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「いつまでやってるの!」は絶対ダメ…わが子をゲーム依存にしてしまう親が使いがちなNGフレーズ

プレジデントオンライン / 2023年7月28日 18時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

ゲームをやめられない子供にはどんな声をかければいいのか。教育家の小川大介さんは「『いつまでやってるの!』と怒るのではなく、『今日はどこまでクリアしたいの?』と聞いたほうがいい。親がゲームに興味を持つ姿勢を示してほしい」という――。(第3回)

※本稿は、小川大介『子どもの頭のよさを引き出す親の言い換え辞典』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

■刺激漬けになってしまうオンラインゲーム

・本当は言いたくない言葉
いつまでゲームしてるの!

・子供に届く言葉
今日はどこまでクリアしたいの?

・小川先生のひと言
“やりすぎ”を防ぐために、強い気持ちで介入します。

子どものゲームをやめさせるのに、毎日骨が折れるという声をよく耳にします。大人でもゲームにハマってしまう人はいるのですから、自制心がまだ育っていない子どもにやめさせるのが大変なのは当然です。子どもの娯楽のなかで、依存性の高さからリスクとして挙げられるのが次の4つです。

リスクの低い順でマンガ、テレビ、YouTubeやTikTok、ゲームとなっています。2022年にはついに、WHO(世界保健機関)でいわゆるゲーム依存が「ゲーム障害」という病名で国際疾患に認定されました。こうしたことは親として知っておきましょう。

ゲームが怖いのは、受け身でありながら刺激を得られるという点です。ゲームはあたかも自分でコントロールしているように見えて、実はすべてが制作側の意のままに動かされています。少し単調になったらピコンと光ったり、何かが完成したらファンファーレが鳴ったりと、脳内の報酬系を活性化させプレイヤーが飽きずに楽しめるように計算されてつくられているのです。

特に今流行りのオンラインゲームは、長時間その世界に浸らせるほど課金が増え、ゲーム会社に利益が出る仕組みになっています。ゲームを続けさせるための工夫が0.1秒単位で設計されているのです。頭を使って遊んでいるように思わせながら、脳は受け身の状態で刺激をもらい続けているだけ。

つまり、ゲームに遊ばれているのです。

逆にプロゲーマーのように、徹底的にゲームを攻略するレベルにまで達する人たちは、探究心をフル活用してゲームに向き合っているので、ゲームに遊ばれる次元を突き抜けているのですね。

■ゲームの終わらせ方を具体的に確認すべき

子どもにゲームをやらせる場合、親は覚悟を持って管理をする必要があります。まず、どんな内容のゲームで遊ぶかを知っておきましょう。

ゲームを始める前に「これはどんなゲームなの?」「どうすれば勝ちなの?」と聞いて、子どもに説明してもらいます。一番大事なのは、どうやって終わらせるかです。短時間で終わるゲームはほとんどないので、「今日はどこまでクリアしたいの?」と目標を設定しておきます。そして、「うまくいくと何分くらいでクリアできそう?」「時間がかかるとしたらどれくらいかかりそう?」と2パターンの質問を投げます。

こういう場合、たいてい子どもは「15分くらいかな」とうまくいったときの時間を言います。ところが、実際やり始めると、「いやいや、気づいたら3回戦に入っちゃったんだよ」「ステージが変わって強い相手が出てきちゃったから、ここでやめるわけにはいかない」など言い訳を並べて、平気で約束を反故にしようとします。

だから、ゲームを始める前に「時間がかかるとしたらどれくらいかかりそう?」と先に聞いておく。ここではじめて子どもは時間の上限を意識できるようになります。そして「30分を超えるのはよくないから、ステージを一つクリアしたら教えて。残り時間があと何分使えるかで考えてみることにしよう」と、中間でチェックすれば時間オーバーを防ぐことができます。

親子の間で、長くても30分などと上限の時間を決めることで、ゲームに遊ばれる状態を防げます。

■小学生にはオンラインゲームをやらせないほうがいい

コロナ禍を機に、友だちなどと対戦できるオンラインゲームが小学生の間でも人気になっているようです。しかし、自制心がまだ育っていない小学生の場合、「ここで抜けるね」と自分から言うことができません。オンラインゲームをやらせるかどうかは慎重に判断すべきというのが私の考えです。

スマホを見ている子ども
写真=iStock.com/show999
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/show999

不登校の子どもや、学校で何かつらい思いをしている子どもにとっては、オンラインゲームの世界が「自分の居場所」となって救われることもあります。オンラインゲームには、人とつながり合えるという価値がある点は理解しておきたいですね。そうした理解は持ちつつも、「メリハリのある生活を大事にしたい」「子どもの学習面を育てていきたい」と願っているご家庭の場合、小学生のうちにオンラインゲームに参加させることを私はおすすめしません。

友だちに誘われて一緒に遊びたいという場合は、各家庭の意識レベルにもよりますが、「今日は何時から何時まで遊ぶみたい。時間になったら声をかけましょう」とその友だちの親と連絡を取り合うなどして、足並みをそろえておくといいでしょう。ただし、ゲームに無頓着な家庭が混じっていると足並みがそろわないので、相手は選ぶ必要があります。

オンラインゲームでは時間管理に親が介入すると最初から決めておけば、メリハリをつけて遊ぶことができます。子どもをゲーム依存から守るのは親の大事な役目です。

■具体的な終了時間を決めたほうがいい

・本当は言いたくない言葉
いつまで見てるの!

・子供に届く言葉
この動画は1本何分?
6時までということは、あといくつ見るの?

・小川先生のひと言
目的意識がないまま見続けないよう、親がしっかりケアする必要があります。

前項で、子どもにとって依存度の高い娯楽の順番をお伝えしました。1位はゲーム、次にYouTubeやTikTok、そしてテレビ、マンガと続きます。これらとうまくつき合っていく方法は、大きく二つに分かれます。

マンガとテレビは、依存性という点ではそれほど高くはありません。マンガは自分でページをめくりながら読むので長時間続けると疲れますし、近年は若者のテレビ離れが進んでいるように、テレビという娯楽は今の子どもにとってそれほど魅力的なコンテンツではなくなっているので、依存性の心配も薄らいでいます。

とはいえ一度見始めるとやめられないという場合は、終了時間を決めておきましょう。親がすべき声かけは次の二つです。

1.「今日は何を読むの? (今日は何を観るの?)」
2.「何時まで読むの? (何時まで観るの?」

読みたいもの(観たいもの)と終了時間を確認しておくことで、まず「何を読みたいか(観たいか)」を子ども自身に選ばせます。そのうえで、「とにかくずっと読んでいたい(観たい)」ではなく、「これだけを読みたい(観たい)」と対象を限定させます。次に終了時間を確認することで、「その時間になったらおしまいだよ」というメッセージを渡します。

■「なんとなく見る」ことがYouTubeの魅力

私たちが子どもだったころはテレビが娯楽の中心でしたが、今はまずYouTubeやTikTokが当たり前。なぜそこまで子どもの心をつかんでいるのでしょう?

タブレットでYouTubeを見る子ども
写真=iStock.com/pressureUA
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/pressureUA

まず、「手が届く感覚」が大きな魅力の一つなのではないかと思います。テレビの向こうのタレントさんは別世界の人に見えるけど、動画の中では近所にもいそうな雰囲気の人たちとあたかも一緒に遊んでいるような気分になれるのでしょう。最近はショート動画なども充実しており、さらにレコメンド機能で受け手が興味を持つであろう動画がどんどん出てきます。

ゲームと同じで、離れさせないための工夫がそこかしこに盛り込まれているのです。それだけに、「なんとなく」で気楽に見始めたはいいものの、いつまでもやめられなくて見続けてしまうことが大きな問題です。これこそ依存の状態ですよね。そこで、動画の世界にハマりすぎるのを防ぐために、動画についてお子さんとじっくり話すことをおすすめします。

■「今、何を見ているの?」という声かけが重要

「今、何を見ているの?」「どんなところが面白いの?」このように聞いて、子どもに説明してもらうのです。動画の内容を話すことで、「自分が経験したことを相手に伝える」「コンテンツの魅力を伝える」という練習ができますし、親御さんにとってはお子さんが興味を持っていることを知るきっかけにもなります。

特に、「今、何を見ているの?」という問いはとても重要です。

「とにかく○○が見たい!」など、見たいものが決まって見始めたものの、いつの間にか別の動画に引き込まれていくことが多くあります。ご自身でも経験がある方もいると思いますが、自分が何を見ているのかを意識することなしに、なんとなく見ているのです。こうした受け身の姿勢で惰性的に見ている状態がとにかく怖い。だから意識的に見ることを促すわけですね。

すでに動画サイトにのめり込んでしまい、やめさせるのに苦労しているという場合は、ゲームを終わらせるときと同じように、「どうすれば終わらせることができるか」にフォーカスするようにします。マンガやテレビのように「いつ終わるの?」と時間を決めるやり方ではなく、「どうやったら終わらせることができるか」と確認をしておくのです。

■子供が満足感を得られるような問いかけをするべき

「この動画は1本何分くらいなの?」「4分の動画をあと3つ見るってことだね?」「6時までの約束だけど、あと何本見るの?」

このように、一つひとつ区切って確認する。もう一つの方法は、「あと二つでおしまいだけど、やめられそう?」と聞いてみる。これはどういう目的かというと、子どもの「大丈夫」という言葉を引き出すためです。

小川大介『子どもの頭のよさを引き出す親の言い換え辞典』(青春出版社)
小川大介『子どもの頭のよさを引き出す親の言い換え辞典』(青春出版社)

問いかけによって、「ここまで見たらもう大丈夫。ちゃんと見た」と、子ども自身に満足の区切りをつけさせるように仕向けるのです。ゲームにしても動画にしても、結局のところいくらやっても満足はしないのです。満足とは自分が決めるもの、選ぶものだからです。

メリハリをつけて楽しむ分には問題ありませんが、「やめられない」という依存状態に陥ってしまっている場合は、ただ見ているだけで何の達成感も得られず、心はずっと飢餓状態です。だから、幸せにはならない。

子どもにYouTubeやTikTokなどの動画を見せる場合、そうしたリスクがあることを親御さんはしっかり認識しておきましょう。

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小川 大介(おがわ・だいすけ)
教育家・見守る子育て研究所所長
京都大学法学部を卒業後、中学受験個別塾を創設。コーチングと学習タイプ分析を融合した独自ノウハウで受験学習、幼児からの能力育成、子育て支援で実績を重ねる。執筆、講演、教育系企業への助言など幅広く活躍中。6000回の面談で培った洞察力と的確な助言が評判。著書に、『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』・『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』・『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)、『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)、『子どもの頭のよさを引き出す親の言い換え辞典』(青春出版社)など多数。 中学受験情報局「かしこい塾の使い方」

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(教育家・見守る子育て研究所所長 小川 大介)

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