「不倫相手の女子大生と妻は"仲良し"」実質女性5人と好き放題に結婚し脳梗塞2度の66歳が月200万円稼げたワケ
プレジデントオンライン / 2024年8月24日 10時15分
「やりたい放題、好き勝手に生きてきました。だから全く後悔はないです」
神奈川県在住の写真家・よしおか和さん(66)は、これまでに2度脳梗塞を発症して体に麻痺が残っている。発する言葉には、いつこの世を去ることになっても、それを受け入れる、といった境地をうかがわせるものがある。なぜ、それほど達観しているのか。背景には、複雑な女性遍歴と稀有な人生経験があった。
■アメリカのルート66に魅せられた男
生まれは東京都・調布市。返還される前の米軍調布基地の近くで育ち、アメリカ文化に馴染みがあった。特に幼少期にテレビで放映されたドラマ『ルート66』の世界観に激しく心惹かれた。
「まだ小学生だったからちゃんと理解できてなかったけれど、成長してもずっと心に残っていたんです。憧れのアメリカには、こんな素晴らしい物語があるんだと」
ルート66は、アメリカの東部シカゴと西部のサンタモニカを結ぶ、全長3755kmの旧国道(1985年廃線)。アメリカ西部の発展を促した重要な存在で、映画、小説、アメリカのポップカルチャーにたびたび登場している。
「シボレー・コルベットが駆け抜けていくシーンがとにかく格好良かったんです。そこから1960年代や70年代のアメリカ車に傾倒していきました」
■好きなことだけをやっていても相当稼げた時代
アマチュア写真家だった父の影響もあり、写真専門大学を卒業し、写真家となった。30代のときには雑誌のアメ車特集の撮影で、コーディネーターも含め全部やることになり、ルート66へ。経費は持ち出しでもいいからとかなり負担した。
「そのときに偶然、ルート66の跡地を見たんです。“ヒストリックルート66”という、歴史的なネーミングで呼ばれていた場所です。子供の頃に見たテレビ番組を思い出して、ものすごいノスタルジックな思いに駆られました。気がついたらシャッターを切っていました」
1990年代からはアメリカ車専門の写真家・ライターとして名前を売り、当時の稼ぎは月100万円超。断るほどオファーがあった。アメ車のレストア(古い車をオリジナルの状態に戻すこと)や売買ビジネスも展開して相当な利益になった。主な顧客である芸能人はアメ車に目がなく金に糸目をつけない人が多かったのだ。クルマ好きに乗じて、あまり実入りはよくないカースタントマンや劇用車の時代考証も喜んで手がけた。
「アメリカ車に関する自分の知識やノウハウは誰にも負けないという自信がありました」
経済的にも恵まれ、プライベートでも高校時代から付き合っていた女性と25歳で結婚した。幸福で平穏な時間を過ごしたが、やがて火宅の時間が訪れる。
■不倫相手の女子大生と妻はダブルスを組んだ
当時、趣味を生かしてテニススクールのコーチの副業をしていたが、“教え子”である年齢のかなり離れた女子大生と不倫関係になったのだ。
「不倫をしている感覚ではありません。彼女とは真剣に付き合っていたんですから」
ずいぶん勝手な言い草に聞こえるが、実際、本人が妻に不倫のいきさつを正直に打ち明けると、妻は激昂するどころか、「その思いを受け止めてくれた」そうだ。
奇妙な話だが、不倫相手の女子大生と妻はテニスでダブルスを組み、試合に出場し勝ち上がっていったらしい。同じ男を愛する女性同士の奇妙な連帯感が生まれたということなのか。
ところが49歳のとき、銀婚式を前に離婚。原因は不倫だけではなかった。
「彼女はいつも私をサポートするのが自分の役目だと言っていました。それを重く感じてしまって……。私はともに刺激を与え合えるような自立した女性と一緒にいたかった。それが離婚の原因にもなりました」
どこまでもマイウェイのよしおかさんの人生はこの後さらに複雑なものになる。
■3度の結婚と離婚、事実婚2回と女性遍歴を繰り返す
結婚と離婚を繰り返したのだ。恋人との同棲や解消などを含めれば、その女性遍歴をあげれば枚挙にいとまがない。
2度目の妻はフィリピン人シンガーだった。一緒にフィリピンで事業を始め、その後、日本にも呼び寄せたが、半年も経たないうちに破局。フィリピンで購入した家も与えた。
3度目の妻も関係は長く続かず、「彼女は男と出て行った」そうだ。
正式な結婚はここまでで、その後は事実婚のパートナーがいる。
最初のパートナーの元ダンサー兼シェフのフィリピン人女性とは、幸せな生活を送った。
「彼女と一緒に神奈川の厚木でレストラン&ライブバーを経営して、彼女の娘、つまり連れ子とは本当の親子のように仲良く暮らしました。連れ子とは今でも仲がいいんです。その時住んでいた神奈川県の家はガレージハウスに、大好きなアメリカ車を並べて、毎日が楽しかったです」
このレストラン&バーの主な客は、フィリピンから移ってきたアメリカ兵で、とても繁盛した。小さい店ながらも、月の売り上げは200万円超。また、ガレージハウスには、ルート66でおなじみのシボレー・コルベットやダッジコロネットR/Tやカマロのロードレーサーなども置き、アメ車ファンには天国のような場所だった。
「車を総額いくらで購入したのか」と問うと、首をひねるばかり。湯水のように使いすぎて、総額いくらかさえ定かではないという。
