これほど健康にいい食べ物はない…高血圧、糖尿病、心不全の持病持ちの医師(64)が年に200回食べているモノ【2024下半期BEST5】
プレジデントオンライン / 2025年1月1日 8時15分
2024年下半期(7月~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト5をお届けします。食生活部門(前期)の第1位は――。
▼第1位 これほど健康にいい食べ物はない…高血圧、糖尿病、心不全の持病持ちの医師(64)が年に200回食べているモノ
▼第2位 スポーツドリンクを飲むより効果的…「風呂上がりの水分+栄養補給」にピッタリな飲み物の名前
▼第3位 だからボケずヨボヨボにならず天寿をまっとうした…103歳が毎日食べたミネラルをしっかりとれる「おやつの名前」
▼第4位 パンと白米よりやっかい…糖尿病専門医が絶対に飲まない"一見ヘルシーに見えて怖い飲み物"の名前
▼第5位 肉を食べるより有益な成分を摂取できる…予防医学の名医「世界の長寿エリアでもりもり食べられているもの」
※本稿は、和田秀樹『コレステロールは下げるな』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
■健康長寿になるために必要な食生活とは
日本人は“脂”が足りていません。コレステロールも脂の一種ですが、そうした“脂不足”も日本人の低栄養の原因になっているようです。
どんな脂がいいのか? というのは第3章でも話しました。くり返しになりますが、やはり「満遍なく摂る」のがいちばんだと思います。
食品は様々な成分で構成されています。そして人間が活動したり、体を維持したりするには、様々な成分が必要です。偏った食品や単一成分のサプリを摂り続けていたら、体内では何らかの不足が出てきます。体にとって、それがよくないことは、言うまでもないでしょう。
「トランス脂肪酸はよくない」と悪評が立ったマーガリンも、最近では見直し運動が始まっています。トランス脂肪酸は工業的につくられるものもありますが、もともとは牛や羊などの反芻動物の胃に棲む微生物がつくり出した天然の成分です。食べても問題ないどころか、必要な成分でもあるのです。
どんなものでも足りないのがよくない、というのは栄養学の基本です。
多いことの害ばかりが指摘されていますが、本当は足りないことが大問題。
「○○がいい」「△△が悪い」と食べ物の一側面だけを取り上げて強調するコマーシャリズムも、日本人の“偏った食事”に拍車をかけている気がします。
■唐揚げ弁当より幕の内弁当
日本人はとかく情報に流されやすい傾向があります。「フードファディズム」という言葉をご存じでしょうか。フードは食品、ファディズム(faddism)は「流行かぶれ」という意味です。誉め言葉ではなく少しバカにしたニュアンスが込められています。「情報に踊らされ、妄信的に“よい”と言われる食品を食べる」と。
フードファディズムが悪いとは言いませんが、それによって食事が偏るのは、やはり問題だと思います。栄養が偏ってしまうからです。
偏食の影響は、後になって出てきます。しかも、年を取れば取るほど、栄養の偏りが大きく響いてくるのです。私が「満遍なく食べましょう」と言うと、当たり前過ぎて面白くないかもしれませんが、でもやはり、それがいちばんなのです。
できれば一汁三菜より“一汁十菜”、おかずが一種類の唐揚げ弁当より“幕の内弁当”、複数の食材を煮込んだ“スープ”や“鍋物”など、多くの食品から栄養を摂ることを考えたほうがいいと思います。
今の80歳代や90歳代、100歳超えの人たちは、戦中にひもじい思いをしたこともあってか、戦後は何でもガツガツ食べてきた人たちです。それが日本“長寿”をけん引してきたことは確かでしょう。
でも今後はわかりません。自ら偏食と低栄養を選ぶ人たちが、健康で長生きできるという保証はありません。
■高齢者ほどラーメンを食べたほうがいい
私はラーメン好きを公言しており、年間で200店ほど訪れます。うまい店を探してあちこち食べ歩く。ワイン選びもそうですが、もはやライフワークです。
高血圧、糖尿病、心不全の持病持ち。周りの人からは「ラーメンなんて脂っこいもの大丈夫なの?」と心配されますが、気にしていません。それどころか「ラーメンは体にいい」と思っています。
なぜなら、ラーメンは総合栄養食だからです。
ラーメンのスープは、10種類から15種類の食品を入れて煮込んでいます。牛・豚・鶏の肉や骨、魚介類、緑黄色野菜、根菜、キノコ、あらゆる食材をバンバン入れてグツグツ煮込む。それらの栄養素が鍋に溶け出ているわけです。もちろんコレステロールや脂質もたっぷりです。しかも麺は炭水化物ですから糖質も摂れる。つまり1杯ですべてが摂れる効率のいい“総合栄養食”なのです。
私が高齢者にラーメンを勧めるのは、以上の理由です。
ただし、もしできるなら、チャーシューを追加したり、卵をトッピングしたりすればもっといい。もし「全部のせ」なるメニューがあるなら、私はそれを選びます。
私が病気を持ちながらも元気でいられるのは、ラーメンのおかげなのかもしれません。もちろん食べるだけではなく、積極的に歩くことも心がけていますが。
■餃子に煮卵をトッピングが理想
ラーメンは総合栄養食と言いましたが、餃子を付けると最強になります。
