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黒でも赤でも緑でもない…覚えたいことをメモするなら字は小さく、読みにくく、そして最も意外なこの色で

プレジデントオンライン / 2024年12月22日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/blackred

記憶力が上がる音楽や文具・ツール、文字の色・形があるのをご存じだろうか。記憶力日本チャンピオンかつ、世界記憶力グランドマスターの青木健さんは「どの色で書かれると記憶力が高まるかを調査した複数の実験では心を落ち着かせる効果のある色が最もいいという結果が出た」という――。

※本稿は、青木健『東大式記憶力超大全』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

■記憶力が上がる音楽

普段勉強をするとき、どのような環境で行っているでしょうか? 図書館のような静かなところで勉強する人もいれば、カフェの少しガヤガヤした中で勉強する人、家で音楽を聴きながら勉強する人もいるでしょう。

覚えるということにおいては、どのような環境が「最適」なのでしょうか?

もし何か特定の音楽を聞くと記憶力が高まるのであれば、試したいという人もいると思います。心理学や認知科学の研究で有名なものとして、「モーツァルト効果」というものがあります。1993年にカリフォルニア大学のラウチャー氏による実験で、モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタニ長調」を学生に聴かせたところ、癒やし系の音楽や無音だったときと比べて、記憶力の知能テストのスコアが高くなったという結果が発表されました。

これは音楽を聴きながらではなく、音楽を聴いた直後10〜15分間程度に効果があり、長くは続かないというものでした。その後、ラットなどの動物や、他の音楽家の曲でも実験が行われました。「他のクラシック系の音楽でも効果がある」という肯定的な説から、「音楽を聴いたことにより脳が覚醒しただけ」という否定的な説までさまざまです。

ただし、モーツァルトを聴いて記憶力が悪くなるということはないようですし、ポジティブな気分で何かを覚えるのは良いことです。モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタニ長調」を聴き、良い曲だと感じたのであれば、勉強前に聴いてみるのはいかがでしょうか。

学習系のセミナーや商品などでは、このモーツァルト効果を拡大解釈し誇大広告気味に使用しているものもあるようなので、ご注意ください。

POINT 「2台のピアノのためのソナタニ長調」を聴くと10〜15分程度に効果があるといわれている

■勉強の記憶効率が良いのは「手書き」か「タイピング」か?

昔はノートに板書を写したり、メモをするということが一般的でしたが、近年では小中学校でタブレットが導入されたり、大学生や社会人はパソコンを持ち込んで授業や会議に参加したりしています。

2024年に発表された、ノルウェー科学技術大学で大学生を対象に行われた実験で、画面に出てきた文字をデジタルペンで手書きする場合とキーボード入力する場合、どちらが脳が活性化するかを調査しました。

その結果、デジタルペンで手書きをしたときのほうが、記憶に関わる脳の部位やそれらを接続する部位が活性化していることがわかりました。デジタルペンではなく、紙にペンで書く場合でもほとんど同じ効果があると結論づけています。

青木健『東大式記憶力超大全』(総合法令出版)
青木健『東大式記憶力超大全』(総合法令出版)

また広島大学の研究チームによると、朗読の書き取りを、ノートにペンで書く場合とタブレットにデジタルペンで書く場合では、タブレットに書くほうが書いた文字の確認や認識に注意が取られるため、紙に書くよりもストレスがかかることがわかりました。

今後タブレットやデジタルペンの機能が改善されたら、アナログで書く場合との差はより縮まると考えられます。

これらの結果から、社内の議事録や業務中のちょっとしたメモなど、覚える必要のない内容は、早く正確に入力できるタイピングで行ってよいでしょう。

反対に漢字の読み書き、英単語のスペル、専門用語の暗記などには、できる限り手書きで、さらに紙とペンを使うのがおすすめです。特に漢字は部首の種類や点の数、文字の形など、英単語の場合は文字数や接頭語や接尾語などの細かいスペルを意識しながら書くことになるので、キーボード入力と手書きでその差は大きくなると考えられます。

POINT しっかり覚えたい勉強は紙とペンを使って手書きで行う
勉強をする子供
写真=iStock.com/Satoshi-K
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Satoshi-K

■記憶力を高める色

「文字」が記憶に作用するのか、という実験が世界中で行われています。ここでは、文字の「色」「大きさ」「フォント」についてお話しします。

私たちの生活の中にはさまざまな「色」があります。人間が認識できる色の数は、なんと100万色もあるそうです。

カラフルなペン
写真=iStock.com/Oleksii Halutva
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Oleksii Halutva

色に対してあまり強く意識を持っていない人が多いと思いますが、色には興奮作用や鎮静作用、リラックス作用があります。「赤」はお祭りのようなエネルギッシュなイベントで使われたり、寝室のライトは「真っ白」よりリラックス効果のある少し「オレンジ系の色」が使われていたりしますよね。

それでは記憶に良い色はあるのでしょうか?

単語を記憶する際にどの色で書かれていると記憶力が高まるかを調査した複数の実験の中に、「記憶には青がよい」というものがあります。その理由として、青色は心を落ち着かせる効果があるからといわれています。また文字の色は濃い色よりも「薄い色」がよいようです。

■文字の大きさやフォント

文字のサイズは大きいものよりも「小さいもの」のほうが記憶に残りやすいです。これは薄い色が記憶に効果的であることと同様に、文字が小さいと、その文字を認識しようとして注意力が上がるため記憶に残りやすいという結果になったようです。

フォントの種類でも同じことがいえます。読みにくいフォントのほうが、はっきりと読めるフォントよりも記憶に残りやすいという実験結果が出ています。このような結果を最大限活用しようとすると、すべての文字を認識しづらい文字で書くことになります。

【図表1】読みやすいフォント・読みにくいフォント
出典=『東大式記憶力超大全』

しかし、それではストレスが溜(た)まり、なかなか読み進められないと思いますので、基本的な文章は黒い文字で普通に書きつつ、覚えるべき重要な用語は薄めの青い文字で小さく書くとよいのかもしれません。PCなどで文章を作るときも、薄めの青い文字で小さく読みにくいフォントで書くとよいでしょう。

POINT 覚えたい用語は薄い青色・小さい文字・読みにくいフォントで書く

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青木 健(あおき・たける)
株式会社メモアカ代表取締役CEO、日本メモリースポーツ協会会長
東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻修了。記憶力日本チャンピオン。世界記憶力グランドマスター。大学4年時に記憶力日本選手権大会で優勝し、日本チャンピオンに。その後、さまざまな国際大会で好成績を収める。大学卒業後、株式会社福音館書店を経て、現職。株式会社メモアカでは、記憶術のオンライン学習サービス「メモアカ」など、記憶のサービスを提供している。著書に『記憶力日本チャンピオンの超効率 すごい記憶術』『東大式 頭の回転が100倍速くなるドリル』(総合法令出版)、『記憶王が伝授する 場所法英単語』(三省堂)などがある。

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(株式会社メモアカ代表取締役CEO、日本メモリースポーツ協会会長 青木 健)

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