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「勉強しなさい」と言うより効果的…東大生が断言「夏休み後に成績が伸びる人・落ちる人」を分ける決定的な要因

プレジデントオンライン / 2024年8月29日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/smolaw11

夏休み明けに成績が伸びる人、落ちる人の違いはどこにあるのか。東大生作家の西岡壱誠さんは「夏休みの期間中に『勉強するハードル』が高くなってしまった人は、成績が落ちやすい。東大生に話を聞くと、小学生のころから勉強を習慣にしている人が多い。成績を伸ばすには習慣化が鍵を握っている」という――。

■小学生のころに身につけた学習習慣が武器になる

毎日ダラダラのんびりと過ごすお子さんの姿にイライラが止まらない保護者の方も多いのではないでしょうか。塾に行かないと勉強しない、家に立派な学習机があるのに、なぜかいつもテレビがあるリビングにいる……などのお悩みを抱えている方もいらっしゃるようです。

夏休みは家庭での学習習慣をつけるいい機会。勉強する習慣をつけたお子さんは夏休み後の学習にもさほど抵抗なく進めていけます。一方で、毎日マイペースに過ごしたお子さんは、勉強すること自体のハードルが上がってしまうこともあります。

東大生にアンケートを取った結果、約48%が「小学生のときに勉強習慣が身についた」と回答していました。小学生の頃は、まだ学校の宿題が少なく、勉強に費やす時間があるといえます。中学生になると、部活や友達付き合いで忙しくなります。

そうなる前に、子どもが勉強を自分からやるような習慣をつくっておかないと、リズムが崩れ、勉強に取り組むハードルが上がってしまう傾向があります。だからこそ、中学校に上がる前のタイミングで、子どもが自分から勉強する習慣をつけて、「勉強しないと気持ち悪い」状態まで持っていく必要があるわけです。

東大生の話を聞いてみると、「小学校入学前から、親が一緒に勉強をして褒める」ことで、勉強へのハードルを下げていたような家庭も多数ありました。

「勉強をしなさい」と言われたことはなくても「勉強しなくていいの?」と聞かれたことはある、というのも東大生の間でよく聞かれる話です。親が強制するのではなく、あくまで子どもが自主的に「勉強しないとな」と思えるように促しているのです。

■夏休み後に成績が伸びる人の共通点

多くの東大生は勉強すること自体に抵抗感がありません。それは親や周囲から押し付けられずに、勉強が「習慣化」できているということも大きな要因のように思えます。

勉強時間を固定することは、多くの東大生の家庭で実施されていたようです。

以前、私の会社で300人超の東大生にアンケートを取った結果、81%の東大生たちが、「小学生の頃、放課後から夕食の間に勉強した」と回答しました。小学生の間は、夕食の後は自由に遊んで、勉強もそれでおしまいにしておくのです。

ただし、やるべきことを終わらせなくてもいいということではなく、宿題や日々の勉強は「放課後から夕食までの時間」に終わらせるというように、制限時間内に終わらせるように勉強する、ということをしていたわけです。

「夕食」というタイムリミットは、小学生にとって、わかりやすいものですね。このように毎日同じ時間に勉強をする習慣がついていれば、身体がそれを覚えて、勉強を自然と続けられるようになるわけです。

「起きたら顔を洗う」習慣同様、「学校や学童、習い事から帰宅したら夕食まではテキストを開く」「○時になったら机に向かってテキストを開く」といった具合に習慣化してしまえば、モチベーションに頼らなくても勉強ができるようになります。

■「勉強のハードル」を上げてしまった人は要注意

では、夏休み後に成績が行き詰まる人はどんな人でしょうか。

先述した夏休みに勉強を習慣化できず、「勉強のハードル」を自分で上げてしまった人が一つ目のパターンです。勉強する、机に向かうことがおっくうになると、どうしても「イヤイヤ」取り組むことになり、集中力に欠け、結果的に長時間机に向かっていても身につかない、ということもよくあります。

ハードル
写真=iStock.com/Paul Bradbury
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Paul Bradbury

もう一つは、勉強の方法に特徴があります。本稿では、大学の受験勉強を例に挙げたいと思います。

みなさんはどっちの受験生のほうが、夏休み以降に成績が上がりやすいと思いますか?

A……第1志望一直線で勉強していて、第1志望のための勉強をする受験生
B……第1志望の大学の対策だけだと怖いので、第2志望やそれ以外の志望大学の過去問を解く勉強をする受験生

現役東大生を中心に教育支援事業を行う私たちは、毎年1000人程度の受験生に対して勉強を教え、駿台予備校では80人ほどの浪人生をサポートしています。そんな中で、ベテランの先生たちとも相談しながら、夏以降の学習指導のあり方を考える中で、毎回問題になるのが、先ほどのクイズの2択です。要するに、「第1志望に専念させるか、第2志望の対策もしてもらうのか」という問いですね。

結論から言うと、この質問の答えはBです。第2志望の勉強もしっかりと実行している人の方が、結果的に第1志望の大学にも合格しやすいのです。

誤解しないでいただきたいのですが、別に「第1志望の合格を諦めて、第2志望に全力投球をした方が、第2志望に合格しやすい」という話ではありません。むしろその逆です。第2志望の対策をしっかりする受験生のほうが、第1志望に合格しやすいのです。

