、高い利回りで運用できるかどうかです。

住宅ローンの金利が3%だとして、もし自分が年利3%超で運用できるのであれば、資金を繰り上げ返済に回すより、運用したほうがトクになります。逆に、3%超の利回りを得られる自信がない場合は、繰り上げ返済をしたほうがトクということです。

住宅ローンの繰り上げ返済は、毎月の返済額を減らすほうではなく、返済期間を短縮するほうで繰り上げするほうが全体の金利コスト削減効果が大きくなります。

自動車などの高額品を買うときも同じです。たとえば200万円の車を、全額キャッシュで買うか、オートローンを組んで買うかは、運用利回りと比較して決めます。キャッシュで買えば、ローンはありませんから支出は200万円です。

仮に自己資金を使わず全額ローンで買い、オートローン金利が3.5%、5年返済という条件の場合、金利支払額は5年間で18万3000円。

その200万円で配当利回り7%の株式を買えば5年間で受け取れる配当額は42万円。オートローンの金利を差し引いても23万7000円も儲かる。むろん株価は上下しますし配当も変動しますから確実というわけではありませんが、キャッシュで車を買うよりチャンスは増えるでしょう。

これは、良い悪いを論じているのではありません。自分のお金をどういうセクターに投入すれば、最も資金効率が高まるかを考えてお金を使う、という選択の問題なのです。

■派手に宣伝をしている商品は要注意

原則として、派手な広告宣伝をしている企業の商品は、慎重に選ぶほうがよいでしょう。

なぜなら、そんな商品には、広告にお金がかけられるほど分厚い利益が乗っているかもしれないからです。つまり、それだけ高い代金を支払わされる可能性があるからです。

たとえば、私も輸入化粧品の通販事業をしていたことがあるのですが、化粧品自体の製造原価は、定価の10%未満です。つまり、商品そのもの以外の、パッケージやら流通やら販促のコストが乗っかっていて、価格が設定されているのです。

友人とのコスメのショッピング
写真=iStock.com/sturti
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sturti

また、新築マンションも要注意です。たとえば、共用部分が充実しているマンションを想像してみてください。豪華で広いエントランス、フィットネスルームや展望室など、相応の建築コストがかかっていますし、その部分の土地代もかかっています。ではその分は誰が払うかというと、各戸が分担してお金を払っているわけです。そのほかに、営業担当の人件費が必要です。ネット広告や新聞折込チラシ、電車内広告、立派なパンフレットの制作など、広告宣伝費もかかります。モデルルームの建設にも数千万円単位のコストがかかります。

ということは、デベロッパーはそれらコストを回収しなければならないですから、価格にオンされていることは想像に難くありません。

反対に、中古マンションは、そうした利益がすでに落ちていますから、一般的には割安になるわけですね(もちろん、売主が強気とか、希少性が高ければ、買ったときの値段よりも高くなることもあります)。

というふうに、企業のコスト構造を想像して買い物の意思決定をする、という方法も、無駄なお金を払わされない工夫のひとつです。

■保険営業マンが稼げる理由

このように、賢い買い物をする方法のひとつは、モノやサービスのコスト構造、あるいは流通の仕組みを知ることです。その知識があれば、価値の割に割高な商品を見抜くことができるからです。

たとえば、生命保険や医療保険。これら保険の販売は代理店制度によって成り立っていて、セールスパーソンは保険を売ると保険会社から手数料が入ってくるようになっています。

その保険営業の世界には、成績に応じてランク制度があります。

おおよそですが、年間1000万円以上の手数料収入を得ると「MDRT」という資格の認定を受けられます。その上位資格のCOTは年間3000万円、最上位のTOT資格になると年7000万円程度の報酬を得た称号です。

ビジネス交流会などで名刺交換すると、名刺にも印刷されています。ではなぜ保険の営業はこうも稼ぐことができるのか(もちろん、稼げていないセールスパーソンもたくさんいますが)。

また、保険代理店に保険の相談に行くと、商品券やクオカードをもらえるというキャンペーンがよく行われています。保険に入らなくても、相談してプランニング提案を受けるだけでもらえることもあります。

さらにテレビをつければ、至るところで保険のコマーシャルが流れています。「アヒルのCM」といえば、「ああ、あれか」と思い出せる人も多いのではないでしょうか。

ではその経費はどこから出ているのか。その原資となっているのは、当然ながら顧客から得た保険料収入です。

これは保険がどれほど儲かる商品かがわかるとともに、人はそう簡単に死んだり入院したりはしないということを示しています。

医療保険などはほとんどの商品が掛け捨てですから、病気にならず入院もしなければ、払ったお金は全損となります。(それはそれで喜ばしいことだと言えるかもしれませんが)

