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心のやさしい人ほど「孤独な老人」になる…精神科医が断言する「ラクに生きるためにいちばん大切なこと」

プレジデントオンライン / 2024年8月16日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PonyWang

メンタルをうまく保つにはどうしたらいいのか。精神科医の西脇俊二さんは「イライラしている人からは離れたほうがいい。心をゆるめられない人は『究極の損』をすることになる」という――。

※本稿は、西脇俊二『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方』(KADOKAWA)を再編集したものです。

■人の感情に敏感な人は要注意

感じやすい人は、人の感情にも敏感です。そばにイライラしている人がいたら、そのイライラが伝わってきて、落ち着かない気持ちになります。

しかしイライラしている人は、こちらの事情など考えてくれません。デスクに書類をピシャンと置いたり、ドアをバタンと閉めたり、舌打ちをしたり、大きなため息をついたり。

地味ですが、「貧乏ゆすり」もなかなか耐え難いものがありますね。単発でダメージを与えてくるものとは逆に、こちらはカタカタカタカタ……と何分も継続します。激しい貧乏ゆすりの場合、振動までこちらに伝わってきて、本当に迷惑千万です。

これらの「他人のイライラしぐさ」には、どう対処すべきでしょうか。

■イライラしている人から今すぐ離れる

一番良いのはもちろん、その場を離れることです。その相手を視界から外せば、不安感や恐怖感も、ほどなく収まります。

会議中など、離席しづらい状況でも、手はあります。私が研修医時代によく使ったのは、「院内ポケットベル」。近くの席に座った人の貧乏ゆすりがひどすぎて、もうこれ以上は無理だ……と思ったとき、院内ポケットベルをいったんオフにして、もう一度スイッチを入れていました。

そうすると、呼び出しがあったときと同じ「ピピッ」という音が鳴ります。これで、さも急用ができたかのような顔で、退散することができました。

スマホ使用が許されるシーンなら、スマホのバイブを鳴らすなどして、うまくその場を離れましょう。

どうしても離れられない状況ならば、「メタ認知」で乗り切りましょう。

イライラしている人と、それを見ている自分の状態を、客観的に認識しなおすということです。「怖い」「イヤだ」という思いの外側に一歩出て、冷静に分析してみるのです。たとえば、「この人、ストレス溜まってるんだな~」と分析する。

実際、貧乏ゆすりというしぐさは、無意識のストレス対処です。その人は、抱えているストレスを紛らわすために、足を震わせる動作によって、身体に別の刺激を入れようとしているわけです。

■「メタ認知」で高みの見物

これは、イライラに「理由付けをした」ということでもあります。イライラしているのは、ストレスを抱えているせいである、と理由を明らかにすると、不思議と気持ちは落ち着くものです。

気持ちが落ち着いたら、あとは「高みの見物」モードになれます。

「ああ、期末で残業続きなのかな、気の毒に」と、他人事ながら少し同情できるくらいの余裕も出てくるかもしれません。

メタ認知は、自分に対してもできます。パニック発作の患者さんに対する「認知療法」として、医師はよく、発作中の自分を観察するよう指導します。パニック発作は、発生から鎮静化まで、一連の流れがあります。

患者さんが発作を起こしたときは当然「苦しい」わけですが、そこから一歩外に出て、「今、一連の流れの中のどの地点?」と、客観視すると、実際に、収まりが早くなるのです。

これと同じように、自分の状態も観察しましょう。「今、怖い『と感じている』な」というふうに、客観的に見てみましょう。

「今、相手を観察中」「今、怖さが少し減ってきた」といった具合で、変化を感じられ、次第により早くストレスを緩和できるようになるでしょう。

■心をゆるめて、全身をリラックスさせる方法

引っ込み思案も、知らない場所が不安なのも、難しい話がスッと頭に入ってこないのも、自らの可能性の芽を摘んでしまうのも、緊張のせいです。緊張は人生のジャマをします。

逆に言うと、人生がうまくいく秘訣は「リラックス」です。

人は、能力を全開で発揮しているとき、リラックスしています。

伸びをするビジネスウーマン
写真=iStock.com/maruco
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maruco

アスリートがすごいプレーをするときに、「ゾーンに入る」という言い方がありますね。そのとき、その人の自律神経は、リラックスモードの「副交感神経優位」になっています。勉強でも仕事でも、リラックスこそが、実力を発揮する秘訣です。

