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実は「スモークサーモン3切れ」より塩分が多い…医学博士が教える「塩分を多く含むスイーツ」の名前

プレジデントオンライン / 2024年8月30日 8時15分

和食の塩分量は高め(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/kuppa_rock

減塩を心がけていても、「塩分の摂りすぎ」と言われた場合はどうすればいいのか。医学博士の柳澤綾子さんは「加工食品の中にはイメージより塩分量の多いものがある。成分表示をちゃんとチェックすべき」という――。

※本稿は、柳澤綾子『身体を壊す健康法 年間500本以上読破の論文オタクの東大医学博士&現役医師が、世界中から有益な情報を見つけて解き明かす。』(Gakken)の一部を再編集したものです。

■和食の塩分量は高め

「私はそれほど食べ物にお塩とかかけないから、塩分摂りすぎってことはないと思う」
「自分の場合どっちかというと甘いものが好きだから、塩分は心配いらない」

そんなふうに思っていませんか?

実は私たちの食生活のありとあらゆる所に、塩は予想以上にひっそりと入っていたりします。

私たちが子どもの頃から慣れ親しんできた和食は、ついにはユネスコ無形文化遺産にも登録され、健康食の世界的代表格のような料理となっています。しかし塩分量については比較的高めなため、注意が必要なのです。

■加工食品から知らず知らず摂ってしまっている

さらに言えば多くの加工食品には、塩分を使っていなさそうなものにも、案外入っていることがあります。塩分摂取量のおよそ80%は、加工食品内から知らず知らずのうちに摂ってしまっているとも言われているくらいです。

そもそも塩分とは体内では、化学成分としてはナトリウムイオン(Na+)として主に働きます。このナトリウムイオンですが、体内で重要な働きをするため、必須の成分なのです。

■ナトリウムイオンは大事な働きをしている

細胞は細胞外液という液に囲まれています。

柳澤綾子『身体を壊す健康法 年間500本以上読破の論文オタクの東大医学博士&現役医師が、世界中から有益な情報を見つけて解き明かす。』(Gakken)
柳澤綾子『身体を壊す健康法 年間500本以上読破の論文オタクの東大医学博士&現役医師が、世界中から有益な情報を見つけて解き明かす。』(Gakken)

ナトリウムイオンは細胞外液に多く含まれている一方で、カリウムイオン(K+)は細胞内液に多く含まれていて、これらが行き来することによって発生する電位(電気的なエネルギー)や、細胞の中と外の濃さのバランスなどによって様々な信号が伝達されることで、細胞組成が成り立っていたりします。

ナトリウムイオンは、神経伝達物質としても大事な働きをします。熱いものを触った時などにも急いでその刺激を脳に伝えたり、脳から手や足を動かすように筋肉に命令を伝えたりするために、神経を伝ってゆく電気信号のやりとりに、このナトリウムイオンが必要なのです。

血液中にもナトリウムイオンは溶けています。塩素イオン(Cl-)と結合した塩化ナトリウム(NaCl。まさに塩分の主成分)が大体0.9%の濃度で溶けているものを生理食塩水と呼びますが、血液の代わりに使用することができます。

■日本の塩分摂取基準は甘い

こんなに様々な大切な仕事をするナトリウムイオン(あるいは塩化ナトリウムないし塩分)ですが、実際に食事から摂取することについて考察してみることにします。

先ほども申し上げた通り、我々がずっと主に口にしてきた和食は塩分が高め。世界基準の塩分摂取量の推奨目安と、日本人の実際の塩分摂取量を見ながら考えてみましょう。

日本の塩分摂取基準は甘い(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/Aygul Bulte
日本の塩分摂取基準は甘い(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Aygul Bulte

まず、WHO推奨塩分摂取1日基準量は5g未満です(※1)

一方で、厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」(※2)の1日塩分摂取量(食塩摂取量)基準は、男性7.5g未満、女性6.5g未満となっています(高血圧や腎臓病などの基礎疾患のある方は、別途基準が設けられています)。

※1 https://www.who.int/data/gho/indicator-metadata-registry/imr-details/3082(Cited 2023 Aug 20)
※2 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000760248.pdf(Cited 2023 Aug 20)

■摂取基準に隠された「厚生労働省の本音」

ですから、厚生労働省による日本人の食事摂取基準をよく読むと、次のような意図が隠れているような気がします。

「本当はWHOの掲げる1日5g未満にすることが望ましいけれど、日本の実際の食生活からするとこの目標はハードルが高すぎるため、いきなりこの目標を掲げて減塩を呼びかけても、国民はついてこられない。そこで現実的な実施可能性を考えて、今は男性が男性7.5g未満、女性6.5g未満にしている」

■塩分は自覚のないまま塩分を摂取している

では、ここでクイズを出します。自分自身では塩分を摂っている自覚がなくても、加工されている食品の中にすでにかなりの量が入ってしまっているという自覚を持っていただくために、こんな問題を用意しました。

Q 「『アップルパイ1切れ』と『スモークサーモン3切れ』。食塩含有量が多いのは、さてどちらでしょうか?」

実は「スモークサーモン3切れ」より塩分が多い(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/margouillatphotos
実は「スモークサーモン3切れ」より塩分が多い(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/margouillatphotos

こう聞かれたらきっと、「スモークサーモンのほうがしょっぱいし多いように見えるけど、実はアップルパイなんでしょ?」と言う方が大多数かもしれません。

そうなんです、実はこの場合、アップルパイ1切れに含まれる食塩量が1.3gであるのに対して、スモークサーモン3切れの食塩量は0.8gなのです。

結構差があって驚きませんか? これが一見しょっぱそうかどうかなどのイメージに惑わされてしまう食塩摂取量のカラクリなのです。

■アップルパイ1切れで「1日の4分の1」の塩分を摂取してしまう

アップルパイ1切れで既に、WHO基準の今日1日の塩分摂取推奨量の4分の1を使ってしまったことになります。

同様に食パン1枚でもおよそ0.8gの食塩が入っており、朝食にトーストを1枚食べて、その後10時のおやつにアップルパイを1切れ食べたら、もうそれで1日の塩分摂取推奨目安の半分近くを使ってしまったことになるのです。

どうですか、思っているよりもシビアじゃないですか?

■成分表示の「食塩相当量」をチェックすべき

ですから、加工食品を口にする場合は成分表示に書いてある「食塩相当量」という項目を気にしていただければと思います。

冷凍チャーハンやインスタントラーメンの食塩量の多さに、きっと驚くと思います。

これらは手軽で美味しくてとても便利な食材ですから、しっかり考えた上で口にする頻度を変えて行くのがいいでしょう。

塩分を必要以上に避けるのも問題。
体内で必須の物質だから日本は世界よりも塩分摂取基準が緩い。
しょっぱくなくても塩分が意外に多い加工食品が存在する。食塩相当量をしっかり確認すべし。

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柳澤 綾子(やなぎさわ・あやこ)
医師、医学博士
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。公衆衛生学を専攻し、社会疫学、医療経済学およびデータサイエンスを専門としている。東京大学医学系研究科公衆衛生学客員研究員。集中治療・麻酔科専門医指導医。また株式会社Global Evidence Japan代表取締役として、母親目線からの健康と教育への啓発活動などを精力的に行なう予定。『VERY』をはじめ多数の雑誌で連載記事執筆、ラジオ出演などメディア出演も多数。著書に『身体を壊す健康法』(Gakken)、『自分で決められる子になる育て方ベスト』(サンマーク出版)。

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(医師、医学博士 柳澤 綾子)

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