人前で話すのが苦手な人でもメキメキ上達する…内向型タイプの50歳が話術の訓練をした最も効果的な場所
プレジデントオンライン / 2024年12月27日 8時15分
※本稿は、古河久人『「最高のビジネス人脈」が作れる食事の戦略』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。
■内向型人間でも苦手意識を克服できる
内向型タイプは、自分で「会話が苦手」「人とうまくしゃべれない」という苦手意識を持っている人が多いと思います。私自身、会話には非常に苦労しました。初対面の人との会話は、いまでも苦手です。
もうひとつ内向型が苦手なのは、何人かで会話をするとき、話に入っていくことです。「こういうことを言おう」と思ってもタイミングを失い、結局しゃべれない。「古河さんはどうですか?」と聞かれれば答えられるのですが、みなさんで議論が白熱しているときに上手にカットインして発言することができないのです。
「あの話がしたかったのに、結局話せなかった」と後悔しながら帰ったことが何度もあります。このような私ですから、いまも決して会話の達人ではありません。
■大事なことは「経験と努力」
内向型人間の会話術をまとめると「訓練」と「努力」だと思います。私を著作の中で紹介してくれた岡本純子さんは「人前で話すのが苦手な人でも訓練次第で必ず上達できる」と書かれています。訓練で鍛えることができるのです。経験は重要です。
では、その訓練はどこですればいいのかということですが、それこそが「自分で主催する会」です。
私の場合は50歳から自分の会を始めましたが、最初はほとんど話ができませんでした。しかし、幹事をやりながらみなさんの会話を聞いているうちに、少しずつではありますが、話ができるようになってきました。場数を踏むことは大事です。
そのうえで、私が体得した「内向型人間の会話術」6つのポイントについて説明していきます。
■内向型人間の会話術1 名刺をフックに会話を始める
内向型人間の最強のお助けアイテムは名刺です。相手が興味を持って質問をしたくなるような名刺を持つことがまず大事です。そして、こちらも相手の名刺をよく見て、会話の端緒とします。
よく名刺をもらってすぐにしまってしまう人がいますが、それはもったいないです。名刺に書かれていることだけでも、かなりの情報が得られます。名刺を読み解くだけで、「東日本橋駅に会社があるのですね。近くに、おいしい中華料理店がありますよ」「PR戦略室って、どういうことをやっていらっしゃる部署なんですか」など、スムーズに会話を始めることができます。
■内向型人間の会話術2 相手に興味を示し、相手の話を聞く
どんな人であっても自分に興味を持ってもらえるとうれしいものです。相手に対して自分が関心を持っていることを伝えることで、距離感を縮めることができるのです。そのためにも積極的に相手に質問をして、話をしてもらうことです。
会話術の本などでは相手に8~9割方、話してもらって自分の話は1~2割にとどめるとありますが、まさに私もそれを実行します。質問といっても難しいことを聞く必要はなく、「出身地」「居住地」「趣味」「仕事内容」「専門分野」「過去の勤務地」などでいいのです。もちろんあまりプライベートなことや、相手が触れてほしくなさそうなことには深入りをしません。
たとえば、相手が「映画が趣味です」ということなら、「最近はどんな映画を見ましたか?」「いつから映画にハマったのですか?」などと深掘りをしていくと、リアルにその人の人柄などがどんどんわかってきます。
誰でも承認欲求というものがあります。自分の話が十分にできると、承認欲求が満たされ、こちらに好意を持ってもらうこともできます。
■内向型人間の会話術3 共通点を探る
次に相手と自分の共通点を探ります。
「内向型人間の会話術②」で相手に質問をして答えてもらう中で、共通の趣味があったり、同じ地方に住んでいたことがあったり、何らかの共通点があればそこをピンポイントに広げていくことができます。
あとは、できるだけ共通の知り合いを探そうとします。共通の知り合いがいれば、その人と自分とのエピソードを披露するなどすると相手に親近感を持ってもらえます。もちろんその共通の知人を下げるようなエピソードはNGで、「遅くまで飲んで泥酔してアパートまで担いで帰った」ぐらいの微笑ましい話がいいと思います。
あるいは相手と共通の知人が知り合ったきっかけを聞くと、それはそれでまた話が広がっていくものです。そこで話が盛り上がったら「3人会」を開くという話に発展する場合もあります。
「3人会」とは私の勝手な定義で「共通の知人を介した3人での食事会」のことです。
■内向型人間の会話術4 話が途切れたとき、沈黙が続いたとき
相手と話しはじめても会話が続かないという悩みは、内向型人間にとってはありがちかもしれません。そんなときも、やっぱりお助けは「質問」です。