実力と言えば、「ここ一番でアガってしまって、実力が出せない問題」を抱える方々に、良い方法があります。どこでもできてすぐに効く、「漸進(ぜんしん)的筋弛緩法」です。

名前は難しいですが、要は「いったん力を入れてから、力を抜く」だけ。

これで身体の緊張がほぐれ、気持ちもリラックスします。

①右手でこぶしを作り、ゆっくり力を入れていく
②限界まで筋肉を緊張させたら、一気にスッと力を抜く
③左手で同じことをする。①~③を数回繰り返す

1分足らずで、すぐにできます。足や肩でもやるといいですよ。

人前に立つときなどに、ぜひ役立ててください。

リラックスできる方法を知っていれば、大げさでなく、人生が変わります。

■「究極の損」を今から回避しよう

リラックス方法を知っていると人生が変わるという理由は、先ほど話したように「実力が発揮できるから」……だけではありません。

緊張し通しで、心をゆるめられない人の「究極の損」は、何だと思いますか?

それは、老後です。皆さんは、高齢者になったときの自分を想像したことがありますか?

現時点で、皆さんのほとんどは、「穏やかな人」だと思います。

周囲の人や事柄に細やかに心を寄せる、やさしい人だと思います。

むやみに騒いだり、怒鳴ったり、争ったりすることも苦手でしょう。

しかしこの先も、ずっとそうでしょうか?

感じやすい心を持っていて、かつ穏やかであるということは、「黙って耐えていることがたくさんある」、つまり緊張がある可能性を意味します。

その緊張をこまめに取り除いたり、そもそも緊張しないメンタルを育てたり、といった対処をせずに、このまま時を過ごしていくと、どうなるでしょうか?

年齢を重ねて自制心が利かなくなったとき、傷つきやすい内面は、どのように表出すると思いますか……?

もしかすると、頑固さや、気難しさや、ワガママさや、ときに「キレやすさ」として出てこないとも限らないのです。世の中には、そんな高齢者の方がたくさんいます。

■「黙って耐える」は絶対にNG

感情の起伏が激しく、言わなくても察しろと周囲に求め、それでいて気を遣われると「腫れ物に触るような扱いを受けた」と逆に傷つき、人を遠ざけ、どんどん孤独になっていく……そうした余生は、ちょっと寂しいですよね。

生来のやさしさを、自分にも向けましょう。

自分への厳しさはほどほどにして、心をゆるめる術を身につけましょう。

これからの人生のために、ぜひ今日から、始めてください。

もしあなたが繊細で、かつ動物好きな人なら、ペットに癒やされる生活に憧れているかもしれません。これからペットを飼いたい方は、どんな動物にしたいですか?

西脇俊二『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方』(KADOKAWA)
西脇俊二『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方』(KADOKAWA)

HSPの方におすすめのペットのキーワードは、「マイペース」です。

その動物が本人(?)の世界を持っていて、そこでのんびり過ごしているほうが、飼い主はラク。気を遣わなくていいからです。

その点、犬はマイペースな動物ではありません。飼い主の様子を見て気を遣ったり、逆にワガママになったりと、人どうしの関係に近い部分が出てくることもあります。犬好きの人なら別ですが、初心者には意外と難しいので気を付けましょう。

猫はHSPの人と好相性です。構ってほしいときだけちょっかいを出してくる程度なので、飼い主もマイペースでいられます。

意外なところでは、好き嫌いはあるでしょうが、爬虫類もおすすめです。亀、トカゲ、イグアナなど。私もイグアナを飼っていますが、彼らは無心に、自分の世界を生きています。その様子を見ていると、こちらもゆったりします。ちょっと飼育の手間はかかりますが、見た目さえ苦手でなければ、検討してみても良いのではないでしょうか。

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西脇 俊二(にしわき・しゅんじ)
精神科医
弘前大学医学部卒業。2009年よりハタイクリニック院長。2008年より金沢大学 薬学部 非常勤講師、2010年よりEuropean University Viadrina非常勤講師も務める。自身もアスペルガーであり、その苦労を乗り越えた経験を生かした著作も多い。テレビ出演のほか、ドラマ『僕の歩く道』『相棒』『グッド・ドクター』、映画『ATARU』等の医療監修でも活躍。

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(精神科医 西脇 俊二)

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