LUUP爆走よりさらにヤバい…狼藉外国人が無免許で乗り回す「電動スクーター」のこわすぎるリスク
プレジデントオンライン / 2025年1月14日 18時15分
■本気で最悪の「電動スクーター」が登場
新年早々、都心の路上でいやーなものを見た。外国人の二人組が爆走する「電動シートボード」だ。
電動シートボードとは何か。要するに座って走れる電動キックボードのことだ。なにかライト感、カジュアル感を醸し出そうと考えたネーミングなんだろうが、本質を言うなら、電動スクーターだろう。略して「電スク」。しかも無免許でも乗れる代物だ。
この電スク、気づかないうちに原宿や代官山あたりで、アメリカ発のシェアサービスの黒船「Lime」の営業が始まっていた。
■「ならず者」が歩道通行してもお咎めなし
見ているとお行儀が最悪だ。歩道も車道も右も左も何にも考えていない。それなのにスピードは速い。本気の本気で害悪でしかないと思った。
思慮の足りない利権議員たちが、わざわざ道路交通法をねじまげたせいで、これが無免許、ノーヘル、歩道通行で「お咎めなし」となった。
画像3のこれ、「こんなので歩道でこんなのに乗っているような連中は取り締まれ」と思うだろう。しかし、これが取り締まれない。なぜなら合法だから。
信じられるだろうか。写真のこれで合法なのだ。
■国内企業が二の足を踏む中、黒船来襲
法律上のククリは、くだんの「特例特定小型原動機付自転車」だ。電動キックボードと同じ。
だが、国内のシェア電動キック会社も「さすがにこれは」と現在、二の足を踏んでいる。だって、これ、どう見ても電動スクーターでしかないんだから。
あのLUUPですら、座席・カゴ付きの「電動シートボード」を導入すると2024年6月に発表したが、今年夏以降に延期したのだ。
時速20キロ制限(車道)があるとはいえ、スピード感も電動スクーター。で、無免許OK。こんなものに何も知らない外国人が乗ってデタラメに走ってる(今回、私が目撃した例)。私は開いた口が塞がらないんだが、外資のLime社は「別にいいんじゃん?」とバンバン営業を拡大してる。
ただし、私もいろんな国で見てきたが、このLime(電動キックも電動スクーターも)はあらゆる国で嫌われていて、現在パージされ中だ。パリでも、マドリードでも、シンガポールでも禁止か制限となった。なぜかというと簡単。事故が多いからだ。
■「バカでも答えられる」道交法クイズ
事情はどの国でも同じだが、日本で特に決定的にヤバいと思われるのは、道交法を知らなくても、標識の区別がつかなくても、16歳以上であれば誰でも乗れることだ。
ためしに私も借りてみた。
手続きとしては、スマホでQRコード読み取って、道交法クイズに答えるだけ。2択だから、なんの知識がなくてもある程度の点数が取れる。クイズ内容はこんな感じ。
「少しの酒なら飲んでも乗っていい、YESかNOか?」「NO!」「正解ー♪」
イラスト付きだから日本語が分からなくても解けるだろう。これを10回繰り返したら開錠だ。免許の提示も不要。学生証などで16歳以上であることが分かればいいという。利用料はスマホ払いで、これまた便利で手軽。掛け値なしに「バカでも乗れる」。ここがスゴい。
■電動キックボードより疲れずに乗れるが…
乗ってみると、これが楽ちんで遊園地の遊具みたい。疾走感&スリルがあってけっこう楽しい。座ってる分、電動キックボードより安定してるし疲れない。片手運転だってできる(電動キックでは難しかった)。これは流行るだろうなぁ。
しかし、これが日本の道路に広まるリスクはあまりにも大きい。ノーヘルだろうが、歩道通行しようがお咎めなし。
歩行者を蹴散らし、ドケドケ運転したって、逆走したって、信号無視したって、酔っぱらい運転したって、免停とか免許取り消しには絶対にならない。
そもそも免許が要らないんだから。
ところが、もし事故が起きたとしたら。その被害は間違いなく甚大なものとなる。なんせ出力600W。これは50㏄原付と同じパワーなのだ。
■いったい誰がなぜ推進しているのか?
そもそも、そういう原付バイクと同等のものが、なぜ歩道通行することが許されるのだろうか? ベビーカーやお年寄りや障碍者のいる歩道を。しかもその運転者は交通ルールを知ってるかどうかも怪しいのだ。
いったい誰がこんなものを合法にしたのか。私は腹が立ってならないのだが、これぞ「ダレトク?」の典型だろう。だが、その「ダレ」は確実にいる。こんなものにむりやり「電動シートボード」などというネーミングを施し、カジュアル感を出して「カネさえ儲かればいい」という連中がいるのだ。
だってこのLime、投資会社の公式ホームページでは、ちゃんと「電動スクーターのライドシェアリングサービスである」と紹介されている。
こんなところで馬脚が見える。スクーター。そうかスクーターか。やはりスクーターか。ならば、免許を持って、メットをかぶって、車道を走るべきだろう。
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自転車評論家
1966年生まれ。東京大学工学系大学院(都市工学)修了、博士(Ph.D.環境情報学)。大東文化大学社会学研究所客員研究員。学習院大学、東京サイクルデザイン専門学校等非常勤講師。毎日12kmの通勤に自転車を使う「自転車ツーキニスト」として、環境、健康に良く、経済的な自転車を社会に真に活かす施策を論じる。NPO法人自転車活用推進研究会理事。著書に『ものぐさ自転車の悦楽』(マガジンハウス)、『自転車の安全鉄則』(朝日新聞出版)など多数。
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(自転車評論家 疋田 智)
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