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「新NISA本を読むだけでは成功しない」投資初心者は知らない"お金が集まってくる人"の見ている世界

プレジデントオンライン / 2024年8月29日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bee32

お金を増やすためにはどうすればいいのか。投資生活を45年以上続ける現役投資家の石井勝利さんは「新NISA本や投資本を読むだけでは、財テクはできない。相場で勝つためには経験値が必要だ」という――。

※本稿は、石井勝利『85歳、現役・投資家のお金の哲学』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■お金はもともと「交換物」だった

人とお金というのは、深いというか、なくてはならない関係で結ばれています。

お金というのは、そもそもが物やサービスの対価です。元はと言えば、紙幣ではなく、金や銀、そのほか、誰もが認める「交換物」でした。

しかし、様々な価値観のあるもので、交換するものは、価値観も違うし、信用も違います。それで発行されたのが、「日本銀行券」です。いま、私たちが、お買い物をしたり、サービスを受ける際に支払うものです。日本銀行が発行する紙幣や硬貨は、法律で定められているもので、これを沢山保有している人が「お金持ち」です。

価値のある労働やノウハウを提供することで、貨幣が支払われるわけです。これは日本国内の話ですが、海外の交易、交換をするときは、ドルが基軸通貨とされ、円をドルに替えることで、海外との取引に使われます。ただ、これはドルを交換の手段として国際的に使うという事であり、ユーロ圏はユーロ紙幣、イギリスはポンド、それぞれの国の紙幣が流通しています。

日銀券が流通しているならば、日銀券に似せた紙幣を使えばよいのかということで、独自に1万円券を印刷すると、それは「偽造」となり、逮捕されてしまうのです。

■お金を得るのにふさわしい自分にならなければならない

日本全国、極めて多くの人が財布の中に紙幣を入れて、モノを買い、サービスを受けますが、その分、日本銀行が国立印刷局というところで、特殊な偽造防止の方法で印刷しています(今は電子マネーが主力ですが)。

この紙幣が欲しいので、私たちは働き、対価として紙幣をもらい、衣食住などのために使います。これが足りないのが低所得と言われ、有り余っている人が富裕層と言われます。

富裕層というのは、それなりの価値がある仕事などを行っているか、税金を支払って、親などから相続を受けています。また、相続、労働以外では、リスクはありますが、株式投資などで、値上がりの利益を手にして、所得を増やします。

その方法はリスクがありますので、それ相応の知識や技術を身につけないと、目標通りに結果を残すことが出来ないのです。ノウハウ、スキルなど、お金を対価として得るためには、それ相応のものを身につけることが必要であり、そのために、勉強し、実力をつけるのです。

したがって「お金を得る、増やす」というのは、遊んでいては無理なので、頑張って、それにふさわしい自分にならなければなりません。そういうあなたは、お金を多く得るために、この本を読んでいます。

■お金の知識だけで財テクは出来ない

いま、書店には「新NISA本」や「投資本」があふれています。また、ネットにも「お金との付き合い方」のような情報はあふれています。これで出来るのは、頭でっかちの投資家です。

ただ、相場というのは、理論的に上手くいくものではなく、経験値が必要です。上がるはずの株価が、逆に下がる。下がるはずの株価が、上がる。これはよくあることです。

例えば、業績発表では良い数値が出ましたが、株価は「材料出尽くし」で下げる、というのは、少なくはないのです。ここで、知らなければならないのは、相場というのは、常に「先食い」をすることです。

好業績、好材料も先に織り込まれて、株価に反映することは珍しくはありません。そのために、普通の数値は既に株価に反映されているので、その上を買う人がいないわけで、売られてしまうのです。

ローソク足チャートと金融市場のデータ
写真=iStock.com/tadamichi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tadamichi

■裏の裏を見抜き、対応できる人が相場で勝つ

ただ、意外なほどの数値が出れば、それを織り込むために、大幅に上げていきます。これが相場というもので、このような株価の動きはなかなか教えてはもらえません。

逆に、大赤字が発表されたとき、それが想定内であれば、株価は「悪材料出尽くし」で、悪抜けし、反発になることも多くあります。もちろん、今期は悪いが来期は回復するという予想もできなくはありませんが、悪い数値で上がる、というのは、少しだけ相場をかじった人、初心者には理解できないことです。

このように、現実の投資の経験値で、本当の動きについて予測できないと、お金を投入しても望ましい結果が出ないことがあります。一見して、あまのじゃくのような相場の動きですが、魑魅魍魎(ちみもうりょう)の相場の中で、勝ち抜き、結果を出していくためには、裏の裏を見抜き、対応できるようでなければならないのです。

それが相場で勝つという事なのです。実に奥深い、思惑のぶつかり合いの世界なのです。

■「簡単に利用できるローン」の金利は高い

金融商品はサラ金だろうが、住宅ローン、生命保険、全て、リスクを弾き出して、運用のバランスが考えられています。お店に行って、身分証明書ですぐに貸してくれるサラ金や、簡単にカード一枚で借りられるカードローンには、返済不能、滞納のリスクが小さくはありません。

慈善事業ではない事業としての金融には、「不払い」「滞納」の分も含めて、儲かるように金利が設定されています。なので、まじめに返済すると考えている人が利用するものではありません。カードローンも同じです。

預金がない人でも、簡単に利用できるローンには、リスクも大きいので、それなりのバランスが取れた金利が設定されています。リボ払いが高い金利なのも、支払わないで商品だけ受け取られるリスクがあるので、高い金利がついているのです。

このような「金利」の基本は知らなければなりません。生命保険だって同じです。「死亡保険500万円」などという商品は、20代の人が加入すると一カ月の掛け金は大した金額ではありません。

しかし、40代、50代となるにしたがって、生活を脅かすほどの支払いが発生します。私は、貧乏学生の時、母の親戚の叔母さんから、生命保険に入ってくれ、すぐに解約してもいいから、いうようなまともではない加入を迫られ、解約してはまた加入、というようなことを繰り返していました。

■生命保険の掛け金が若い人は安いワケ

これも、毎月の掛け金が18歳のころは安かったから、あり得た話です。なんでかと言えば、若くして亡くなる人もいますが、それは40代、50代、60代の人から比べれば、確率は極めて小さいからです。なので、生保の掛け金は安いのです。

石井勝利『85歳、現役・投資家のお金の哲学』(SBクリエイティブ)
石井勝利『85歳、現役・投資家のお金の哲学』(SBクリエイティブ)

これは、コンピュータで確率を弾き、それでも儲かるように設計されている商品です。生保と言えば、住宅ローンに付随する団信(団体信用生命保険)の毎月の支払いは、例えば、5000万円を借りても驚くほどではありません。

これは、住宅という担保があること、住宅を求める生活力、前向きな生き方など、様々な要素をコンピュータで弾いて、万が一、死亡して支払いが発生しても、生保としての損が少ない。

むしろ、団信は儲かるという生保の打算の上に計算されています。なので、掛け金の少ない若い時に生保に加入した方が得になっているので、テレビにも、毎月1000円以下ですよ、というような広告が度々流されます。

しかし、人は20代で死ぬことはほとんど考えないし、それよりも、お酒やデート代の方が気になります。なので、いかに割安とは言っても、生保に入ろうという人は少ないのです。

本当は加入した方が得なのですが、優先順位が違うので、遊ぶことや異性とのお付き合いにお金は回ってしまうのです。このような「お金の仕組み」は知っておいた方が断然お得なのです。

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石井 勝利(いしい・かつとし)
経済評論家
早稲田大学政治経済学部卒。1939年生まれ。宇都宮工業高校から、高卒で文化放送に就職。働きながら夜学独力で大学を出た苦労人。政党機関紙の記者を23年務めた後、住宅、金融等の著作、評論活動で独立。『日本経済新聞を120%読みこなす法』(10万部)、『マンガ版 生まれてはじめて株をやる人の本』(20万部)等で、ベストセラーを連発。最近はデイトレ対応、チャートの読み方、5分足チャート、仕手株本などを手がけ、ヒットを飛ばす。投資生活45年超、著作は400を超え、安定したファンがある。

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(経済評論家 石井 勝利)

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