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うつの薬を飲むのと同じくらい効果がある…ストレスを取り除き、頭の回転を速くする最善のルーティン

プレジデントオンライン / 2024年9月7日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/miya227

常にパフォーマンスの高い人は何をしているか。ハイパフォーマンスコーチのブレンドン・バーチャードさんは「人生の成功者に仲間入りしたいなら、明らかに、真剣に運動に取り組むべきだ。運動は、身体・精神・感情すべての面のエネルギーを向上させる。うつにも薬と同じくらい効果があり、セロトニンの分泌も促しよく眠れるようになるほか、鎮痛作用や不安を軽減する作用も持つ」という――。

※本稿は、ブレンドン・バーチャード『世界3万人のハイパフォーマー分析でわかった 成功し続ける人の6つの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

■多くの人が陥る「健康管理を怠る」という落とし穴

本稿を書き始める前、私はコンピューターの前から立ち上がってキッチンへ行き、水を一杯飲んで、地下室へ降り、フィットネスバイクで3分間スプリントをし、ストレッチとして、ヴィンヤサ・フロー・ヨガを2分。

そして仕事部屋に戻って座り、目を閉じて、「緊張解除と意図設定」をやった。セミナーの控え室でも、仕事に臨む前に、身体を活性化し、心を整えるという、同様のルーティンを実践している。

こうした自己規律もやはり、常に運動や呼吸法でエネルギー向上を図っているハイパフォーマーたちから学んだものだ。彼らは、一般的な人より健康的なものを食べ、多く運動していたので、私も真似し始めたのだ。

だがずっとそうだったわけではない。20代後半のときは、かなり不健康な生活だった。コンサルタントとして、毎日12~16時間働いていた。仕事の大半は、コンピューターの前に座ってプレゼンやカリキュラムを作成する作業。

座りっぱなしだったので、古い傷が腰痛を引き起こした。その腰痛のせいで、運動もままならなくなった。するとまもなく、多くの人が陥る、健康管理を怠るという落とし穴にはまった。きちんとした睡眠をとらず、不健康な食事をし、運動もめったにしなかった。

それが、職場でのパフォーマンスにも生活全般にも影響していることはわかっていた。だが、悪循環を断ち切るのは難しかった。それは、健康になるなんて至難の業だというでたらめを自分に言い聞かせていたからだ。

■馬鹿げた屁理屈をこねて自分を正当化する人たち

不健康な状態にある人というのは、健康維持の方法を知らなくてそうなっているのではない。身体的エネルギーを高める方法など、今どき、誰だって知っている。運動――もっと頻繁にワークアウトする。栄養――もっと健康的なものを食べる。睡眠――7~8時間は寝るようにする。常識だ。

異論の余地などないはずだが、馬鹿げた屁理屈をこねて、これらのことができていない自分を正当化する人が少なくない。自分のエネルギーの低さを、自身の体質や、業界/社風/義理のせいにする人があまりにも多い。

何を隠そう私もそうだった。以下のような、ずさんなこじつけを言っていた。

「ウチの業界ではこのくらいハードに働くのが普通だから、私もどこかで何かを犠牲にしなくては」

それで何を犠牲にするかというと、健康への気配りだ。もちろん私の言う「ウチの業界」とは、周囲にいる5人の超仕事人間のことだ。彼らも、同じように健康や家族を顧みていなかったので、それが業界全体の基準だと勘違いしていたのだ。

幸運にも、私が当時在籍していたのはグローバル企業だったため、自分と同じ職位でも、それどころか、私と同じかそれ以上の職位でも、私よりも健康に気を配り、人生を楽しみ、より大きな成果をあげている人がたくさんいることに気づいた。

私と同じ仕事をしながらも、健康をしっかり管理する方法があることは明らかだった。

■睡眠を2時間よけいにとればどのくらい業績をあげられるか

「だって、今まで5時間睡眠で業績をあげてきたのだから、私の場合、睡眠は(エネルギー低下と)関係ない」

では、もし睡眠を2時間よけいにとればあとどのくらい業績をあげられるか、という当たり前の思考展開ができず、私はこんなことを言っていたのだ。

ベッドの上で頭を抱える男性
写真=iStock.com/PonyWang
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PonyWang

実際に、睡眠不足は、私が成功した要因ではない。寝なかったおかげで優位に立てたわけではない。でも若くて愚かだった私は、短時間の睡眠でいかに疲れを取るかという、睡眠ハックのリサーチを始めた。

調べるうちに、50年にわたって行われた睡眠研究の結果に行きついた。適切な睡眠時間(大部分の成人の場合、約7~8時間)は、より高い認知スコア、低いストレス、高い生活満足度、良好な健康状態、高い生産性、高い収益性、少ない対立につながるというものだ。

その文献には、睡眠不足が、精神疾患、肥満、冠状動脈性心疾患、脳卒中など、多くの問題と関連づけられていると明記されていた。

■疲労の悪循環から永遠に抜け出せない人の共通点

「3カ月経ったらまた健康や幸せに気を配るようにする。今はどうしても忙しいんだ」

これを言う人は、往々にして、疲労の悪循環から永遠に抜け出せない。3カ月というが、現実には、今までもこれからも、その人が休んで生き返った実感を得られるのは、何年も先になるだろう。

私も一時期、その状態に陥っていたが、日々――集中的な短期間も含めて――やっていることが積み重なり、抜け出せない悪習慣となるのだ。

「私はそういう体質だから」

私は、先天性の脊椎の異常を持っていたり、交通事故に遭ったりしたために体調が悪いという、生物学的/遺伝的要因説を唱えていた。だがそれは、説得力に乏しい。

たしかに、家族歴や特定の遺伝的要因が引き起こす病気はある。とりわけ、がんや、心疾患、糖尿病、自己免疫疾患、精神疾患などは、家族歴の影響が大きい。

ただ、健康状態は自分で変えられるという現実に気づくのに、インスタグラムのビフォー・アフター写真をたくさん見る必要はない。人間は、全般的、長期的健康をコントロールする、すごい力を持っているのだ。

日々の習慣や環境で、遺伝因子の発現が活性化されたり抑制されたりもする。また、運動不足があらゆる健康問題を引き起こす主要因の一つであることが、あらゆる研究分野で繰り返し証明されている。

■最高の状態でいるために自分に問うべき質問

「○○している暇なんてない」

この言い訳を使いたくなる○○というのは、たいてい運動だとか、健康的な食事や食品・食材の買い物、瞑想などだ。だが私は、このどれもが、たいした時間を要さないことを知った。逆に、これらによって元気になり、生産性が上がることで、時間の元が取れることが多い。

運動や健康な食事に時間を費やすことによって、頭の回転がよくなり、注意が行き届くようになって、ひいては大事なことをもっとアウトプットできるようになるのだから、時間の損にはならない。

ダイエット食品の並んだ机
写真=iStock.com/margouillatphotos
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/margouillatphotos

今こんなことを申し上げたのは、こうした間違った考えに陥るのは、自分だけではないとわかっているからだ。不健康な選択を続ける言い訳として、他にどんなことを自分に言い聞かせているだろう? 嫌な質問だとは思うが、考えてみる価値はある。

そこで、今ここで、あなたの身体の健康状態を測定してみよう。あなたの身体の健康状態を10段階で評価してほしい。1を死にそうな状態、10を基本的にいつも身体がエネルギーと力に満ちている状態とする。さて、あなたのレベルはいくつだろう?

7以上でない人は、このセクションが本書の中で最も重要になるだろう。身体の健康にもっと気を配るだけで、精神的・感情的エネルギーが、即刻上がるはずだ。

心の状態や身体的エネルギーは、世界の見えかたを変える。気分が最悪のときは、物事が最悪に見え、最高のときは最高に見える。あなたには、最高の状態でいてほしい。

■もっともっと本気で運動に取り組む

自分に正直になれば、あなたには運動が必要だという研究結果が決定的であると認めざるを得ないはずだ。あなたはもっともっと運動する必要がある。認知機能を重視するならなおさらだ。

運動は、BDNF(脳由来神経栄養因子)の産生を増やす。BDNFが海馬などの領域でニューロン(神経細胞)の新生を促すので、脳の可塑性が高まり、学習が速くなり、記憶力が上がり、脳の全体的な機能が向上する。

運動は学習能力を向上させる、というとても大きなポイントを、あまりにも多くの人が見逃している。運動はまた、ストレスを軽減する。ストレスは、BDNFと全体的な認知機能を低下させるので、運動は、そのストレスの多くを取り除いてくれる最善の方法なのだ。

