1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

エントリーシートに「御社」と書いてはいけない…凄腕ヘッドハンターが教える応募書類の正しい書き方

プレジデントオンライン / 2024年4月1日 10時15分

企業はまず書類を見て、あなたという人間を知る(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Shin

就職活動の「エントリーシート」はどのように書くべきなのか。ヘッドハンターの半沢健さんは「わずか1字違いが採用の成否を決めることもある。『美は細部に宿る』というように、細部にまでとことんこだわるべき」という――。

※本稿は、半沢健『無敵の内定戦術』(発売:講談社、発行:日刊現代)の一部を再編集したものです。

■応募書類をおろそかにしている人があまりに多い

新卒採用、経験者採用のいずれにおいても、書類――新卒採用であればエントリーシートや履歴書、経験者採用であれば職務経歴書というのは、内定へ向けた手続きにおける第一歩であると同時に、そのすべてを決めてしまう力さえある、実に大切な要素です。

企業はまず書類を見て、あなたという人間を知るのであり、そこに書かれた内容はもとより、形式、文字、気遣い……そのすべてが、あなたを語り、あなたを映し、あなたそのものとして会社のドアを叩きます。

すなわち、成功のためのアルファにしてオメガともいうべきものでありながら、プロフェッショナルとしての私から見ると、これをおろそかにしている人があまりに多いのに驚かざるを得ません。

■「御社」「貴社」どちらを使うべきか

例えば、志望理由などを書く際に頻出する、志望先企業への呼びかけのスタイルについて、あなたは次のどちらを使うでしょうか?

①御社

②貴社

この場合、①を使っている人は、残念ながらスタートから大きくマイナスを背負うことになるでしょう。

企業に対する呼びかけ、二人称を使う際、面接や営業など話し言葉の場合は「御社」、書類に書く際には「貴社」とするのが、ビジネスのマナーにおける常識です。

この使い分けが正しくできない人は、経験者の場合はもちろん、学生さんであっても減点され、それだけで不採用になることも珍しくありません。

■わずか1字が天国と地獄を分ける

私自身、キャンディデイト様からのメール文に「御社」とあるのを見ると、すぐに指摘して、以後は絶対に間違えないよう指導をします。

なぜなら、就職・転職という人生で最も重要な戦いの場では、いかなる場面、いかなる機会でも気を抜かず、万事にとことん徹底しない限り、生き残ることができないことをいやというほど知っているからです。

「御社」と「貴社」、わずか1字違いが天国と地獄を分けることさえある。だからこそ、書類をととのえるうえでは何よりもまず“細部”を意識し、遺漏のないようこだわらなければいけません。

■「です」「ます」と「である」混在は注意力散漫に感じさせる

例えば、文のスタイル。一つの書類の中で「です」「ます」を使う文(敬体といいます)と、「だ」「である」で書く文(常体といいます)を混ぜて使ってはいないでしょうか?

そうした混在は注意力の散漫を感じさせ、たとえ1カ所でも(1カ所だからこそ目立つのです)、あなたへの評価をネガティブにします。

誤字・脱字などは、言うまでもありません。

受験の時には下書き→清書の手順を踏んで、間違った字は必ず直し、不安なところは辞書できちんと調べる人も、なぜか就職・転職では無造作に書類を書いてしまう。

受験と同じ、いえ、それ以上に大切な場面であるにもかかわらず、なぜそうする人が多いのか理解に苦しみます。

最近はエントリーシートも職務経歴書も、企業のHPやネット上にあるフォーマットへ直接入力することが増えており、「志望動機」→「死亡動機」など、とんでもない誤変換で提出する例も後を絶たないとか。

いずれの場合も、いったんプリントアウトして読み直すという手間さえ惜しまなければ、確実になくすことができるはずの初歩的ミスです。

アートの世界では「美は細部に宿る」と言いますが、それは就職・転職においても疑いのない真理。「たかが書類」などとは絶対に考えず、全身全霊を込めて書くよう意識してください。

面接官の女性と面接を受けるスーツの男性
写真=iStock.com/mapo
「たかが書類」と考えてはいけない(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/mapo

■趣味の欄にただ何となく「読書」と書いてはいけない

“細部”を大切にするという点で、皆さんの意外に見落としているポイントが、履歴書や職務経歴書に必ずある「趣味」あるいは「打ち込んでいること」などの欄に書く内容です。

採用において「趣味」などほとんど関係なしという意識で、ただ何となく「読書」とか「音楽」「ジョギング」と書いている人がどれほど多いことか!

椅子に座って本を読む男性
写真=iStock.com/Kriangsak Koopattanakij
ただ何となく「読書」と書いてはいけない(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Kriangsak Koopattanakij

こうした欄は書類の後半に設けられていることもあり、ほとんどの人が軽視しているのを見るたび、私などは「ああ、もったいない」と感じるのです。

人間は自分と似た部分や共通点がある相手に対し、興味を持つという傾向があります。これを心理学では「類似性の法則」といい、自分のことをできるだけ知ってもらうのが、親近感を高めるのに有効ということは研究によって実証済み。

であれば、そのメリットを活用しない手はありません。

■面接官が興味を持ってくれた

私の場合、新卒採用の折の書類では「趣味」の欄にしばしば、フルマラソン(42.195km)のことを書きました。

それも、ただ「マラソン」と記すのではなく、いつから始め、どんな大会に出場し、記録はどれくらいか、をできるだけ詳しく書いたのです。

すると、ある企業の面接の際、同じくマラソンを趣味にされているらしい面接官の方が「君、自己ベスト2時間50分6秒とはすごいね」といきなり声をかけてくださって……その好意的な反応に気持ちもリラックスでき、後の流れもスムーズに、めでたく内定へ繋がった“成功体験”があります。

もちろん、マラソンのことを書いたからといって、相手がその記述に注目し、親近感を抱いてくれるかは運次第です。

でも、そこを適当に書いたのでは、そもそも注目される可能性はゼロ。ならば、少しでもアピールの可能性のある点はおろそかにすべきではないでしょう。

実際、趣味の欄を書かずに(あるいは適当に書いて)いると面接官からは「好奇心の欠如」と見なされますし、しっかり書くことで「人間性が豊か」と評価されるのは間違いありません。

■変わった趣味でなくても問題ない

私にはマラソンのほかにも、スペイン語会話やお菓子作りなど、面接の場で話題になりやすい趣味がありました。

それというのも就職の際のアピールを意識し、必要な経験を“逆算”した結果ですが、だからといって「自分は無趣味だし」という方も落ち込む必要はありません。

ロッカールームで座り込み、落ち込むビジネスマン
写真=iStock.com/recep-bg
「自分は無趣味だし」という方も落ち込む必要はない(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/recep-bg

例えば「読書」を挙げる場合も、ポツンとそれだけを書くのではなく、どんな分野の本を読むのか、愛読書はどの本で、それを挙げる理由は何か、といった点をしっかりと記せばいいのです。

読書や音楽鑑賞などは、マラソンやお菓子作りに比べても、むしろ共感を持ってもらいやすい趣味とも言えます。

書類に関しては、そこに書くべきスペースがある以上、すべての欄に心を込め、十分に考えた内容を記入すること。

仮に相手が同じ趣味を持っていなくても、あなたという人間がどういう人かをわかってもらえれば、親近感は自然に湧いてくるものです。

■できる限り具体的に書く

これは特に、初めてエントリーシートなるものを書く新卒採用の学生さんたちに強く言っておきたいことですが、何事につけても漠然とではなく、できる限り具体的に書く習慣を身に付けてください。

例えば、学生時代に力を入れたことなど自己PRについて書く場合も、42.195kmのフルマラソンで単に2時間台で完走というところで終わりにせず、そのためにどんな努力をしたかにも触れ、そこで感じたことや学んだこともしっかりと書くのです。

試しに、次の2つの記述を比較してみてください。

例1 【PR】マラソンです。大学入学から始め、現在の自己ベストは2時間50分台。○○○マラソンには毎年出場し、完走しています。(以下余白)
例2 【PR】フルマラソン42.195kmで2時間台完走を達成!

私は、相当な努力を要する目標にチャレンジし、それを達成することで大きな充実感を味わいたいとの思いから、「フルマラソンでのサブスリー(2時間台での完走)」を目標とし、中学から10年間継続している陸上競技の練習に打ち込んできました。

毎日の練習を通して得たものは、「粘り強さ」です。吐くまで行う坂ダッシュ200m50本、30度を超す炎天下での夏の合宿では富士山を駆け登ったり、苦しい思いをたくさんしてきました。全治半年の右脚の腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)の怪我なども克服し、逃げ出したくなるような3年間の辛い練習を乗り越えた末に、先日の東京マラソンで念願のサブスリーを達成した暁には(2時間50分台で完走!)、目標を達成するまでは最後まで絶対諦めない粘り強さを得られました。

■「一緒に働いていたスタッフの人数」まで書く

どちらのほうが、面接官にアピールするかは一目瞭然ですね?

あとのほうの文は単なる事実だけでなく具体的なエピソードを盛り込んであるため、読む人は炎天下の富士山で汗を流して頑張る様子まで、鮮やかに目に浮かべるでしょう。

富士山と澄んだ青空
写真=iStock.com/:CreativeJP
富士山で汗を流して頑張る様子まで目に浮かぶ(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/:CreativeJP

それだけ、相手に対する共感や理解は強まって、内定への可能性もぐっと高まるのは間違いありません。

このような自己PRだけでなく、例えばアルバイトの経験なども、この点を意識することで、与える印象は天と地ほども変わってきます。

どんな店で何をしていたか? でおしまいにせず、具体的な店の名前や詳しい仕事の内容、さらには「朝5時に起きて毎日一番で入店していました」とか、「商品POPを手作りして賞をもらいました」とか、とにかく目に浮かぶエピソードをしっかりと書いてください。

一緒に働いていたスタッフの人数も「大勢」ではなく「全部で13人」と書き、苦労した点も「お客様のクレーム対応は大変でしたが、おかげでコミュニケーションの力を磨くことができました」というところまで書くべきです。

■最も印象に残る内容に絞り、無駄なく書く

もちろん、書類の欄にはスペース=字数の制限はありますし、会社側から字数を指定されることも多いので、エピソードといっても幼稚園児の作文のようにダラダラ書けばいいわけではありません。

そうではなく、決められた量、限られた字数の中で、最も印象に残る内容に絞り、とことん具体的に、無駄なく書く練習を繰り返すこと。

先ほどの例で言えば、文の最初に最も訴えたい点についてタイトルを付けていますが、これも「抽象的にたくさん」ではなく、「具体的に絞って」アピールするための効果的な工夫です。

■書類とは「あなた自身の広告」

ここで、私自身の就活時のエントリーシート(図)を見てもらうと、「取り組んだこと」の欄に「スペイン語弁論大会で全国大会に出場(慶應では42年の歴史で史上初の快挙‼️)」、「中国シンセンにて数千人の工員達と共同生活・労働(昨夏工場団地にて)」、あるいは「弟の家庭教師(夏休みに帰省、343人中303位から9位に)」といった、簡潔で明瞭なイメージの浮かぶ記述が並んでいます。

就職活動の自己PR事例
出所=『無敵の内定戦術』
就職活動の志望動機事例
出所=『無敵の内定戦術』

このように、まるでニュースや広告(書類とはまさに、あなた自身の「広告」なのです)を思わせるキャッチーで具体的な記述ができれば、面接官も好印象を抱き、書類と真剣に向き合ってくれるに違いありません。

そのためにも、エントリーシートは何度でも書き直して、それぞれの項目をとことん磨き抜く努力をしてください。

■不思議なくらいにエントリーシートの通過率が高まる

私の経験でも、大学入学後に就活を始めた当時と、大学3年生で就活を極めた終盤とでは、その記述が驚くほど具体的に進化していたのを覚えています。

半沢健『無敵の内定戦術』(発売:講談社、発行:日刊現代)
半沢健『無敵の内定戦術』(発売:講談社、発行:日刊現代)

それはまた、面接の限られた時間内に相手の印象に残る話をまとめるうえでも、またとない訓練になるはずです。

私は「就活の鬼」と呼ばれた学生時代に、書類選考が通らずに悩んでいる友人に対して、とにかくこの点だけを徹底するようにアドバイスし、現在もお手伝いをするキャンディデイトの皆さんに、同じことを口を酸っぱくしてお教えしています。

すると実際、不思議なくらいにエントリーシートの通過率が高まるのです。

中には「これまでまったく通過しなかった書類が、一つも落とされなくなった」というケースさえ珍しくありません。

まさに「0→1」の劇的変化がすぐ表れる――この練習を、皆さんにはすぐ始めてほしいと思います。

----------

半沢 健(はんざわ・けん)
ヘッドハンター、経営者
慶應義塾大学在学中に「就活塾」を立ち上げ。東大生・慶應生・早稲田生を中心に、難関企業を筆頭に数多くの内定に導く。新卒就活時と転職活動時もあわせて、人生で計34社、人気の難関企業中心に内定を獲得。ヘッドハンター業界に参画し、2019年度、“コンサル(M&A)部門MVP”、全国1位のヘッドハンターに選ばれる(日本経済新聞社グループ主催)等、個人表彰多数受賞。TOP株式会社の代表取締役社長兼ヘッドハンターとして、多くの学生やキャンディデイト様のご支援で活躍している。著書に『無敵の内定戦術』(日刊現代)がある。

----------

(ヘッドハンター、経営者 半沢 健)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください