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「結婚しました」と言われて「幸せな毎日でしょう」では不十分…相手が踏み込んで欲しい話題の嗅ぎ分け方

プレジデントオンライン / 2024年12月16日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/manbo-photo

会話を弾ませるには、どうすればいいか。話し方講師の野口敏さんは「たとえば『私、結婚しました』と聞けば、誰もが『幸せ』という気持ちを思いつくが、その裏には『一緒に暮らすとお互い腹が立つこともある』といった微妙な気持ちもあるものだ。コミュニケーション上手な人は、当たり前の話を十分にしたあとで、相手の微妙な気持ちにも触れ、会話をふくらませていく」という――。

※本稿は、野口敏『どんな人とも楽しく会話が続く話し方のルール』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■ネガティブな気持ちを上手に話題にできる人

たとえば、相手が「出向で子会社の役員になった」という話を聞いたら、「うれしい」「張り切る」「憧れ」というポジティブな気持ちを想像するだけでなく、「実は左遷でしょんぼり」など、ネガティブな気持ちを想像した人もいることでしょう。

「ネガティブな気持ちを話題にしたら、相手が気を悪くするのでは……」

そう気を遣って、話題にすることを控えてしまうケースもあるかもしれません。

話が苦手な人は、このように「ネガティブ=話題にしてはいけないこと」と誤解している場合が多いのです。

楽しい話ができるかどうかを分ける決め手は、このネガティブな気持ちを自由に操ることができるかどうかにかかっています。

では、「子会社への出向」に、今度はネガティブな気持ちを感じてみましょう。

子会社側の人から見れば親会社から出向してきた人に冷たい対応をする人もいるかもしれません。ただしそこで「冷たい人もいますよね」と言うのは、相手の気持ちに触れていません。

相手を主役にして想像すると、「周囲との対応には気を遣う」という気持ちが見つかるでしょう。

「出向先では気を遣うことも多いでしょうね」

そう聞けば、出向先の誰かが新しい登場人物として話題に出てくるかもしれません。すると、その後の話に大きな展開が期待できます。

冷たく当たる人の話が出たら「会社にはいろんな人がいますからね」と続ければ、今度はいろいろな人へと想像が飛び、話はどんどん広がります。

ほかにも「プレッシャーもある」とか「心配なこともある」など、慣れてくればさまざまな気持ちがあることに気づけるようになります。

■相手に「心のうち」を話してもらう効果

実はネガティブな気持ちとは、言葉に変換されて、それを他人が「それは困るね」などと受け止めてくれた時点で小さくなる性質を持っています。

ですから「気を遣う」「プレッシャーを感じる」「心配もある」などの気持ちを話題にすると、相手も喜んで話してくれるでしょう。

気持ちを話すと、気分がラクになる。このことを覚えておいてください。

「気を遣う」「やめたくなる」「いやになる」「投げ出したくなる」――。

こういったネガティブな気持ちは、ふだん言葉にして表現されることが少ないので、話題にされるととても会話がはずみます。心に溜まっていたものがどっと吐き出されるように、言葉になって出てくるのです。

「家も仕事も投げ出して好きなことができたら、って思うことありますよね」

そう言われると、多くの人が「そうそう」と乗ってくることでしょう。

もちろん、ネガティブな気持ちを話題にしてはいけないときもあります。

それは大きな悲しみ、大きなショックを受けた人に対するときです。

そのような気持ちは、本人もまだ受け止めることはできません。家族が亡くなった人に「これからの生活が大変だね」などの言葉は、誰だって絶対にかけないはずです。

この違いは、どなたにも理解していただけるでしょう。

感情は誰もが理解し、共感できるものです。

ですから、「うれしい」といったポジティブな気持ちだけでなく、「困った」「ショック」「つらい」などのネガティブな気持ちもまた、人類共通の話題といえます。この部分で話ができるようになれば、もう共通の話題を無理に見つける必要はありません。

一つの話題にさまざまな気持ちを見つけられるようになれば、もう会話で困ることはなくなるでしょう。

■実は話題にしてほしいこんな「微妙な気持ち」

「私、結婚しました」

こう聞けば、誰もが「幸せ」という気持ちを思いつき、それを言葉にするでしょう。

しかし、そのような誰もがわかる、よくある気持ちの裏には、

「一緒に暮らすとお互い腹が立つこともある」

とか、

「独身時代に思い描いた結婚生活とちょっと違う」

といった、ただ幸せというだけでない微妙な気持ちもあるものです。

ソファに座る若い男性と女性
写真=iStock.com/koumaru
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/koumaru

コミュニケーションが上手な人は、それをうまく想像して話題に取り入れ、会話をふくらませていきます。

「幸せな毎日でしょう」といった当たり前の話を十分にしたあとで、相手の微妙な気持ちにも触れていくのです。

「でも、実際一緒に暮らしてみると『ここだけは腹が立つ』ってこともありますよね」

そう話を向ければ、相手も待ってましたとばかりに面白い話をしてくれるでしょう。

■相手の感情にあえて踏み込んでみる

人の気持ちは、そう単純ではありません。結婚したばかりだからといって、心のすべてが幸せに満ちみちているわけではありません。

また「会社で昇進した」という人も、誇らしさを感じる一方で、不安やプレッシャーも感じているでしょう。

そういった微妙で繊細な気持ちを感じ、それを表現できる力を磨いていきましょう。これが会話をふくらませるのに、大いに役に立つのです。

人の気持ちを想像するには、経験者の話を聞くのが一番です。

先ほどの結婚話でいえば、未婚の人でも知り合いからそういう話をよく聞かされているのではないでしょうか。

微妙で繊細な気持ちを察して会話に取り入れれば、相手は自分の経験について、感じている気持ちを交えて聞かせてくれます。こうしてまた新しい話題があなたのものになるわけです。

微妙な気持ちに気づく、ひとりレッスン

​テレビや映画を見るとき、小説を読むとき、そこに出てくるエピソードから、人が持つさまざまな気持ちを学ぶことができます。

しかし最も効果があるのは、やはり人から直接聞く話です。思いもよらぬ生の気持ちが聞けて、人間を理解するうえで大いに役に立ちます。

■相手からふともれ出てくる話は話題の宝庫

繊細で微妙な気持ちを想像するレッスンをもう一つしてみましょう。

たとえば「娘が芸術系の大学に合格したが、その学費に年間200万円かかる」という話を使って、話し手の女性の気持ちを想像してみます。

「うれしい」という気持ち。その反面「お金が大変」という気持ち。ここまでは誰でも想像がつくでしょう。

さらにもっと複雑な気持ちがあるはずですが、それは、さまざまな人の話をより多く、より深く聞く経験を重ねるうちに知ることができるようになります。

野口敏『どんな人とも楽しく会話が続く話し方のルール』(三笠書房)
野口敏『どんな人とも楽しく会話が続く話し方のルール』(三笠書房)

たとえば、「親が苦労しているのに、子どもがあまり感謝していないことに腹が立つ」という気持ち。

こういう気持ちは、子を持つ親ならば少なからず経験していることでしょう(もちろん、子の立場で経験している人もたくさんいますが)。

「娘さんには親の苦労やお金の心配をわかってほしいですよね」

微妙な気持ちに触れる話は、ほかの場面でも応用が利くのがいいところ。

たとえば上の例なら、上司と部下の話に置き換えたりできますね。

「上司の苦労や気遣いを部下にわかってもらいたいですよね」

人と会話するときに気持ちに焦点を当てて話を聞けば、ふともれ出てくる話がたくさんあります。共感と気持ちを想像する力でいろいろなエピソードや気持ちを引き出してください。

出てきた話はすべてがあなたの知識になり、いい話題になるのです。

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野口 敏(のぐち・さとし)
グッドコミュニケーション代表取締役
TALK&トーク話し方教室主宰。著書に、90万部超のベストセラー『誰とでも15分以上会話がとぎれない!話し方』シリーズほか、『誰とでもスッとうちとけて話せる!雑談ルール50』など。

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(グッドコミュニケーション代表取締役 野口 敏)

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