しかも仮に30歳で加入しても70歳前後までは掛け続けることになりますから、逆に保険会社から見れば40年間もチャリンチャリンと継続的にお金が転がり込んでくるということです。

そうして集まった膨大な顧客のお金を、保険会社は有価証券や不動産などで運用しています。都市部でも「○○生命ビル」と保険会社の名前が入ったビルをよく目にしますが、彼らは客のお金でビルを建てて賃貸収入を得ているのです。

もちろん「保険のおかげで助かった」という人も少なくないため、意味がないとか不要だというわけではありません。しかし、保険の利益構造や保障を受けられる確率を知れば、保険ではなく貯蓄で備えるほうが合理的という人もいるはずです。

■リセール可能なものは資産性を意識して買う

リセール可能なものとは、中古市場や転売市場が整備されていて、自分が使ったあと売却できるもののことです。

中古車や中古住宅などが典型例で、人気があるものなら高値で売却できますから、買うときの値段が高くても、最終的には安くつくというのはわかりやすいと思います。

たとえばマイホームを選ぶとき。貧しくなる人は、戦略的に(立地や将来の資産価値を考慮して)不動産を選ぶというよりも、自分の収入で買える価格帯から、その場所のその物件を選ぶ、という傾向があります。さらに新築信仰が強く、「新築だから買う」という判断をします。そのため、都心から遠く離れた郊外とか、最寄り駅からバスを使うなどの不便な場所の家を選んでしまいます。そして将来の資産価値は大きく下がり、仮に2500万円で買った家が30年後にはたとえば500万円になる、という事態になります。

一方で、ちょっと値段は高くても都心の便利な場所に買っていたらどうなるか。仮に買ったとき5000万円したとしても、30年後もほぼ同じ値段で売れれば、その30年間はほとんどタダで住めたことになります。しかも通勤通学にも便利。

これは車でも同じで、中古車の値段はオークション相場というのがあり、年式や走行距離によって買取価格はほぼ決まります。そのため、たいていの車の価値は、5年で半分くらいに下がってしまいます。

しかし、たとえばフェラーリなどの高級スポーツカーは中古車となってもあまり値段が下がらないことで有名です。生産台数が少なく良質な中古車があまり出回っていないためです。

また、トヨタのランドクルーザーといったSUVや、同じくアルファードなどの高級ミニバンは、中古になっても海外市場で高く売れるため、オークション相場とは別の価格形成がなされます。SUVは未整備な道路が多い中東やアフリカで人気ですし、高級ミニバンはアジアの都市部で送迎用として人気があります。

こうして最初の車両価格が高くても買取価格も下がりにくければ、こちらも安く乗れたことになる。しかもそうした車はたいてい高級車なので、所有している間は便利で快適という、ダブルでメリットを得られるわけです。

午堂登紀雄『お金の壁の乗り越え方 50歳から人生を大逆転させる』(かんき出版)
午堂登紀雄『お金の壁の乗り越え方 50歳から人生を大逆転させる』(かんき出版)

このほかにも、絵画や陶器といった希少性の高い芸術品、高級腕時計や高級ブランドバッグといった趣味性の強い商品、アンティーク家具など経年によって価値を増すものなど、見渡してみればたくさんあることに気がつきます。

上手なお金の使い方とは、単純に安い値段で買うということだけではなく、入口から出口までのトータルで考えることです。

つまりこうしたリセール市場のある商品は、資産性(換金価値)が高いものを意識して選ぶ、というのもひとつの考え方です。それは結果として良いものを選ぶことであり、快適性など満足度も高い買い物につながるでしょう。

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午堂 登紀雄(ごどう・ときお)
米国公認会計士
1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、コンビニエンスストアチェーンを経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。IT・情報通信・流通業などの経営戦略立案および企業変革プロジェクトに従事。本業のかたわら不動産投資を開始、独立後に株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズ、株式会社エデュビジョンを設立し、不動産投資コンサルティング事業、ビジネスマッチング事業、教育事業などを手掛ける。現在は起業家、個人投資家、ビジネス書作家、講演家として活動している。著書に『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)、『決定版 年収1億を稼ぐ人、年収300万で終わる人』(Gakken)、『「いい人」をやめれば人生はうまくいく』(日本実業出版社)、『お金の才能』『お金の壁の乗り越え方 50歳から人生を大逆転させる』(かんき出版)など。

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(米国公認会計士 午堂 登紀雄)

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