「年明けに食べきれないほどの返礼品が…」お金の専門家が教える"駆け込みふるさと納税"の思わぬ落とし穴【2024編集部セレクション】
プレジデントオンライン / 2024年12月30日 16時15分
■「2000円を除いた金額」が還付や控除の対象になる
毎年この季節になると話題になるのが、「ふるさと納税」。12月の今、駆け込みでふるさと納税をしようと思っている方も多いのではないでしょうか。
そんなふるさと納税ですが、駆け込みだからといって急いで何も考えずに返礼品を選んでしまうと、せっかくのふるさと納税で損をしてしまうなんてことも。
今回はふるさと納税の基礎知識から、駆け込みふるさと納税の注意点についてお話ししていきたいと思います。
まずはふるさと納税の制度ができた背景ですが、大都市と過疎地域では税金を納める人数が異なり、入ってくる税収も変わってきます。ふるさと納税としていろいろな地域に寄付をすることで、財政的に応援できるようにしようということで、制度が始まりました。
ふるさと納税は「納税」という言葉がついていますが、実は寄付の制度。故郷や応援したい自治体などに寄付をすると、寄付額のうち2000円を超えた金額が所得税の還付や住民税の控除となる制度です。
■限度額まで使っても「いらないもの」を選ぶのは無駄遣い
そして、ふるさと納税をするにあたって一番の悩みどころが、やはりどの返礼品を選ぶか。駆け込みふるさと納税ではとにかく今年のふるさと納税を間に合わせるのに必死で選んではいけないものを選んでしまうことも。返礼品を選ぶにあたり、注意しないといけないポイントがあります。
何よりもまず考えておきたいのが、その返礼品は本当に必要なものかどうかというところ。ふるさと納税は所得税が還付されたり、住民税が控除されたりはしますが、たとえば2万円分の返礼品を選んだのであれば、その時点で2万円分は出費があります。
ふるさと納税をするにあたって自分がどのくらいの金額ふるさと納税をできるのかシミュレーションしてから返礼品を選ぶ方がほとんどだと思いますが、シミュレーションした金額に間に合わせるためにとりあえず選んだけど、やっぱりそこまでいらなかったとならないように、必要なものかどうかはしっかりと考えるようにしましょう。
■「一度に食べきれないほどの返礼品が届く」ことも
次に考えておきたいのが、自分に合った返礼品を選べているかどうかです。
特に食べ物ですが、返礼品の量に要注意。前もって届く量を確認せず寄付をしてしまい、実際届いた箱を開けたら食べきれない量だった……なんてことも。日持ちするものであればいいですが、冷蔵や冷凍の物は冷蔵庫の容量によっては入りきらず、急いでだれかにおすそ分けをしなければならなくなるなんてことにもなりかねません。特に一人暮らしの人は、きちんと食べきれる量の返礼品かどうか調べてから寄付をするのがとても大切です。
また、返礼品が届くタイミングについても注意しておきたいところ。駆け込みふるさと納税でおきがちなのが、年末に寄付したふるさと納税の返礼品が年明けにどんどん届くという現象。特に食べ物の場合、同じタイミングに届く返礼品を選ぶのはとても危険です。届くタイミングがばらばらであれば食べきれた量でも、まとめて届いてしまうと消費するのが大変になってしまうなんてことも。
■「定期便・配送時期が選べるもの・ポイント制」の利用がおすすめ
こういった返礼品の届く量やタイミングが重なるというリスクを減らすための方法としてぜひ実践してほしいのが、定期便や配送時期の決まったもの、ポイント制を利用すること。返礼品の中には、3カ月・6カ月などの定期便の形で届くものや、自分で発送時期を選べるもの、○月・○月・○月など決まった月に届くものなどがあります。また、ポイント制というのは寄付した金額に応じて自治体ごとにポイントが発行され、そのポイントを期限内の好きなタイミングで各種品物に交換するという仕組み。自分の好きなタイミングで品物と交換できるのはとてもうれしいですよね。
駆け込みふるさと納税をするときは、届く時期をずらしたり、好きなタイミングで届くものにする方法などを駆使して、同じタイミングで届くものを選んでしまわないようにしましょう。
そして、返礼品というと食べ物のイメージが強いですが、返礼品には食べ物だけでなくトイレットペーパーや洗剤などの日用品もあります。食べ物のようにどうしても消費期限があるものではなく、すぐにはダメにならない日用品を返礼品として選ぶという方法も。
もちろん、多く届きすぎてしまうと収納する場所にも困ると思いますので、日用品であってもどのくらいの量が届くのかはあらかじめ確認しておくようにしましょう。
■上限金額は注意深く確認したほうがいい
さらにどのタイミングでふるさと納税をするかに限らず注意しておきたいのが、返礼品自体の金額。特に日用品などは、量販店やネットショップなどで普通に売っていることもあります。駆け込みふるさと納税では、あまり時間がないので所得税の還付や住民税が控除されるからということだけに気がいってしまい、商品の比較にまで気が回らないことも多いはず。後で調べてみたら「この商品だったら税金のメリットがあるにせよ、普通に買った方が全然安かった……」とショックを受けないように、ぜひ一度は調べてみてください。
また、返礼品を選ぶこと以外にも、駆け込みふるさと納税には注意点があります。
ふるさと納税をする前にする上限金額のシミュレーションですが、簡易的なものと、詳細が入力できるものなど種類があります。急いで返礼品を選びたいがあまりに適当にシミュレーションをしてしまうと、上限金額がきちんとシミュレーションできず、実質負担2000円を超えてしまうなんて可能性も。シミュレーションをする際にはなるべく細かく詳細を入力して、実際にふるさと納税をする際にはシミュレーションででてきた上限金額より少し少なめに寄付をするようにしましょう。
■ワンストップ特例の申請期限は1月10日
最後にふるさと納税の申請についても重要なポイントがあります。確定申告はめんどうなので、5自治体までなら確定申告なしでふるさと納税をすることができるワンストップ特例を選ぶ方も多いと思いますが、ワンストップ特例の申請期限は年明け1月10日。年末に駆け込みふるさと納税をしたら、年が明けてあっという間に申請期限が来てしまいます。もしその期限を過ぎてしまうと、確定申告をしなければならないことに。今年中にふるさと納税ができたから安心ではなく、申請についても忘れずするようにしましょう。
今年も残り少ない日数ですが、注意すべきところをしっかりとおさえて駆け込みふるさと納税をして、ぜひ自分に合ったいい返礼品をゲットしてみてください!
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金融教育活動家
1990年生まれ。経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得し、「やさしいお金の専門家/金融教育活動家」として活動。「誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーにお金の知識を啓蒙、金融教育の普及に取り組んでいる。日本金融教育推進協会代表理事。著書に『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)。
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(金融教育活動家 横川 楓)
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