1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

霧が晴れるように「本当にやりたいこと」が見つかる…1日5分で人生が変わる「日記より簡単な単純作業」とは

プレジデントオンライン / 2023年9月13日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/BorisRabtsevich

「本当にやりたいこと」を見つけるには、どうすればいいのか。Voicyパーソナリティの尾石晴さんは「1日5分でいいので『やったこと』を書き出してみてほしい。このログ取りを続けることで、自己理解を深めることができる」という――。

※本稿は、尾石晴『自分らしく生きている人の学びの引き出し術』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■社会を生き抜くためのリスキリング

最近は、大人の学びのキーワードとして、次の2つの言葉を見たり聞いたりする機会が増えてきました。 

リカレント教育:学校教育から離れて社会に出たあとも、必要なタイミングで再び教育を受け、仕事と教育を繰り返すこと

リスキリング:技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、新しい知識やスキルを学ぶこと

これからの社会を生き抜いていくにあたって「大人にも学びが必要」と認識されるようになり、行政や企業などさまざまな場所で取り上げられるようになった言葉です。

これには、雇用の流動性や終身雇用の崩壊、労働期間の延長など、さまざまな社会的背景があるのですが(国や会社では面倒見切れないから、自分の力で学んで生きていっておくれというメッセージ)、カタカナ用語でそのあたりのニュアンスがマスキングされ、見えなくなっています。

内包された「ネガティブな何か」を察知して、「これって本当に私のためになるの?」といぶかしんでいる人も多いように感じます。早晩やらねばならぬこととはいえ、自分事として腹落ちしていない人も多いのではないでしょうか。

■人は誰しも「学び軸」を持っている

そんなとき、大人になってから何を学んだか、どうやって学んだかを棚卸しすると、「これから何を学べばいいか」を見つける大きなヒントになります。

なぜなら、その学びを選んで習得した背景に、何を自分にとっての学びにしてきたかという「学び軸」が必ず存在するからです。

学び軸とは、学びのサイクルを回し、私たちが人生を主体的に生きるために必要な武器を手に入れ、装備するための中心軸。

私たちは学び軸によって、自分の人生に必要な情報やスキル・能力などをその時々に応じて手に入れたり、入れ替えたりして生きています。人によって千差万別、みんな自分の学び軸を持っています。

学び軸は、次の2つの要素で構成されています。

【学び軸の構成要素】

感性:生まれながらにして持っている興味・関心

資質:生まれ持った特性や学ぶ力、価値観、動機

■「学び軸」を構成する「感性」と「資質」

学び軸で学びのサイクルが回り始めるきっかけとなるのが「感性」です。

「感性」は、五感や直感に基づくもの。「なんかいい」「なんか好き」と感じる内面の動きのことです。感受性、印象、心地、感情、感度など、幅広い意味を含んでいます。

世の中には、多くの情報や出来事が転がっています。私たちは、それらの中から「知りたい」「おもしろい」と思うものを自分で選んでキャッチしています。

同じような情報に触れても、同じような出来事が起こっても、人によって反応する・しないやキャッチする内容に違いがあります。これは感性の働きによるものです。

「資質」とは、生まれつき持っている先天的な力のことで、学びを習得するための特性や学ぶ力のことを指します。具体的には、すぐ行動する力、コツコツやる力、敏感に反応する力、状況を想像する力、集中して取り組む力などです。

人によってそれぞれ異なった資質の組み合わせを持っていて、無意識に当たり前のものとして、その力を使っています。

とはいえ、「あなたの資質は何?」と聞かれて、すぐに答えられる人は少ないですよね。資質は「見えにくい力」なのです。他人だけでなく、自分自身も自分の資質に気づくのは難しいという特徴があります。

なぜなら、生まれつき持っている特性や性格は、数値化・言語化しにくいからです。また、組み合わせることによって発揮される力なので、「ズバリ、この資質!」と単純に言えないことも影響しています。

「学び軸」を構成する「感性」と「資質」
図表1=『自分らしく生きている人の学びの引き出し術』より

■過去のビッグデータから自己理解を深める

自分の学び軸について知るためには、自己理解を深める必要があります。

その際の手がかりとなる一番のビッグデータは「過去」です。過去には、自分がどんなことに興味・関心を持っていたのか(感性)、新しいことをどのようにして習得してきたのか(資質)といった、あなたの学び軸の情報が詰まっているからです。

データを集めて自己理解を深めることで、よりよい環境設定や行動の選択ができるようになっていきます。

■「自己理解」の3つのステップ

人は年齢を重ねていくだけで、学び軸を知るためのデータが年々増えていきます。

若いうちは、アンテナの誤作動で学び軸がうまく回らなかったときや、たまたまうまく回ったときもあったはず。それらも含めてデータがたまっています。

そのデータを分析すれば、自分の学び軸が見えてきます。ということは、年齢を重ねるほどデータはたまり、そのデータをもとに、自分に合った学びを身につけられるようになっていくということです。

実際、若い頃より年齢を重ねた今のほうが自分のことがわかるようになった、生きやすくなったという人も多いのではないでしょうか。学び軸について知らなくても、感覚知として多くの人が感じていることだと思います。

この無意識に感じている「自分はこういう人だ」という感覚をつかまえて掘り下げてみるのです。

「自己理解」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、やることは次の3つだけです。

【自己理解のステップ】
①ログを取る
②気づきを得る
③自分を知る

■①ログを取る:1日5分「やったこと」を書き出す

自分を理解するためのデータは、意識的にストックしていく必要があります。データを意識的にストックする習慣を持つと、あなたの学び軸はますますくっきりし、どんな学びを選べばいいか迷わなくなるでしょう。

では、具体的にどのようにしてデータを集めればいいのでしょうか。コンピュータがどんな動作をしていたかを記録として残すことを「ログを取る」といいますが、まずはそれと同じことを行って自分のデータを集めていきます。

やったこと、起きたこと、結果や事実だけをただ書いていく。これで十分です。

今日何をしたのか、何が起きたのかという「事実」なら誰でも書けます。会社に行った、ミーティングでプレゼンした、手紙を出した、メールを返信した、年末の宿の検索をした、といった事実は書ける!

実は、私はもともと日記や手帳が続かない人でした。毎年、年初は張り切って書くものの、春先にはページが真っ白。年末には処分し、新しい手帳購入というリセットボタンを押す有様。

しかし、自分の書く力を過信せずに、淡々と「事実だけを書く」ようにしてから毎日書けるようになり、それからすでに何年も継続しています。

■②気づきを得る:ログとログの間につながりを見つける

次はログとログの間にあるつながりを見つけて、そこから「気づきを得る」というステップに進みます。

複数の情報があると、人は必ずそこになんらかのつながりを見つけます。点と点をつないで線にしたり意味づけしたりするのは、人の脳が高度に発達しているからです。

私はログ取りをするようになってから、次のような気づきを得ています。

【ログ取りで得た気づき】
・毎日できていることが少ないと思っていたが、意外といろいろ行動していた。
・午前中に仕事をしている日は、仕事の進みが速くてその分仕事量が多いが、午後から仕事をしている日は、仕事の進みが遅くて仕事量が少ない。
・朝に走った日は動きがスムーズになり、家事も早く終わっている。
・予定が3つ以上あった日の翌日は、エネルギーを多く使ったためか仕事がはかどらない。
・子どもの体調が悪い日は、手間がかからない鍋料理が多い。

気づきを得ただけで終わっていることもあれば、行動が変わっていることもあります。現時点では気づきで留まっているものも、これからデータが増えていけば、意味づけや行動の変化にまで至る可能性があります。

ログを取ることの効果は、ここにあります。普段、無意識で行っている行動やルーチン作業の中に一定の法則が見つかると、行動が変化することがあるのです。

気づきが得られないときは、そのままにしておくのもひとつの手です。そのまま置いておくと、ログは発酵します。

発酵とは、微生物が有機物を分解して別の物質に変化することを指します。特に気づきがなかったログでも、しばらく置いておくと、その間に自分の知識や体験が増え、次に見たときに違った気づきが得られることがあります。

