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愛用のゴルフクラブが鉄くず同然の評価で買取不可の烙印…そのときFPが見つけた5000円で売れる意外な場所

プレジデントオンライン / 2024年10月9日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/y-studio

ブランド品ならともかく、不用品などリサイクルショップへ持っていっても売れるわけがないとあきらめている人も多いだろう。ファイナンシャルプランナーの藤原久敏さんは「昨今のリサイクル・リユースの概念の浸透で中古品需要が増している。ただ、高く売るにはちょっとしたコツが必要であるのも事実」という――。

■不要品買取は、ノーリスクの投資法?

先日、長年持て余していた細々としたキャンプ用品一式を、近所のリサイクルショップに売りに行きました。

買取価格はまったく期待していませんでしたが、

・ランプ……500円
・折りたたみイス……1000円
・クーラーボックス……1500円

などなど。

有難いことに、意外としっかりお値段が付き、合計1万円超と、ちょっとしたお小遣いとなりました。それらキャンプ用品は、もともとは捨てようかなと思っていたわけですから、言わば元手は0円。

そんな不要品が1円でも値段が付けば、それはノーリスクの投資と言えるのではないでしょうか。そこで、これはFP(ファイナンシャルプランナー)として、少し研究してみる価値はあるぞと思い、本稿を執筆しました。

■いまこそ、何でも、高く売れるチャンス?

そもそも、私が買取価格にはまったく期待していなかったのは、かなり以前(10年超前)にリサイクルショップで食器や雑貨等を売った際に、1つ10円程度で買い叩かれた苦い記憶があるからです。

しかし、以前とは時代が違います。

まず、いまではリサイクル・リユースの概念の浸透により、中古品に対する抵抗感は薄れ、中古品の需要は増しています。また、昨今の物価高からも、(割安な)中古品の需要が増していることもあり、リサイクルショップでは、それなりの値段で買い取ってくれるのです。

そして、この物価高は、買取価格にも反映され、買取価格上昇につながります。

さらに言えば、リサイクルショップ増加による買取競争も過熱しており、それらも買取価格上昇につながっているわけです。

実際、リサイクルショップを巡ってみると、「高価買取」「何でも買取ます」といった文字が目立ちます。また、悪趣味なデザインの置物など、これは一体誰が買うんだというようなものも売られており、「今は何でも売れるんだな」と確信するのでした。

■自信満々の商品が、衝撃の買取価格

そこで私は早速、家の中をひっくり返し、何か売れそうなものはないかと探しました。そして、服やカバン、食器やタオル、諸々の雑貨と、もう使うことはないだろうと思えるものは片っ端から、近所のリサイクルショップへ持ち込んだのでした。

そこで気付いたのが、「これは少なくとも1000円で売れるだろう」と思っていたものが100円だったり、「これはせいぜい100円だろう」と思っていたものが1000円だったりと、実際の買取価格は、自分の予想とかなり食い違うことでした。

これには、自分の鑑定眼のなさにうなだれつつも、予想外の値段が付くことがゲームのようで面白く、ますますリサイクルショップにのめり込むのでした。そして、リサイクルショップの利用にもかなり慣れた段階で、私は真打登場とばかりに、とっておきの商品を売りに行ったのでした。

リサイクルショップの入り口
写真=iStock.com/y-studio
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/y-studio

それは、8万円程で購入した、そこそこ高級な椅子。

ただ、ちょっと変わったデザインで、私のお尻には合わずにほとんど使わずじまい。そして今後も使わないであろう、残念な椅子でもありました。

とはいえ、元は8万円もしたのだから、1万円くらいで売れるのでは、と大いに期待をしながら、密かに売り時を伺っていたのでした。しかし、提示された買取価格は500円と、これには大きなショックを受けました。

■買取価格のポイントは、「(すぐに)売れるかどうか」

そこでようやく気付いたのは、買取価格には、その商品の定価(もしくは自身の購入価格)はあまり関係ない、ということでした。すなわち、買取価格のポイントは、ショップ側から見て「(すぐに)売れるかどうか」、すなわち、需要があるかどうか、ということでした。

ショップ側としては、いくら安い値段で買取っても、それが売れないことには売り上げは0円です。

しかも、その売れない商品のための保管・管理といった維持費がかかりますし、また、その売れない商品を陳列することで、他の商品を陳列できないという機会損失を考慮すれば、相当な損失でしょう。

売れないと判断すれば、そもそも買取ってもくれないのも、納得ですよね。逆に、すぐに売れると判断した商品であれば、買取った時点でほぼ利益が見込めるわけですから、高値買取にも納得なわけです。

私は当初、その理屈をあまり考えずに、持ち込んだ商品の定価(もしくは自身の購入価格)を基準に、買取価格を予想していたわけですから、予想買取価格と実際の買取価格が食い違うのは、当然と言えば当然のことだったわけです。

■本や腕時計では、より顕著

この「(すぐに)売れるかどうか」の理屈は、本の買取でも同じです、というか、より顕著でした。リサイクルショップに味を占めた私は、これまでは買う一方で、ほとんど売ることはなかった蔵書についても、近所の中古本買取店で売り始めました。

すると、同じ時期に発売された、同じ定価の本でも、その人気度によって、その買取価格には相当な差が出ることに気付いたのです。

たとえば、同じ定価1500円の本でも、書店に平積みされているようなベストセラーなら800円以上で買取ってもらえることもありますが、通常は50~100円がいいところです。

売れ行き好調なベストセラーであれば、高値買取をしても、店頭でほぼ確実に売れるわけですからね。

ちなみに、私は腕時計が好きで、1万円前後のカジュアルウォッチも多く保有しています。

これらもリサイクルショップに売ってみたのですが、同じ定価1万円程度のものでも、近所のホームセンターで買ったようなものは500円程度でしたが、人気のカシオGショックであれば、5000円近くで売れたものもありました。