運動はエネルギーを高めてくれるので、一般的なタスクをこなすスピードや効率も高まる。さらに、ワーキングメモリーも、気分も、注意力も向上し、頭の回転が速くなる。これらはすべて、パフォーマンス向上につながる。

したがって、仕事や生活で学習の速さが求められるなら、ストレスに対処し、頭が活発に働き、注意を払い、大事なことを記憶し、前向きな気分を保てなければならない。それには、もっと本気で運動に取り組む必要があるのだ。

■身体・精神・感情すべての面のエネルギーを向上させる

世界に対する自分の貢献度を気にかけるなら、自分自身のケアが大切だ。だからといって、ルームランナーで死ぬほどがんばる必要はない。実は、前に挙げたほぼすべての効果が、軽度の運動で得られる。週に数回でいい。適切な運動メニューを再開すればいい。

たった6週間の運動でも、脳内のドーパミンの産生と受容が促進し、気分と認知機能が向上することが証明されている。運動はまた、ノルアドレナリンの分泌も促し、それによって、頭を使うタスクでのミスを減らすことができる。

ランニングする女性
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

運動は、身体・精神・感情すべての面のエネルギーを向上させるということを覚えておこう。

2万人以上のハイパフォーマーを対象とした私たちの調査では、驚くべきことに、HPIスコアが上位5パーセントのハイパフォーマーは、週に3回以上運動をしている割合が、残りの95パーセントに比べて、40パーセント高かった。

人生の成功者に仲間入りしたいなら、明らかに、真剣に運動に取り組むべきときが来ている。

子どもがいる人は、その倍の本気度で臨むべきだ。子どもたちに健康的な習慣を受け継ぐことが不可欠だからである。運動能力が正常な子どもは、そうでない子に比べ、注意力が高い。運動は、IQと長期的な学業成績に明確な違いをもたらす。

■運動を、きわめて重要な生活の一部に位置づける必要性

そしてあなた自身はもう子どもではなく、高い年齢層に属するので、運動がすべてと言って過言ではない

運動は、うつにも、薬と同じくらい効果があることが研究で示されている(ただし、薬の代用になると考えるべきではない)。運動量が多い人ほどうつになりにくいのは、脳内のドーパミン分泌量が増えるためと考えられている。

運動はまた、セロトニンの分泌も促し、よく眠れるようになる。それによって、さらにセロトニンが分泌される(ご存じないかもしれないが、ほとんどの抗うつ薬は、脳内のセロトニン濃度を上昇させるために、放出されたセロトニンの再取り込みを阻害することを標的としている。

非常に多くの研究者が、抗うつ薬を服用している患者にも、していない患者にも、運動を推奨しているのはそのためなのだ)。

ブレンドン・バーチャード『世界3万人のハイパフォーマー分析でわかった 成功し続ける人の6つの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
ブレンドン・バーチャード『世界3万人のハイパフォーマー分析でわかった 成功し続ける人の6つの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

運動はまた、鎮痛作用(テトラヒドロカンナビノール(THC)の作用にほぼ匹敵する)や、不安を軽減する作用も持つ。この2つは、高齢者にとって大きな問題である。

昨今、人びとのストレスが高まっていることは誰もが認めるだろう。肌で感じているはずだ。その脅威に対処する一番の方法は、自身で(日々、意図的により多くの喜びをつくり出すことで)ポジティブな気持ちを感じ、運動で緊張を緩めることだ。

約束する。運動を、きわめて重要な生活の一部に位置づければ、他のいろいろなことがおのずと魔法のようにうまく行くようになる。

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ブレンドン・バーチャード ハイパフォーマンスコーチ、講演家
組織コミュニケーションの修士号を取得後、アクセンチュアでチェンジマネジメント・コンサルタントとして勤務。2006年、書籍の執筆、セミナーの主催、個人へのコーチング、オンライン講座の制作などのキャリアをスタートし、現在に至る。19歳のときに交通事故に遭ったのをきっかけに、自ら「人生のゴールデンチケット」と呼ぶ、2度目のチャンスを手にする。それ以来、人々が自分に課された責任に気づき、世界と意見を共有できるようにするために生涯をかけて尽力。人びとが並外れた人生を創造し、楽しむサポートをすることを使命として活動している。

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(ハイパフォーマンスコーチ、講演家 ブレンドン・バーチャード)

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