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「次の中から四角形をすべて選びなさい」大人もまんまと引っかかる…小学校2年生の算数の超キホン問題 【2023上半期BEST5】

プレジデントオンライン / 2023年10月8日 17時15分

『プレジデントFamily2023年冬号』の特集は、「読解力」の家庭での伸ばし方。「文章を読める子が“新受験”を制す」「なぜ算数の“文章題”だと解けないのか」「食いっぱぐれないために大事なこと 自分で稼げる子にする!」などを掲載している。

2023年上半期(1月~6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。教育・子育て部門の第4位は――。(初公開日:2023年2月12日)
子供が図形問題を苦手とする原因の一つに「空間認識力の低さ」がある。筑波大学附属小学校の夏坂哲志先生は、「小学生には別の原因もあります。使い慣れていない図形用語のせいで、問題文の意味が読み取れていない」という。8つの図形のつまずきポイントを紹介しよう――。

※本稿は、『プレジデントFamily2023年冬号』の一部を再編集したものです。

■「直径」「円周」「垂直」「四角形」の意味は大丈夫か

積み木やパズルが特段、苦手とも思えないのに、つまり、空間認識力がさほど低いとは思えないのに、算数の図形問題になると、なぜか間違いが多いという子、いませんか。もしかすると、図形の問題に出てくる言葉の意味がわかっていないのかもしれません。

筑波大学附属小学校の副校長で算数部に所属する夏坂哲志先生は、次のように語ります。

「算数は暗記教科ではないですが、用語や公式などを正確に理解する必要があります。『直径』『半径』『円周』『平行』『垂直』など、図形特有の用語の理解はあいまいではありませんか? さらにやっかいなのが、『まわり』『点をとる』『高さ』など、日常生活で使っている意味と、図形で使われる言葉の意味とが異なることです。

大人からすると『え? こんな言葉の意味がわかっていなかったの!』と驚くところでつまずいている子もいるのです。簡単な言葉だからこそ、あらためて意味を確認する機会がなかったのかもしれませんし、お子さんの図形用語の理解度について、今一度、確認してあげてください」

図形ならではの用語の代表例を八つ教えてもらいました。さて、お子さんはちゃんと理解できているでしょうか。

■つまずきポイント1:「まわり」がわからない

●例題:図で、色のついた部分のまわりの長さを求めましょう。(5年生)

出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より
出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より

●よくある間違い

「まわり」という言葉から「外周」のみに目がいってしまう。

●答え

5×2×3.14+2.5×2×3.14=47.1 47.1cm

●解説

この問題では、「まわりの長さ」には内周(2.5×2×3.14)も含むのですが、「まわり」という言葉からどうしても外周のみに目がいってしまい、5×2×3.14=31.4(cm)と答えてしまうのです。右図のように、半円やおうぎ形の外周を求める問題でも、弧の部分(円の丸い部分)だけを求めて、直線部分の長さを足し忘れる間違いがよく起こります。

出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より
出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より

●オマケ

「たて5m、よこ10mの長方形の池があります。この池のまわりの長さは何mですか」4年生ぐらいでも、このような問題に困る子がいます。こんな簡単な問題のどこがわからないの? と大人は不思議に思いますが、問題文の「まわり」という言葉に引っかかって先に進めなくなるのです。たしかに、生活用語で「池のまわり」といったら図のように「池の周辺(の面積)」をイメージしますね。図形で使うときは、「ヘリ=その形の外側の縁の線で表す部分」を指すことを説明してあげてください。「おなかのまわり」「頭のまわり」など、子供がイメージしやすい体の部分を取り上げて説明すると「ピッタリくっついた外回り=まわり」と理解できます。

出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より
出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より

■つまずきポイント2:「点をとる」がわからない

●例題:点A、B、Cがあります。4つ目の点をとって、平行四辺形をかきましょう。(4年生)

出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より
出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より

●よくある間違い

点A、B、Cをなくしてしまうと勘違いする。

●答え

点A、B、Cを結んだ三角形が平行四辺形の半分になるように、4つ目の点をとり、直線でつなぎます。点は3つとることができ、3つの平行四辺形ができます。

出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より
出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より

●解説

「4つ目の点をどこに置いたらいいのか」に悩んでいると思いきや、それ以前に「点をとるって何?」と立ち止まってしまう子供がいるのです。子供にとって「とる」は「取り去る」「手に持つ」「手でつかむ」こと。漢字で言うと「取る」のイメージですが、図形用語としての「とる」は多くの中から選んで決める「採る」のこと。「点をとる」=「点を決める」と言い換えてあげるといいでしょう。

●オマケ

6年生で学ぶ「線対称」「点対称」でも、対応する点(頂点)をとって作図をします。用語に違和感を持たないように、早い段階で確認しておくといいですね。

出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より
出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より

■つまずきポイント3:「◯◯とみて」がわからない

●例題:図は埼玉県の地図です。上底60km、下底105km、高さ45kmの台形とみて、およその面積を求めましょう。(6年生)