■「第1志望」だけを考えてはいけない

これに関して、不思議に感じる人も多いと思います。第1志望の対策に全力を注いでいる人のほうが、第1志望の大学に合格しやすそうですよね。しかし、その思考が実は、大きな落とし穴なのです。

まず、第1志望一直線で勉強している人は、実はかなりメンタルの面で不調になってしまう場合があります。過去問対策をしている中で「うわ、この問題解けない」「どうしてもこの科目の成績が上がらない」となった時に、メンタルが苦しくなってしまい、最悪勉強が手につかなくなってしまうのです。いわゆるスランプというやつですね。

特に受験が近付いてくればくるほど、メンタル面が不調になってしまうケースは多くなっていきます。しかも、第1志望のレベルが高いと、当然ながら問題のレベルもとても高いです。

受験している人がみんな解けないレベルの難問が出題されることだってあります。そういう問題と向き合っていると、実際にはそんなことはなかったとしても、「やっぱりこの問題が解けないとこの大学には行けないんじゃないか」という気分になってしまいます。

そしてそんな風にメンタルが不調になってしまったとき、第1志望の合格しか考えていないと、メンタルがぽっきり折れてしまいがちです。不合格になったことを想像して、ペンが握れないほど追い込まれてしまう人もいるのです。

■メンタル軽視という落とし穴

でも、そんな時にメンタルが回復するのは、「もしこっちがダメだったら、こっちにしよう」という安全策があるときです。失敗が許されない環境にいるとメンタルも不調になってしまいがちですが、「失敗しても大丈夫だ」と考えることができれば、思い切って挑戦することができるのです。

第1志望の大学の対策だけでは怖くなってしまうのは当たり前の話です。だからこそ、第2志望の過去問もしっかりと解いておき、「これだったら大丈夫そうだ」と思える状態まで持っていくことが重要なのです。

最近はやはり、メンタル面が課題になる受験生が増えてきました。本番に強いタイプだと思っていたのに、直前期になったら今までの姿が嘘のようにメンタルが崩れてしまうような人も増えています。メンタル面の問題はやはり軽視できないのです。第2志望には合格できそう、という安心感は、得ておいて損はないと思います。

■「全落ちで浪人」はやめたほうがいい

「第1志望の大学の問題と第2志望の大学の問題、全然違うんだよな。だから第2志望の対策をすると、他の受験生と差がついてしまいそう」と思う受験生もいるかもしれません。ですが、昨今大学入試の問題はどんどん変化しており、昨年まで出題されていなかった問題形式が課されることもあります。

英作文を出題しない大学が、いきなり英作文を出題してきた、というケースもあり得るのです。第2志望の大学の過去問を解いておくことが、第1志望の大学の問題形式の傾向変化対策になっていることもあるのです。

それに、普段と違う問題形式を解く中で、視野が広がることもあります。第2志望の大学の対策が、第1志望の大学の対策に全くつながらないなんてことはありえないのです。

「自分は第1志望の大学に合格できなかったら浪人するからいいんだ! 第2志望の大学には合格してもいかないもんね!」という受験生もいるかもしれませんが、それでも第2志望の大学の対策をしておくことはとても重要です。

もし浪人することになったとしても、「どこも受からなかった」という状態で浪人するのか、「第2志望の大学には合格していた」という状態で浪人するのかによって、浪人成功率は大きく変動するからです。

浪人してうまくいく人は、どこかの大学には合格した状態で「去年はここまで行けたのだから、今年はきっと第1志望の大学にはいけるはずだし、もしまかり間違っても第2志望の大学は大丈夫」という安心感がある状態で浪人している人が多いです。

■大切なのは「第1志望から逃げない」こと

ここで、一つ注意しなければならないことがあります。それは、「第1志望から逃げないこと」です。

第2志望の対策は、先ほども言った通り、あくまでも「第1志望の合格のため」です。この段階で「第1志望には合格できそうにないから」と言って第2志望の対策だけをし始める受験生は、結局うまくいきません。第2志望の大学にすら受かることができない場合が多いです。

なぜなら、それは明確に「逃げ」だからです。「第1志望を諦めた」ということで、心に油断が生まれ、「第2志望に変えたんだから大丈夫だろう」と思ってしまう人が多いです。正直、今まで見て来たケースだと、仮に第2志望がA判定であっても、9月以降に志望校を変える受験生は、不合格になる場合が多いです。

あくまでも「第1志望からは逃げないこと」。これは非常に重要なことなので、胸に刻んでおいていただきたいと思います。

女子高生のシルエット
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

■「習慣化の差」が「学力の差」をつくる

小さいうちから勉強を習慣化することができていると、定期テストや受験勉強などへの取り組み方も変わってきます。

また、一つの目標にしぼって勉強するのではなく、幅広い視野を持って勉強することで、安定した状態で試験に臨むことができます。

勉強を特別なことと思わず、歯磨きをするように自然とできるような習慣づけを、今からでもぜひご家庭で取り組んでみてください。

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西岡 壱誠(にしおか・いっせい)
現役東大生 カルペ・ディエム代表
1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すものの、2年連続で不合格に。二浪中に開発した独自の勉強術を駆使して東大合格を果たす。2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教え、教師に指導法のコンサルティングを行っている。日曜劇場「ドラゴン桜」の監修や漫画「ドラゴン桜2」の編集も担当。著書はシリーズ45万部となる『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大算数』(いずれも東洋経済新報社)ほか多数。

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(現役東大生 カルペ・ディエム代表 西岡 壱誠)

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