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大谷翔平でも自信を失いかけたことがある…メジャー1年目の大谷を立ち直らせた「イチローの言葉」

プレジデントオンライン / 2024年4月25日 9時15分

「悔しさ」が勝利へのモチベーションに(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/mapo

あの大谷翔平選手でも自信を失いかけたことがある。ジャーナリストの桑原晃弥さんの書籍『圧倒的な力で世界を切り拓く 大谷翔平の言葉』(リベラル社)より、メジャー1年目に自信を失いかけたときのエピソードをお届けする――。

■「悔しい思い」をバネにしてきた

悔しいなっていう思いが今年のモチベーションかなと思います。(『ルポ 大谷翔平 日本メディアが知らない「リアル二刀流」の真実』朝日新聞出版)

大谷翔平はケガや手術のために思い通りの活躍ができなかったシーズンを何度か経験しています。

日本ハムでの4年目にはチームを日本一に導いたものの、日本ハム最後の年となった5年目にはケガの影響から活躍できず、「申し訳ない」という思いを口にしています。

メジャーリーグに移籍してからも1年目は新人王を獲得したものの、2年目と3年目はトミー・ジョン手術の影響もあり、数字的には苦戦しています。

2021年、3年目のシーズンオフを、大谷はチームが与えてくれた「二刀流のラストチャンス」と受け止め、2年間の悔しい思いを胸にシーズンに臨むことで、МVPを獲得するほどの大活躍をします。

■「悔しさ」が勝利へのモチベーションに

リトルリーグ時代、大谷は全国大会への出場を目指したものの、小学校時代は果たせず、ラストチャンスの中学1年生で岩手県内の大会と、東北大会を勝ち抜いて出場を決めています。

18のアウトのうち、17の三振を奪う活躍をしていますが、それを可能にしたのは、それまでの「負けた悔しい思い」があったからだと振り返っています。

大谷にとって「悔しさ」は勝利や成長への大きなモチベーションなのです。

■ケガで投げられない時期に打者としての技術が伸びる

今の僕は打者として成長していると感じていて、試合がある限りは出続けて、少しでも多くの経験を重ねていきたいと思っています。(『SHO-TIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男』徳間書店)

大谷翔平は高校時代から今日まで、幾度もケガや手術を経験しています。そのため投手として投げられない時期も多かったのですが、その間に打者としての技術は格段に伸びました。

その成長が今日の驚異的な成績につながっているのですから、人間は何が幸いするかわかりません。

大谷が花巻東高校に入学したとき、佐々木監督の頭にあったのは「ピッチャー・大谷」でした。

ところが、高校2年生の夏に骨端線(こったんせん)損傷という大きなケガをして、ピッチャーとして投げることができなくなります。

■ケガへの取り組みが野球人生を変えた

代わりにバッティングの練習に力を入れたところ、その才能が大きく開花したのです。

ボールを打つ瞬間の野球選手
写真=iStock.com/Dmytro Aksonov
バッティングのの才能が大きく開花(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Dmytro Aksonov

当時のことを大谷は「思っていたよりも、もっと上の自分がいたので、バッティングが楽しくなってきたんです」と振り返っています。

メジャーリーグに移籍した1年目と2年目も大谷は手術などにより、ピッチングのできない時期を過ごしていますが、ここでも大谷はバッティングに専念することで「打者として成長している」ことを実感しています。

ケガは歓迎すべきものではありませんが、ケガとそれに対する取り組みが大谷の野球人生を大きく変えたのです。

■夢は「ワールドシリーズ優勝」

(ポストシーズンが厳しくなっているからこそ)自分の中の課題であったり、来年に繫がるようなことをひとつでも見つけられたらいいなと。(『Number 1040号』文藝春秋)

「勝つ」ことへの意欲は、大谷にとってとても強いものがあります。

投打の二刀流として成長し続けることはもちろん大切なことですが、それにはチームの勝利があってこそ。これが大谷の考え方です。

トロフィーを掲げる人々の手
写真=iStock.com/Pavel Muravev
チームの勝利があってこそ(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Pavel Muravev

メジャーリーガーであれば誰もが手にしたいのがワールドシリーズの優勝リングでしょう。

これまで11人の日本人選手が手にしていますが、大谷が目指しているのも「打って、投げて、走って、勝って」ワールドシリーズに出場し、優勝することです。

■「モチベーションが下がる時」にもできることがある

しかし、残念ながらエンゼルスでは西地区で勝ち越すことさえままならぬ状況が続きました。

結果、ポストシーズン(※)の進出も難しく、8月、9月は来年を見すえての戦いとなり、モチベーションの維持が難しくなっていたのです。

それでも、大谷が全力プレーを怠ることはありませんでした。

ポストシーズンが厳しくなったからこそ、「自分の中の課題に取り組んだり、来年に繫がることを見つけること」を心がけたのです。

ときにはモチベーションを保てないこともあるでしょう。しかし、それでもできることはたくさんあるはずだ。これが大谷流の思考なのです。

※ポストシーズン…… レギュラーシーズンが終了した後に、成績上位チームが順位を決める試合の期間。

■メジャー1年目は自信を失いかけていた

能力はあるんだから、自信を持ってやればいいと言ってくれて、すごく励みになりました。(『大谷翔平 二刀流メジャーリーガー誕生の軌跡』辰巳出版)

いつも自信にあふれ、楽しそうにプレーしているように見える大谷ですが、メジャーリーグ1年目のスプリング・トレーニングでは「少し自信を失いかけていたかもしれません」と振り返っています。

日本の若きスターで、ベーブ・ルース以来の二刀流に挑戦するというだけでも大きな話題でしたが、「本当にそんなことができるのか」と懐疑的な見方をする人も多かったのです。

実際、投手としても苦戦、打者としても低い評価しか得られませんでした。

■イチローからもらった言葉

しかし、そんな大谷に対し当時のGMビリー・エプラーは「能力はあるんだから、自信を持ってやればいい」と声をかけています。

コーチやチームメイトも皆、励ましの言葉をかけてくれたといいます。

青空を背景にサムズアップするビジネスマンの手
写真=iStock.com/takasuu
コーチやチームメイトも励ましの言葉をかけてくれた(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/takasuu

同じ頃、イチローからも「自分の才能を信じたほうがいい」と言われたことで、大谷はグラウンドに自信を持って入っていけるようになったと話しています。

人はときに不安になり、自信を失いかけることがあります。そんなときにかけられる「温かい言葉」は、背中を押してくれますし、困難に立ち向かう力を与えてくれます。

言葉は人を傷つけることがありますが、同時に人を勇気づけることもできるのです。

■努力には「正しい努力」と「間違った努力」がある

数をこなすことが大事なのではなくて、数をこなす分、よかった、悪かったの回数が増えていくことで、それがより洗練されていく。(『Number 980号』文藝春秋)

米大リーグドジャースの大谷翔平選手
写真=Matt Marton-USA TODAY Sports/Sipa USA/時事通信フォト
米大リーグドジャースの大谷翔平選手(2024年4月5日) - 写真=Matt Marton-USA TODAY Sports/Sipa USA/時事通信フォト

思うような結果が出ないことはよくあります。そんなときほど、長時間の練習に励む選手は少なくありません。

しかし、それでも良い結果が出ないときには、どうすればいいのでしょう。

名選手にして名監督だった野村克也は、努力には「正しい努力」と「間違った努力」があり、後者をどれだけ多くこなしても結果が出ることはないと言いました。

よく言われる「努力は裏切らない」は「正しい努力」であることが絶対的な条件なのです。

■大事なのは「数をこなすことではない」

桑原晃弥『圧倒的な力で世界を切り拓く 大谷翔平の言葉』(リベラル社)
桑原晃弥『圧倒的な力で世界を切り拓く 大谷翔平の言葉』(リベラル社)

大谷翔平も練習すればするだけ問題点は改善されていくものの、大事なのは「数をこなすことではない」と語っています。

数をこなすことは大前提だとしても、やり続けていくことで「良かった」「悪かった」の回数が増え、より洗練されて成果につながっていく。これが大谷流の考え方です。

闇雲に数さえこなしていればうまくなるとは考えていないのです。

焦るあまり、ひたすら練習を重ねても、それだけでは望む結果が得られるとは限りません。

量をこなすのではなく、その積み重ねの中にある手応えをキャッチすることが大切なのです。

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桑原 晃弥(くわばら・てるや)
経済・経営ジャーナリスト
1956年、広島県生まれ。経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。業界紙記者などを経てフリージャーナリストとして独立。トヨタ式の普及で有名な若松義人氏の会社の顧問として、トヨタ式の実践現場や、大野耐一氏直系のトヨタマンを幅広く取材、トヨタ式の書籍やテキストなどの制作を主導した。著書に、『スティーブ・ジョブズ名語録』(PHP研究所)、『ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」』『トヨタ式5W1H思考』(以上、KADOKAWA)などがある。

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(経済・経営ジャーナリスト 桑原 晃弥)

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