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求人サイトを使ってはいけない…55歳以上でも転職に成功する人が採用面接で守っている「7つの鉄則」

プレジデントオンライン / 2023年9月12日 17時15分

求人サイトを使ってはいけない(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Gerardo Carnero

55歳以上のシニアが転職するにはどうすればいいのか。人材コンサルタントの大塚寿さんは「求人広告やエージェントの募集には登場しないものの、求人意欲のある中堅・中小企業はたくさんある。シニア転職では、そうした企業に手紙を書き、履歴書と職務経歴書を送るといい」という――。

※本稿は、大塚寿『今からでも間に合う! 会社人生「55歳の壁」突破策』(かや書房)の一部を再編集したものです。

■シニアの転職活動で重要なのは「営業力」

「営業とは、まずは自分を売り込むことだ」
「商品やサービスを気に入ってもらう前に、まずは自分を気に入ってもらおう」

などと、新人に指導することがあります。

営業畑とはまったく異なるキャリアを歩んできた人にはピンとこない話かもしれませんが、55歳を超えてから転職活動する場合、「営業力」は非常に強力な武器になります。

特に「裏技」としておすすめしたいのが、「オーナー企業に手紙を書き、履歴書と職務経歴書を送る」という方法です。

「ツテ」や「リファラル採用」と異なり、運や人間関係に左右されず、自身の実力、熱意とで勝負できる方法です。

■「潜在的な求人」を掘り起こす「飛び込み転職活動」

もともと、若い世代の転職活動において「裏技」として成果を上げている手法ですが、私はシニア転職領域でも流行らせたいと思っています。

中小企業の場合、希望する人材の採用は至難の業となっています。なので、親戚やツテを頼ったり、媒体やエージェントを用いた採用活動自体を諦めている企業も少なくないのです。

つまり、求人広告やエージェントの募集には登場しないものの、求人意欲のある中堅・中小企業はたくさんあるのです。そうした「潜在的な求人」は、求人中の企業よりよほど多いと思います。

そうした企業には、手紙による「飛び込み転職活動」が非常に有効なのです。

■「オーナー企業」に限定すべき理由

この「飛び込み転職活動」で最初にやるべきことは、自分のキャリアを活かして、やりたい仕事をできそうな「オーナー企業」を探すことです。

採用に苦労している企業であれば、非オーナー企業であっても可能性はあるかもしれません。

「オーナー企業」に限定している理由は、採用がオーナーの判断一つで決まることが多く、話が早いからです。

■ほぼ100%のオーナーが「開封する」と答える

「企業に手紙を送りつける」と聞くと、「そんなことをしたって、どうせDMと一緒にゴミ箱行きになる」と思われるかもしれません。

しかし、私が知っているオーナー企業の経営者すべてにヒアリングしたところ、「飛び込み転職活動」で履歴書と職務経歴書が送られてきたら、ほぼ100%のオーナーが「開封する」と答えてくれました。

ほぼ100%のオーナーが「開封する」と答える(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/kazoka30
ほぼ100%のオーナーが「開封する」と答える(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/kazoka30

採用に困っている企業はけっこう興味を示してくれるのです。

しかも、半数以上のオーナー社長は、「会って戦力になりそうなら、採用してみる」と答えてくれました。

いわゆる「飛び込み営業」のキモは、受注確率の高い見込み客をいかにリストアップするかですが、この「飛び込み転職活動」も同様です。

希望する業界の企業はネットで簡単に検索できます。

オーナー企業かどうかは、大きな図書館に置いてある帝国データバンクなどの会社年鑑の株主構成でチェックできますので、試してみてください。

会社年鑑には近年の売上、利益推移も掲載されています。業況からその企業の採用意欲も推察できるので、参考にするといいでしょう。

■自分の「売り」を冒頭に書く

シニア転職の際の職務経歴書には、ちょっとした「お作法」があるので、ここで紹介したいと思います。

職務経歴書にはちょっとした「お作法」がある(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/bymuratdeniz
職務経歴書にはちょっとした「お作法」がある(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/bymuratdeniz

特に「飛び込み転職活動」の場合は、職務経歴書の一番の「売り」の部分を抜粋し、「手紙」の冒頭に書いて、オーナー社長の興味・関心を喚起するのが鉄則です。

・鉄則1

「自分の職務経歴を通じて、相手の興味・関心を喚起する」という意識で書きましょう。

■「切り口」を意識して具体的にまとめる

・鉄則2

職務経歴は「事実、数字、成果」といった「切り口」を意識して具体的にまとめること。

例えば、もしあなたが食品会社の営業課長だったとしたら、担当していたエリア、量販店、売上規模と伸長率といった数字もさることながら、「成果」の中味を細かく記述することが大事です。

どんなエリア戦略、営業戦略、営業施策をもって成果を上げたのか、具体的に書くといいでしょう。

経営者がシニアの職務経歴書で最も重視しているのは、こういう点なのです。

その内容に光るものがあれば、かなりの確率で転職活動を前に進めることができます。

逆に、戦略立案、施策立案といった部分での強さがなければ、企業としてはわざわざシニアを雇用するメリットがありません。できるだけ採用する側の立場で考えることが重要です。

■読み手の興味を引く

・鉄則3

読み手が目を留めるポイント、興味を引くポイントを意識しましょう。

「この人は仕事の本質が分かっているな」
「キントーンにも強いんだな」
「一級建築施工管理技士の資格も持っているんだな」

といった反応を、読み手に起こさせるような書き方を狙ってみましょう。

・鉄則4

シニア転職の場合、職務経歴書を「新しい順」で書くのがベターです。

相手が知りたいのは現在から遡って10数年くらいの経歴だからです。

■シニアの職務経歴書は長くなってもOK

・鉄則5

職務経歴書の枚数は1~2枚をオススメするネット記事も多いのですが、シニア転職の場合は、詳細な経歴が分かるほうが良いので、3枚程度になっても構いません。

ただし、職務経歴書が3枚以上になる場合は、セールスポイントに絞ったサマリーを「手紙」の冒頭に記載してください。

シニアの職務経歴書は長くなってもOK(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/maroke
シニアの職務経歴書は長くなってもOK(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/maroke

・鉄則6

資格欄が運転免許だけでは寂しいので、資格欄を「資格・特技」にして、応募先の会社が好きそうな特技を記載するのが良いと思います。

また、大学院卒の人は資格欄を「学位・資格」とする手もあります。

・鉄則7

自己PRは、「いかに御社の役に立てるか」にウエイトを置くことが重要です。

「この人はうちの業界に精通している人だ」「うちの会社についてもよく知っている」という印象を与えてほしいと思います。

「相手の心に働きかける」ことがキモですので、その意識を忘れないでください。

そのためには、応募先の会社についてよく調べることはもちろん、その会社をよく知る人にヒアリングしておくのもいいでしょう。

■大手から中小企業に移って面食らうこと

大手企業の定年退職者、もしくは早期定年退職者の多くの受け皿となっているのは、中小企業やベンチャー企業です。

世の中には大企業の待遇をしのぐ中小企業もあれば、ものすごい技術を持った中小企業も少なくありません。

しかし大手から中小に移ると、頭では「郷に入れば、郷に従え」と思っていても、次の2点には面食らうようです。

■前職の部下が優秀だったことを思い知る

まず1つ目は、「人材、予算、設備がない中で、短期間のうちに成果を求められる」点です。

中小企業に移って、前職の部下や若手がどれだけ優秀だったかを思い知った、という方も少なくありません。

前職の部下が優秀だったことを思い知る(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/mapo
前職の部下が優秀だったことを思い知る(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/mapo

管理職なのに予算や計画の立て方を知らない、開発についての理論的な知識を持った人が退職して空席のまま、情報システム部門にJavaを使える人材がいない、「パーセントの求め方」もおぼつかない若手社員ばかり、というケースもあるようです。

そんな社員であっても、なんとか教育して戦力にしていくのが中小企業のルールです。

「使えない人は取り替える」という、異動を前提とした古き良きエスタブリッシュメント企業のやり方は通用しないのです。

現有戦力を育て、駆使して、成果を出すしかないのです。

「前職ではこうしていた」と言ってみたところで、実現できるヒト、モノ、カネ、情報はありません。実現性が乏しい提案は、単なるないモノねだりになってしまいます。

開発のための設備や、試作品の計測器を持っていなくても、どこかの計測器を借りるなり、外注するなど、知恵を絞らなくてはなりません。

■守備範囲が広いことに戸惑う

大手企業出身者が直面する2つ目の壁は、「守備範囲の広さ」です。

大手企業の場合、求められる仕事の守備範囲は、けっこう狭い領域で済むことが多いのです。

例えば、最も守備範囲の広い「総務部」でさえ、「ファシリティー担当」など細かく細分化されているものです。

ところが中小企業では、総務部に、財務や経理、人事の機能がくっついて、「管理部」となっていることがあります。

■「大手出身なのにこんなものか」

実際にあったケースを紹介します。

大塚寿『今からでも間に合う! 会社人生「55歳の壁」突破策』(かや書房)
大塚寿『今からでも間に合う! 会社人生「55歳の壁」突破策』(かや書房)

Mさんは大手企業の人事部の課長から、中小企業の幹部の課長職に転職しました。不慣れな経理、財務の仕事も任され、会計システム上のミスに気づかず、誤って承認してしまったことがあり、慌てて経理の勉強を始めたそうです。

Mさんは商学部出身で、追加で勉強して何とかなったのですが、大手から転職してきた管理職のことを、プロパー社員が歓迎しているわけではありません。「大手出身なのにこんなものか」と、冷ややかな態度だったり、お手並み拝見といった姿勢で、応援してくれないこともあります。

中小企業への転職を想定している場合は、前もって業務範囲を広げておくと良いでしょう。

同時に、分からないことがあった時に、教えてくれる指南役を持つことをオススメしたいと思います。

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大塚 寿(おおつか・ひさし)
営業・人材コンサルタント
1962年群馬県生まれ。リクルートを経て、サンダーバード国際経営大学院でMBA取得。現在、オーダーメイド型企業研修、営業コンサルティングを展開するエマメイコーポレーション代表。著書に、『リクルート流 「最強の営業力」のすべて』『法人営業バイブル 明日から使える実践的ノウハウ』『50歳からは、「これ」しかやらない 1万人に聞いてわかった「会社人生」の上手な終わらせ方』(以上、PHP研究所)や、『40代を後悔しない50のリスト』(ダイヤモンド社)など多数。

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(営業・人材コンサルタント 大塚 寿)

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