出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より
出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より

●よくある間違い

元の地図と台形を重ねられない。

●答え

(60+105)×45÷2=3712.5 3712.5km2(埼玉県の実際の面積は約3797km2

●解説

問題文にある「台形とみて」がわからない子がいます。概形(およその形)の面積を求めるときに、「台形とみて」は「台形に近い形なので台形とみなす」という意味です。「台形と考えると」などと置き換えてあげましょう。

●オマケ

算数では、図形に限らず「◯◯とみて」をよく使います。例えば概算のときも「298円を300円とみて」といいます。大人にとってはどうということもない表現ですが、子供には理解しにくい言葉のようです。

■つまずきポイント4:「底辺と高さ」がわからない

●例題:次の図の色のついた部分の面積を求めましょう。(5年生)

出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より
出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より

●よくある間違い

12×7÷2=42と計算してしまう。

●答え

7×6÷2=21 21cm2

●解説

「底辺」の底(そこ)という漢字から、下にある辺を「底辺」だと思ってしまう子がいます。「高さ」についても、「背が高い」「手を高く上げる」などから子供たちは「縦の位置を表す言葉」としてイメージしています。「底辺」とは、三角形や平行四辺形などで、「高さ」を測るための基準となる辺のこと。そして、「底辺」と「高さ」は必ず垂直になっていること。この2つをしっかり定着させましょう。この問題では、7cmの辺を「底辺」としたときに、「高さ」が6cmになることを確認しましょう。

出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より
出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より

■つまずきポイント5:「底面」がわからない

●例題:下の三角柱の底面の面積は何cm2ですか。(5年生)

出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より
出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より

●よくある間違い

5×12=60と計算してしまう。

●答え

5×4÷2=10 10cm2

●解説

「底辺」と同様、「底面」も底(そこ)にある面のことだと思ってしまう子がいます。この問題の底面は、長方形の部分ではありません。角柱や円柱の「底面」とは、「平行に向かい合う2つの合同な面」のこと。例題の図のように横向きに置かれていても、底面や側面は変わりません。角柱の底面は向かい合う多角形、円柱の底面は円です。そして、まわりの面が側面です。

出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より
出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より

■つまずきポイント6:「垂直」がわからない

●例題:次のあからおの直線のうち、垂直になっているのはどれとどれですか。(4年生)

出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より
出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より

●よくある間違い

「う」と「お」を見逃す。

●答え

「い」と「え」、「う」と「お」

●解説

「垂直」の定義を正確に理解していないと惑わされる問題です。教科書には「2本の直線が交わってできる角が直角のとき、この2本の直線は垂直である」と書かれているのですが、この問題のうとおのように、交わっておらず離れていても「垂直」なのです。直線を伸ばしたときに直角に交われば「垂直」であることを押さえておきましょう。

出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より
出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より

■つまずきポイント7:「四角形」がわからない

●例題:点と点をつないで四角形をつくりました。四角形はどれですか。(2年生)

出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より
出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より

●よくある間違い

「イ」を選ばない。/「ア」「ウ」を選ぶ。

●答え

「イ」「エ」「オ」

●解説

「イは四角形ではない」という子はたくさんいます。四角形の定義は「4本の直線で囲まれた形」です。アは囲まれていないから(つながっていないから)、ウは直線ではない線があるから四角形ではありません。

●オマケ

とんがっていなくても角(かど)、へこんでいても頂点

子供には「角=とがっているもの」というイメージがあるため、「とんがっていないから角ではない」と思ってしまうのです。また、「頂点」には、頂(いただき)の漢字から「いちばん上」「とんがったところ」というイメージがあるようです。「頂点」は、角の先端部分の1点のこと。イのような図形を見て、「へこんだところは角ではない」と思うのです。「とんがっていなくても角」「へこんでいても頂点」ということを確認しておくといいですね。

■つまずきポイント8:「合同」がわからない

●例題:合同な図形は、どれとどれですか。(5年生)

出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より
出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より

●よくある間違い

拡大図や縮図も選んでしまう。

●答え

「イ」と「オ」

●解説

「同じ形」という言い方は、いろいろな場面で出てきます。1年生の形遊びでは、ティッシュの箱とお菓子の箱は「同じ形」と分類します。「拡大図・縮図(相似)」では、大きさは違うけれど「同じ形」として使います。「合同」は「重ね合わせたときにぴったり重なる図のこと」。「同じ形」という言葉が出てきたときには、「この『同じ形』はどういう意味?」と考えさせることが必要です。この問題では「合同な図形」と聞かれているので、拡大図や縮図は含みません。

●オマケ

三角形は3つの辺の長さが等しければ合同ですが、四角形はどうでしょうか。4つの辺の長さがすべて等しくても合同とは限りません。1辺がすべて5cmの正方形とひし形、合同ではないですよね。

出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より
出典=『プレジデントFamily2023年冬号』より

(プレジデントFamily編集部 構成=池田直子)

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