■③自分を知る:ログにある出来事の「感情」を掘り下げる

データが増えてきて、気づきも少しずつ得られるようになってきたら、今度は1つのログを掘り下げて、自分の受け止め方や反応から「自分を知る」フェーズに入っていきます。何かを体験したあとに、その出来事を掘り下げて、自分の内側をそっとのぞいてみるのです。

たとえばある日、職場で同僚が上司から怒られていたのを見たとします。そして、その日のあなたのログに、「同僚が上司から怒られていた」と書いてあったとします。

その出来事を書いたということは、あなたの内側に何か反応するものがあったということです。

反応としてわかりやすいのは、「感情」です。職場で同僚が怒られているのを見て、不愉快になる人もいれば、悲しくなる人もいます。人によっては、「自分に害が及ばずラッキー」と思う人もいるかもしれません。

あなたはどう感じたのでしょうか? 憤り? 恥? 不安? どういった感情が湧きましたか? その感情はなぜ湧いたと思いますか?

もう一歩踏み込んでみると、「上司は年長者なのだから正しい」という自分の価値観や、怒られているという事実から「同僚は悪いことをしたに違いない」と捉える考え方の癖が見えてくるかもしれません。

たった1つの出来事でも、それが起こったときの自分の感情を掘り下げていくと、そこには今まで認識していなかった価値観や考え方の癖を持った「自分」がいます。

ログにある出来事の「感情」を掘り下げる
図表2=『自分らしく生きている人の学びの引き出し術』より

■1日5分のログ取りで自己理解を深める

私は、1日5分もかからないログ取りで、自己理解が深まって自分の学び軸を知ることができ、自分らしい学びの選択ができるようになりました。

尾石晴『自分らしく生きている人の学びの引き出し術』(KADOKAWA)
尾石晴『自分らしく生きている人の学びの引き出し術』(KADOKAWA)

同じように、誰もが学び軸を知ることで、自分らしい学びの選択ができるようになると思っています。その結果、自分の生き方そのものが変わる可能性もあるのです。

自己理解の習慣がない人は、とりあえずログ取りを始めてみることをおすすめします。なぜかというと、ログ取りは思考力不要の単純作業なので、誰にでもできるからです。

さあ、早速スマホを開き、ログ取りの時間を決めて、アラームをかけましょう。通勤時間、ランチタイム、就寝前……。あなたの生活の中に、ログ取りのための「5分」を確保してください。

3カ月も継続すれば、それが当たり前になって継続できるようになります。すると、霧が晴れるように一気に自己理解が進むときがやってきます。

自己理解の進み方
図表3=『自分らしく生きている人の学びの引き出し術』より

■自分の価値観がはっきりとする

「私はこれがやりたかったのか」「私はこういう価値観を持っていたのか」「このときはわからなかったけど、あの違和感はこの価値観によるものだったのか」という、点と点がつながって線になる体験です。これを体感できるまで、ぜひ1日5分のログ取りを続けてみてください。

続けるうちにあなたの学び軸は少しずつくっきりはっきりしていき、しなやかに回転し始めるでしょう。

----------

尾石 晴(おいし・はる)
Voicyパーソナリティ
外資系メーカーに16年勤務し、うち6年は管理職として活躍。長時間労働が当たり前の中、「分解思考」で時間を捻出。ワンオペ育児をこなしながら残業0時間を達成し、チームを社内表彰に導く。その傍ら、発信業・不動産賃貸業・ヨガインストラクター、メンタルオーガナイザー、ライフオーガナイザーなど、会社員以外での収入経路を次々と確保。2020年4月に会社員を卒業。音声メディア「voicy」では1000万回再生超えを記録し、トップパーソナリティとして活躍中。2020年にはヨガスタジオ「ポスパムfukuokaスタジオ」を立ち上げ、代表を務める。2児の母。著書に『やめる時間術 24時間を自由に使えないすべての人へ』(実業之日本社)、『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。

----------

(Voicyパーソナリティ 尾石 晴)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください