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「今、インフルエンザに罹るなんて」中学受験直前の体調不良…逆境を力に変える"親の最強サポート術"

プレジデントオンライン / 2025年1月15日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Ridofranz

インフルエンザや風邪が流行している。中学受験の本番を控えた子どもが体調を崩した場合、親はどうすればいいのか。プロ家庭教師集団名門指導会代表の西村則康さんは「親がジタバタするとかえってマイナスになる。とにかくたっぷり睡眠をとらせることが大切だ」という――。

■ここで無理をさせるのは逆効果

いよいよ中学入試の本番が近づいている。すでに試験が行われているエリアもある。学校生活の約半分を受験対策に費やしてきたことを考えると、何としてでも合格を勝ち取りたい。それがすべての受験親の切実な願いだろう。

しかし、現実は入試を直前に控えている今に限って、風邪をひいたり、インフルエンザに罹ったりと、体調を崩す子が多い。また、最後の力を振り絞って頑張ってほしいのに、いまひとつ集中力が続かなかったり、やる気を感じさせてくれなかったりする子もいる。そんなわが子を見ていると、心穏やかではいられなくなるが、ここで親がジタバタするとかえってマイナスになる。では、どうしたらいいのか――。

「風邪をひいた」「インフルエンザに罹った」など、体調を崩してしまった場合は、とにかくたっぷり睡眠をとらせることに限る。子供の身体は正直で、疲れがたまっているときに免疫力が低下し、体調を崩しやすい。直前期は1日1日の勉強が大事にはなるが、ここで無理をさせるのはかえって逆効果。1週間くらい勉強から遠ざかっても、学力がガクッと低下してしまうことはないので、「しっかり休んで、本番までに体調を万全にしておこうね」と言って安心させ、たっぷり寝かせてあげることが一番効果的だ。

■体調不良後に成績が上がった子もいた

昨年の夏はマイコプラズマ肺炎が流行り、夏期講習を1週間休んだ子もいた。親としては「こんな大事な時期に……」とネガティブに捉える人が多かったが、たっぷり休んだ結果、心と身体がリセットされ、夏以降成績が上がった子も多かった。

疲れていたら休む。体調が悪ければ、たっぷり睡眠をとる。それは、入試本番時期でも同じだ。

塾に行く元気はないけれど、一日中寝込むほどではないという場合は、家でゴロゴロしながら、テキストやこれまでのまとめを見直しておくといい。直前期にやるべきことは、新しいことを覚えることではなく、忘れてしまったことを思い出す作業が中心になる。直前期の勉強というと、机に向かって問題を一生懸命に解いているイメージを持つ親が多いが、寝転がってノートを見返すだけでも十分効果はある。大事なのは、ここで無理をさせないことだ。

■保健室受験で合格を勝ち取る子は意外といる

それでも毎年必ず、受験当日に体調を崩し保健室受験をする子がいる。親としては、「最悪な事態になってしまった……」と悲観しがちだが、そうとも言い切れない。実はこれまで、私の教え子の中にも当日体調を崩して、泣く泣く保健室受験をした子が何人もいるが、意外にも合格率が高いからだ。もちろん、もともと合格レベルに達するだけの学力があった子もいる。

だが一方で、合否は五分五分と見ていた子が、合格を勝ち取るケースが多いのだ。もしかすると「周りに人がいないから落ち着いて問題が解けた」「少し熱があって頭がぼーっとしている状態だったから、かえって緊張を感じずに済んだ」ことなどが影響しているのかもしれない。本当の理由は分からないが、悪いことばかりではない。そう思って、親がドンと構えているほうが、結果的にはうまくいく。

ただ、市販薬を飲ませるのは避けてほしい。市販の風邪薬にはほとんど眠くなる成分が入っている。ちゃんと病院で診察してもらい、入試本番が近いことを告げて適切な薬を処方してもらおう。

子供の肩に手を置く母親
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

■直前期は得意分野を中心に学習し自信をつける

身体の疲労や体調不良は、とにかく休むことが回復につながる。では、心の不調はどうしたらいいのか――?

直前期の親の悩みとして最も多いのが、「子供がいまひとつやる気を見せてくれない」「集中力が続かない」といったケースだ。ただ、これは親の目からはそう見えるだけということも多い。どんなに幼い子でも、入試本番を間近に控えた今は、さすがに気が張っている。頑張らなくてはいけないことくらいみんな分かっているのだ。しかし、義務感はあっても、まだ成長の発達途中にいる小学生は集中力が続かない。その姿を見て、「やる気がない」と判断してしまう親が多い。そして、もっと頑張らせようとあれこれ発破をかける。それが子供にとってはプレッシャーになり、「できない自分」に自己嫌悪を抱きやすくなる。

だが、この時期に最も大事なのは「自信」だ。直前期は「まだこれもできていない」「あれもできていない」とできていないところが気になるものだが、今ここで苦手分野を克服させるのは遅すぎる。できないことに時間を費やすよりも、できていることを確認し、自信を持たせる方がいい。過去問であれば前半の基礎問題だけをやらせて、「ここはもうできているから大丈夫!」とできているところを積極的に伝えてあげてほしい。中学受験で満点を取って合格する子はまずいない。合格最低点に到達さえすればいいのだ。それはすなわち、その子にとって解けるはずの問題さえ落とさなければ合格の可能性は十分にあるということだ。

■NGワードは「ポジティブ言葉」に言い換え

直前期に親が心がけるべきことは、子供が気分良く勉強ができるようにすることだ。苦手対策は12月までと割り切り、入試本番までは子供が得意なことを中心に勉強を進めていく。また、疲れが出ないように、「今日はこれだけやればOK」とやることの交通整理をしてあげることだ。やるべきことは欲張らずに、必要最低限に留めておこう。そして、ちゃんとできたら、大いに褒める。そうやって、1日1日「やり切った感」を味わわせることが大事だ。

直前期は親も心穏やかにはいられず、つい発破をかけるような言葉を言ってしまいがちだ。しかし、親の不安は必ず子供にも伝わる。そして、その不安が子供を不安にさせる。だから、どんなに不安でも子供の前ではポジティブな言葉を心がけてほしい。

最後に、直前期に親が言ってしまいがちなNGワードを挙げておこう。もしこの言葉が思わず口から出そうになったら、次の言葉に変換してみてほしい。

1.「こんな勉強のやり方では合格できないわよ」
→「これさえやっておけば合格可能性が20%もアップするよ!」

2.「○○ちゃんは毎晩遅くまで頑張って勉強しているのに……」
→「勉強は量や時間よりも『集中力』だもんね」

3.「こんな簡単な問題で間違えていたらダメでしょ」
→「今、間違いに気づけて良かったね」

最後の最後は親の演出力にかかっている。

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西村 則康(にしむら・のりやす)
中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員
40年以上難関中学受験指導をしてきたカリスマ家庭教師。これまで開成、麻布、桜蔭などの最難関中学に2500人以上を合格させてきた。新著『受験で勝てる子の育て方』(日経BP)。

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(中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員 西村 則康 構成=石渡真由美)

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