■スティーブ・マックイーンに見る男の美学を貫き通す
しかし、こうした金銭感覚は案の定、破綻を招いた。当時、あるアメリカ兵が起こした不祥事により、兵士が夜飲みに来るのは規制がかかり、店の売り上げは5分の1に激減した。経営が立ち行かなくなり、穴埋めのために暗号資産の取引にも手を出したが、大失敗。その後、自己破産した。
ガレージハウスを手放した際は所有していた数々のアメリカ車も人に譲った。
「車の価値をちゃんと分かっている人だけに乗ってほしかったから、売値も細かく言いませんでした。いくらで売ったのかももう忘れました。もしあのまま(ヴィンテージ級の)アメリカ車を持ち続けていたら、億単位の価値にまでなったかもしれませんね」
数千万円かけて購入したものを言い値で売った。
「私の理想の生き方は、俳優のスティーブ・マックイーンが体現するような男。自由で、不屈で、アウトローで、豪快で。例えば、欲しいものはちまちまケチって買うんじゃなくて、ドーンとまとめ買いするもんだとかね(苦笑)。フィリピン人は家族に仕送りをするためにも金銭面でシビアですが、私はあればあるだけ金を使ってしまう。それに嫌気がさして離れてしまったのかもしれません。どうしても自分の信条に反することはしたくなかったんです」
■2回目の脳梗塞発症で体が不自由になるも、女性が献身的に介護
フィリピン人パートナーと別れたあと、別のパートナーと暮らしたが、その頃に2度目の脳梗塞を発症。前回の脳梗塞発症時は東洋医学などで予後を過ごし、ほとんど後遺症が残らなかった。2回目も同じように乗り切ろうとしたが、うまくいかず後遺症に悩まされた。
「病気を甘く見ていたのは、私の傲慢としかいいようがありません。最後のパートナーも献身的を介護してくれましたが、体が不自由だからイライラして当たり散らしてまって。金銭的にも肉体的にもますます苦しくなり、彼女とも別れました。本当にいろんな女性に迷惑をかけてしまったと心から反省しています」
そう肩を落とすが、自業自得の面も否めないだろう。体が不自由ながらも、撮影や原稿を書く仕事を細々ながらも続けていたので、生活はなんとかできた。だが、出版不況で雑誌の仕事もどんどん減り、収入は尻すぼみに……。
よしおかさんは、明らかな“ダメンズ”だ。異性との交遊が激しく、金遣いが荒く、ときに暴君になる。夫やパートナーとしては完全な“無理ゲー”な相手のはずだが、女性たちは彼の無軌道ぶりになぜか心をくすぐられ、次々に巻き込まれてしまう。“自分がいないとこの人はダメになる”。そんな母性本能に似た気持ちを掻き立てられるのだろうか。
皮肉を込めて、沢田研二が歌った『憎みきれないろくでなし』を地でいくキャラクターですねと言うと、「そのほうが男として魅力的でしょ?」と悪びれるそぶりはまったくなく、自画自賛した。
フィリピン人の恋人が多かったから英語は堪能かと思いきや、好きだった洋楽を自分で訳すことから始まったので全くの独学。本人曰く「伝わればいい」程度。自己肯定感の高さと、英語での押しの強いコミュニケーション。そんな日本人離れしたところも外国人ウケの要因かもしれない。
再び大病をした後、今年から、「最初の妻」と身を寄せ合うように同棲を始めたよしおかさん。今年、念願の写真集『ROUTE66 置き去りにされた風景』を出した。当初、大手出版社から刊行する話もあったが、結局は自費出版に。
「出版社はどうしても利益を追求してしまいますからね。それはしょうがないと思うのですが、印刷、装丁、デザインに関して妥協したくなかったので、時間もかかりました。66歳で、ルート66の写真集を出せたことが嬉しいですね」
写真集は、車のイベントで手売りしたり、SNSに問い合わせがあった人に売ったり。利益は多くないが、自分の世界観に共感してくれる人の手に渡っているので、それでよしとしているそうだ。今後、車のイベントや講演などのお呼びがかかれば受けるつもりだが、仕事が入るかどうかは未知数だ。
よしおかさんは6人きょうだいの2番目だが、彼以外は皆他界してしまった。寄りを戻した「最初の妻」が唯一の近親者だ。
「ほぼリタイヤ状態ですけど、きょうだいの分までしぶとく生きていきたいですよ。2年後の2026年にルート66が誕生100周年を迎えるんです」
と、明るい表情のよしおかさんにがどんな人生が待ち受けるのか。
「頑固じじい、5歳児、犬。あなたにはこの三面性がある」
これは最初の妻による、よしおかさん評だ。今のところは別れずに暮らしているが、2人の関係が今後も続くのか、破綻するのか。それは誰にもわからない。
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ファッション系出版社、教育系出版事業会社の編集者を経て、フリーに。以降、国内外の旅、地方活性と起業などを中心に雑誌やウェブで執筆。生涯をかけて追いたいテーマは「あらゆる宗教の建築物」「エリザベス女王」。編集・ライターの傍ら、気まぐれ営業のスナックも開催し、人々の声に耳を傾けている。
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(フリーランスライター・エディター 東野 りか)
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