ここでも、まったく定価は当てにならないと、実感した次第です。

■リサイクルショップでの買取と、株式投資の共通点

さて、買取価格のポイントは、ショップ側から見て「(すぐに)売れるかどうか」、すなわち、需要があるかどうか、と書きました。しかし、それを頭では分かってはいても、いざ売るとなると、どうしても自身の買値がチラつくものです。

そして、それはまさに、株式投資などで売り時を考えるときに、自身の買値をベースにして(買値からいくら値上がりしたか、値下がりしたかと)考えてしまうことと似ているわけです。

でも実際には、その銘柄の価格が適正か否かは、自身の買値などまったく関係ないですよね。適正価格については、そのときの客観的な状況(※)で判断しないといけないわけです。

※企業の業績や財務状況、さらには需給要素など

そういった理屈をしっかり理解しておけば、いざ売るときに「あれだけ高かったんだから、もっと高く売れると思ったのに……」と、無駄に落胆することはないでしょう。また、将来的に売ることも考えているのであれば、その購入時には、(自分の好みだけでなく)世間での需要を意識しておくのも一考です。

これはまさに、株式投資の格言「美人投票(自分の好みではなく、より多くの投資家が好みそうな銘柄を選ぶべきである)」と同じ理屈ですね。

すなわち、リサイクルショップでの買取では、株式投資などの投資にも共通するところがあると言えるでしょう。

■リサイクルショップで、少しでも高く売るためのコツ

それでは、そのような大原則(買取価格のポイントは「需要」)を踏まえたうえで、少しでも高く売るためのコツを3点紹介しましょう。

1.季節(シーズン)を意識する

たとえば、夏物の服は、春~初夏に売ることで、(それ以外の時期に売ることに比べて)高値での買取となることが多いですし、冬物の服は、秋頃に売れば、高値での買取となりやすいです。

いわゆるシーズンモノは一定の売れ行きが見込みやすく、ショップとしてはシーズン前に積極的に買取ろうとするわけですから、当然、高値買取となりやすいわけです。

すなわち、シーズンを意識することで、より高い買取が見込めるのです。

ちなみに、冒頭で「細々としたキャンプ用品一式を売った」と書きましたが、それはちょうど夏前の頃。今思えば、それはまさに絶好のタイミングだったわけで、満足な値段が付いたのも、そのタイミングの影響も大きかったと思います。

ただ、調子に乗って、次々と不要品を引っ張り出しては売っていく中で、夏本番にマフラーを売ってしまったのは失敗でした。

1万円程で買ったマフラーでしたが、その買取価格はわずか100円。これが冬前の売却であれば、もう少し高値で売れたのではないかと、いまになって後悔しております。

2.売るための仕組みの強いショップ(≒大手チェーン)で売る

ショップ側が、「(すぐに)売れる」と判断した商品は、高値買取になりやすいことは、すでに触れた通りです。ただ、実際に「売れる」かどうかは、そのショップの力量に大きく左右されます。

当然、その力量の高い(売るための仕組みがしっかりしている)ショップの方が高値買取となりやすく、そのようなショップを選びたいものです。

店舗が大きい、店舗数が多い、ネット販売に強みがあるなど、ショップによって「売るための仕組み」はさまざまですが、基本的には、大型チェーンが安心でしょう。

ちなみに先日、私はゴルフクラブセットを売りました。クラブ30本程とバッグ2個と、けっこうな量でした。

ゴルフクラブについては、「専門店の方が、しっかり査定をしてくれるだろう」と思い、買取もやっている、近所の小さなゴルフショップへ行きました。

たいしたクラブなど1本もないのに、「ひょっとしたらプレミア価格が付くかも」と、図々しくもワクワクしていたのですが、まさかの買取不可。この鉄くず同然の厳しい評価に、ガッカリ肩を落とすのでした。

ただ、このまま引き下がるのは悔しく、その足で、そしてダメ元で、いつもの大型チェーンリサイクルショップへ行きました。するとなんと、すべて買取ってもらうことができ、合計5000円以上もの値段が付いたのでした。

ゴルフクラブを選んでいる人の手元
写真=iStock.com/Kanawa_Studio
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Kanawa_Studio

最初に行ったゴルフ専門店は小規模で来客数も少なく、そしてその客層も玄人筋が多く、とても店頭で売れるような代物ではないと判断したのでしょう。

一方、いつものリサイクルショップには多くのお客様が訪れ、その客層も多種多様。

なので、鉄くず同然のクラブであっても、ある程度の需要はあり、売れるとの判断だったのでしょう。

※ただし、高価かつマニアックな商品であれば、リサイクルショップではなく専門店がよいでしょう

3.箱や説明書などの付属品は残しておく

これは当然と言えば当然ですが、箱や説明書などの付属品は、しっかり残しておくことです。

それら付属品があるかないかで、買取価格に大きな差がつくことは珍しくありません。

実際、前述の定価1万円のカシオGショックが5000円近くで売れたときには、「箱と説明書があったことが大きい」と店員さんも言っていました。

高く売るためのコツとしては、他にも、「少しでも早く売る」「汚れ等はふき取り、少しでも綺麗にしておく」「同種の商品は、まとめて売る」などがあります。

ちょっとしたことで、買取価格は大きく変わってくる可能性もあるので、ぜひ、意識してみてください。

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藤原 久敏(ふじわら・ひさとし)
ファイナンシャルプランナー
1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。

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(ファイナンシャルプランナー 藤原 久敏)

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