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お金が貯まらない人ほど「最安値のホテル」を選んでしまう…本当のお金持ちが「いつも同じホテル」に泊まる理由

プレジデントオンライン / 2024年8月14日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/GCShutter

お金を貯めるにはどうすればいいのか。消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんは「コスパを重視する節約好きがハマる落とし穴がたくさんある。最安値、割引、増量といった言葉には注意したほうがいい」という――。

■夏休みの旅行でわかる「お金が貯まらない人」の習慣

物価高の世の中、価格にこだわる人が口癖のように言うのが「コスパ」だ。

コスパ=コストパフォーマンスとは、払った金額に対して得られる価値や満足を指す。その裏には大事なお金をムダにしたくないという気持ちがあるはずだ。とはいえ、あまり価格ばかりを重視してしまうと、満足度が上がるどころか余計なお金がかかってしまうことになりかねない。

この夏休みに旅行に行く人は多いだろう。気になるのは宿泊料だ。インバウンド需要のせいかインフレのせいか、とにかく高騰している。昨年と同じ予算だと、まるで話にならない。1円でも安く済ませたいところだが、金額だけで見ると、そこに落とし穴が潜んでいることもある。「安さ」には、安い理由があるからだ。

筆者は観光でもビジネスホテルを利用することが多い。当然、宿泊料を比較するが、これまで利用した安めホテルにはいろいろなパターンがあった。

街の中心から離れており、周囲に食事ができる店が全くなかったケース。車で移動するのでインターチェンジ近くがいいと決めたところ、周囲が派手なネオンぎらぎらのカップルホテルばかりだったケース。

ちなみに宿泊したホテルも、元はそのタイプだったと見え、フロントは終日無人でタッチパネルのみ、かつ領収書が必要なら後日に郵送だった。

■「最安値のホテル」で余計な出費が増える罠

さらによくあるのが、駐車場が別料金のケースだ。立地が街の中心部であればあるほど別料金となり、しかも高くなる。先着順で予約不可だと、民間の駐車場に止めて料金を払うことになりかねない。

宿泊料が少々高くなっても駐車場代がかからず、停められる台数が多いホテルの方が、トータルでコスパが良かったということもあるのだ。

もちろん立地も大事な要素だ。食事に行くには、その地の繁華街が徒歩圏であることが便利だが、地方都市ではそれがJRの駅前ではなく私鉄や路面電車の沿線駅だったりする。

JR駅前にホテルをとったものの、目当ての有名店に行こうとすると、さらに私鉄に乗らなくてはいけない場合もある。いくら安く泊まっても、食事のたびにまた電車に乗るようでは時間とお金がもったいない。

ことホテル選びについては、「繁華街や中心部から離れている」「駐車場が別料金」「建物や設備全体が古い(貧弱なWi-Fiしかないこともあり)」と料金が安めであることが多い。

それに加えて、「何らかの訳あり」の場合もある。立地もまずまず、駐車場も無料だったのに、妙に割安価格のホテルに泊まったことがあるが、理由は現地に行ってみてわかった。目の前が競輪場だったのだ。

繰り返すが、「安い」には何らかの理由がある。その安さを面白がれる人以外は、「最安」を求めすぎると、満足度というコスパは下げることになるだろう。

■お金持ちが定宿を決めている理由

宿泊業界は人手不足が深刻だ。チェックイン前の時間はフロントが無人になったり、交換するタオルやリネンは部屋のドア前に置くだけ、というホテルも少なくない。つまり、「サービス無料」の時代は終わったのだ。安さを選ぶなら、不便を甘受し、その穴を自力で埋める覚悟をしなくてはいけない。

大阪で筆者がよく利用していたホテルは、宿泊料金はやや高めだったが、チェックアウト後も希望する時間まで荷物を預かってくれた。もちろん無料でだ。これがいかにありがたいかは、大きなキャリーケースを引いたまま街中を歩くのがどれほど面倒か考えればわかるだろう。荷物を抱えたままコインロッカーを探し、駅に近い場所はすでにいっぱいで、さらに遠くまで歩き回るストレスから解放される。

お金持ちが一定ランク以上の定宿を決めているのは、提供されるサービスを含めて妥当な価格だと判断しているからだ。ムダな手間や時間、そしてストレスを無くせることも含め、料金を払う。コスパがいい宿とは、「自分が重視するサービスへの対価」として料金が納得できるかどうかだろう。

ホテルにチェックインする人
写真=iStock.com/AleksandarNakic
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AleksandarNakic

■南向きの家は本当にコスパがいいのか

物価高への生活防衛として、リサイクルショップで中古家電が人気だという。動作確認や清掃済みで、見た目は新品同様にきれいだ。そして価格は新品より安い。そのため、あえて中古を選ぶ消費者もいる、オトクだからという理由で。

ただし、その前に知っておくべき点はある。まず、大手リサイクルショップでは主に製造から7~10年以内の製品が買い取り対象のため、製造年数が古くなるほど省エネ性能等は現行製品より劣り、電気代が余計にかかる可能性がある。

省エネ性能の差は明らかで、最新家電は10年前の製品と比較して、冷蔵庫だと約42%、テレビは約31%、エアコンでは約15%の電気代が減らせるという(容量などの条件による。環境省サイトより)。

よく「家電の寿命は10年」と聞くが、これは部品の保有期間に拠っている。せっかく中古で安く買っても、数年で故障してしまい、部品がなくて修理も難しいとなると、払った代金がムダになってしまいかねない。

現在、東京都をはじめいくつかの自治体が省エネ家電への買い替えに補助を出す制度を設けている。トータルのコスパを考えるなら、受けられる補助を見逃さずに新しい製品に買い替えたほうがいいだろう。

電気代が出たついでに付け加えると、住まい選びにもコスパ意識は大事になる。たとえば賃貸の場合、家賃の安さばかりに目が行き、断熱性が劣るような古い物件を選んでしまうと、冷・暖房費が余計にかかることになりかねない。日当たり良好のイメージがあった「南向き」という条件も、最近それほど重視されないとも聞く。

日差しのせいで室温が上がりやすく、夏は冷房代がかさむのも理由の一つだろう。酷暑続きの日本では、光熱費をいかに抑えるかがコスパのいい家選びのポイントになっていきそうだ。

■節約好きが誤解している「割安品」の落とし穴

「割安」を高コスパの例に上げる人もいる。食費の高騰に悩む人が、節約目的で「大量パック」を買うケースがある。今や食品だけではなく、洗剤など日用品でも、割安をうたった「増量パック」が増えている。

確かに、グラム当たりで計算すれば、安くなる。これは正解だろうか? 残念ながら、大量・割安買いには3つの落とし穴がある。

1つ目は、大量パックは一度に払う金額が大きくなることだ。多くの家庭では、月の食費予算を決めているものだ。しかし、割安だからと数千円も一度に使ってしまうと、いきなり予算を食ってしまうことになる。オトクに買ったつもりが、月末に使えるお金が残っていないことにもなりかねない。

2つ目は、手元にストックがあると節約しようという意識が薄まることだ。ティッシュでも、残りが少ないと思えば大事に使うが、在庫がふんだんにあると思えばじゃんじゃん使ってしまう。せっかく安く買っても消費するスピードが早まっては節約の意味がない。

スーパーで買い物をする女性
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

■スーパーより、コンビニのほうが安く済むことも…

3つ目は、大量パックが収納スペースを塞ぐことだ。食品だと冷蔵庫を占領し、洗剤はストック棚をいっぱいにしてしまう。収納スペースの見通しが悪いと何が残っているかわかりにくく、ダブル買いの元になる。

さらに、食品の場合は小分けして冷凍するなど適正な下処理をしないと、使い切れないうちに消費期限が切れ、処分するはめになることも。「割安」には落とし穴がいっぱいなのだ。

そもそも、なぜ店側が大量パックを「おトクですよ」と打ち出すのか。昨今では物価高ゆえに、消費者が一回の買い物で使う金額を抑える傾向があるという。分量に応じて売値が高くなる大量・増量パックは、お客の支払金額を増やせるありがたい存在なのだ。オトクさを打ち出せば財布のひもが緩むからだ。

もちろん、大量パックでもきれいに使い切れるならメリットはある。しかし、「割安だから」という理由だけで飛びつくのはやめたほうがいい。

自分が管理しやすい分量、つまり我が家の適量を適価で買って使い切るほうが、お金もスペースもムダ遣いしなくて済む。2人家族なら、スーパーで冷凍食品を買うより、コンビニで少量入りの方を選んだ方が、かえって安く済むだろう。

■大事なお金を「死に金」にしないために

「迷う理由が値段なら買え、買う理由が値段なら止めておけ」という言葉を耳にしたことはあるだろうか。

自分が欲しいものが予算オーバーだった場合、安いもので妥協しがちだが、やはり満足できず、すぐに手放したり全く使わなくなったりして結局ムダな買い物になるという教訓らしい。お金を使う以上、後悔だけが残るとしたら、それは「死に金」になってしまう。

もちろん、安さがすべて悪いわけではない。全てのものが値上がりする現在、安値自体が価値を持つ。だからこそ、その安さの根拠・理由はなぜなのか考える癖をつけたい。なるほどと思える理由があれば、その安さは満足度をより高めてくれるはずだ。

逆に道理に合っていない安さは、それこそ「安物」であり、満足どころか後悔の元になるだろう。

使えるお金は有限だからこそ、配分のメリハリが大事だ。自分なりのお金のかけどころと、かけなくてもいいところを明確にすることが、満足度を上げる「高コスパ消費」のカギになる。

お金と通帳
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

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松崎 のり子(まつざき・のりこ)
消費経済ジャーナリスト
『レタスクラブ』『ESSE』など生活情報誌の編集者として20年以上、節約・マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析してきた経験から、「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。著書に『定年後でもちゃっかり増えるお金術』『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない 』(以上、講談社)ほか。

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(消費経済ジャーナリスト 松崎 のり子)

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