しかも「ラーメン+餃子」のコンビは、お昼に食べるのがいい。なぜなら、たんぱく質は、肝臓の働きから言うと、お昼か朝に摂るのがいいからです。
早い時間のほうが肝臓はよく働き、吸収効率がよくなります。
欧米人が、朝にハムエッグを食べるのも、そのためです。
「ラーメン+餃子」や「ハム+卵」は、たんぱく質だけでなく、コレステロールや脂質も豊富です。昼に食べることで、体に取り込まれやすくなるわけです。
私がラーメンを食べるのは、たいていがお昼ですが、それは吸収効率を考えてのことです。
日本人は、朝や昼の食事は軽めで、夜にまとめてガッツリ食べる傾向がありますが、肝臓の働きを考慮するなら、本当は朝か昼がベストです。
ランチにラーメンと餃子に煮卵をトッピング。これがいちばんの理想です。
■食が細くなってきた人にすすめたい調味料
一般的に、高齢になると、コレステロール値は少しずつ下がってきます。それは、体内で作られるコレステロールの量が減るからです。作る能力が少しずつ落ちてくるのです。
なので、本当は肉を食べたほうがいいのですが、体が受け付けなくなってくる人もいます。「ラーメンがいい」と勧めても、「ラーメンなんて重くてムリ。胃がもたれちゃう」と言う高齢者は少なくありません。
そんな時は「スイーツはどうですか?」と勧めてみます。とにかく、本人が食べやすいもので摂取することが大事なのです。
私はほとんど食べませんが、生クリームのたっぷり入ったスイーツやチョコレートには、コレステロールや脂肪が豊富です。
また、食が細ってきた人は、マヨネーズを活用するのもありだと思います。
例えば、食欲のない時でも、マヨネーズをかけたちくわは、不思議と食べられます。冷やしうどんにマヨネーズをかけるのもいいですね。
そういえば、宮崎の名物・チキン南蛮は唐揚げにタルタルソースをかけてありますが、酸味があるためか、ボリュームがあってもペロリと食べられます。
そうやって考えると、マヨネーズはすごい発明なのだと、改めて感心させられます。栄養が足りない時の強い味方なのです。
■ストイックなほうが免疫を下げる
ちなみに私はアメリカに住んでいましたが、その時は「マヨネーズはまずい」と思っていました。いわゆる“クラフトマヨネーズ”です。ところが日本に帰ってきてキユーピー製のものを食べたら、そのおいしさに感動したのです。
今では“減塩”とか“カロリーオフ”のものも出ていますが、私は普通のタイプがおいしいと感じます。これは、高齢になってからの共通原則で、体が欲している食べ物は、やはり「うまい!」と感じるのです。
近頃は変わりつつあるようですが、日本では「忍耐」や「我慢」が美徳とされてきました。まるで「ストイックな生活が体にいい」と思っているかのごとく、ダイエットのため好物を我慢したり、検査数値が悪いからとお酒をやめたりしてきたわけです。
しかし、免疫力のためを考えると、それは間違った行動だと言えそうです。
なぜなら、ストイックなほうが免疫を下げるからです。
人間の体は実によくできていて、高齢になり、だんだん食べられなくなると、体がおいしいと思うものを欲するようになります。
その時に「我慢、我慢」と欲求をおさえていると、どんどん免疫力が下がってしまうのです。
■体が欲するものを食べるべき
健康に長生きしたいなら、体の欲求に応えてあげることです。赤身よりトロが食べたいなら、「脂が多いから」と我慢しない。トロにはたんぱく質とDHAがたっぷり含まれていて、体はそれを必要としているわけです。
例えば、ステーキを食べた翌日、脂の乗った魚を食べたくなったことはありませんか? 実は、魚の脂には、肉の脂を中和する働きがあります。つまり、体が中和を求めているため、食べたくなるのです。
そういう時は、体の声を素直に聞いて、食べたらいいと思います。
「昨日はステーキを食べたから」と我慢する必要はありません。むしろ「昨日はステーキを食べたから今日はトロだ」と積極的に食べてしまえばいいのです。
年を取るほど体内で作られるコレステロールや脂肪の量は減っていきます。その不足分を補ってほしいと、体は要求しているわけですから、どんどん食べるのが正解です。
(初公開日:2024年7月18日)
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精神科医
1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。国際医療福祉大学教授(医療福祉学研究科臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。2022年総合ベストセラーに輝いた『80歳の壁』(幻冬舎新書)をはじめ、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『老いの品格』(PHP新書)、『老後は要領』(幻冬舎)、『不安に負けない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)、『60歳を過ぎたらやめるが勝ち 年をとるほどに幸せになる「しなくていい」暮らし』(主婦と生活社)など著書多数。
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(精神科医 和田 秀樹)
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