相手に話をしてもらい、「聞き役」に徹すれば、話題に困ることもありません。
そこでのコツは質問をしたら、一問一答で終わるのではなく「深掘り・横展開」していくことだと思います。
会話が続かないという人は「一問一答」になっていないか、チェックしてみてください。あるいは、最近聞いた面白い話(あるある話)を3つぐらい用意しておいて沈黙が続いたときに、その話を提供することで話を盛り上げるのもいい作戦です。
あとは話が途切れてもあまり気にしないことも大事だと思います。「途切れてもいい」と開き直れば、気がラクになります。
■内向型人間の会話術5 「リフレクティブ・リスニング」を取り入れる
「リフレクティブ・リスニング」とは相手の言ったことをそのまま反射的に返すことです。相手が「○○なんだよ」と言えば、こちらも「○○なんですか! すごいですね!」と返します。
これをやると相手は自分の話をちゃんと聞いてくれている、共感してくれていると感じて親しみを持ってくれるという効果をもたらし、会話が弾みます。こちらからの話題提供に困ったときには最適です。
慣れたら、そのまま返すだけでなく、自分の聞きたいことを添えると、相手はさらに好反応になります。
■内向型人間の会話術6 徹底的にモニタリング&コピーする
内向型人間にありがちなのは、次の2点ではないかと思います。
②関心のないテーマでは何を話していいかわからない、場違いな話ではないかと思い会話に入ることができない
そのために、知らない人と会うことや知らない人たちの集まりに参加することに強い抵抗感を持ってしまうのではないでしょうか。一方、外向型人間は①②に苦手意識がなく、自然体で話をしています。みなさんのまわりにも、こういう人がいるのではないでしょうか。
そのような人がいたら、まずは話し方を「観察」(モニタリング)してみましょう。「どんな世間話から入っているか」「なぜその話題を選んだのか」「周囲の人はそれに対してどんな反応を示したか」内向型人間は集中力があるので、細かく分析できると思います。
だいたいは、いい意味で「たいした話」はしていないのです。どこにでもあるような、ちょっとした話で盛り上がっているだけです。それがわかるだけでも気がラクになりませんか?
それから、外向的な人が会話が途切れた場合に、どのように切り返すか、その方法も同様に観察してみます。これも観察していると、たいてい自分の得意な分野にうまく話を持っていっていることが多いとわかります。
「なるほど、そんな感じでいいんだな」と、これもちょっと安心するものです。モニタリングが終わったら、今度は「真似」(コピー)です。モニタリングした相手の会話の仕方、話題提供のやり方をマネしてみましょう。なんなら話し方もマネします。
これをすることで、自分の抑制的な気持ち(こんな話をしても人は喜ばないのでは)を振り切ることができます。この「モニタリング&コピー」を慣れるまで何回もやってみると、いつの間にか自分のスタイルになっていきます。
会の幹事になったときなどは、「モニタリング&コピー」で得た話術を発揮する絶好の場です。また、内向的なタイプは、自分がリラックスできる場で力を発揮できるものです。自分が会の幹事になったときは、自分が使い慣れた気の置けないホームグラウンドの店を選ぶことが肝要です。
ただ、店主が自分にフレンドリーな対応をすると相手の気を悪くする場合があるので、予約の際には「はじめて食事する相手なので、つかず離れずの応対をしてほしい」と告げておきましょう。
会話については「最初に話す世間話」「話が途切れた場合用」「雑談用」の話題を3つ程度、前もって準備しておくといいと思います。どれも自分の得意な、好きな分野がいいでしょう。あるいは最近聞いた話で面白かった話題もよいと思います。
自分の得意な、好きな分野の雑談をして、相手に興味を示してもらえれば、しめたものです。内向型は、得意な分野の話はストレスなく話ができるからです。
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連日開催する食事会・勉強会を通じて「人と人をつなげて」出会いを演出する「スーパーコネクター」。1959年生まれ。広島県出身。東京大学経済学部卒業。1981年住友生命保険相互会社に入社、主に管理部門に従事、執行役常務を経て2021年退社。40代から「人と人をつなぐこと」の楽しさを知り、人脈活動(人活)を開始。自他ともに認める「内向型人間」にもかかわらず「食」を介することで政財界、学界、文化界、芸能界、スポーツ界と「各界につながっていない人はいない」といわれるほどの人脈を築く。
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(KIZUNA PRODUCER 古河 久人)
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