だからあなたはイマドキの若手に舐められる…部下の「値踏み」に応えられない上司に決定的に欠けていること
プレジデントオンライン / 2025年1月24日 15時15分
※本稿は、関根雅泰『改訂新版 オトナ相手の教え方』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
■「この人から教わりたい」という関係性を築くには
大人相手に上手に教える際には、相手との「関係を築く」ことが重要になります。ここでいう「関係」は、人間関係や信頼関係を指します。
教わる側から見た時に「この人から教わりたい」「この人に言われるなら仕方ない」と思われるような関係を築くことが必要となります。
いくら良いことを教えていたとしても、相手から見た時に「この人には言われたくない」と思われたら、素直に聞き入れてもらえなくなります。やはり教わる側としては「信頼できる人から教わりたい」と思うでしょう。教える土台は、相手との信頼関係なのです。
では、どうやって相手と関係を築いていけばよいのでしょうか。ここでは、「信頼の要素」という考え方を紹介します。
「信頼の要素」とは何かというと、相手が私たちを信頼に足る人物か判断する時に見ている要素です。
「共通点」「姿勢」「能力」という3つの要素があります。
■こちらが自己開示することで、相手にも少し内面を開いてもらう
信頼の要素の1つ目は、「共通点」です。
「共通点」とは、私たち教える側と教わる側との間に、何らかの同じ部分があれば、相手は私たちに親しみを覚えるということです。これは「人は、自分に似た人を好む」という様々な研究結果からも明らかにされています。
共通の趣味や知人、似たような価値観、好きな食べ物が一緒、行った旅行先が同じだったなど、何らかの似たような点が見つかれば親近感を抱かれます。
そのため、教える立場になった時は、いきなり仕事の話をするのではなく、プライベートの話や雑談をして、こういう共通点を見つけるようにしていきましょう。
ただ、教える側が年長者で、教わる側が若い人といった場合、「いまどきの若い奴は分からん!」と共通点を見つけ出す努力すらせず、一方的にシャッターを下ろして、教える側が心を閉ざしてしまうようなことがよくあります。教える側と教わる側の年齢差があればあるほど、その可能性は高くなります。
こちらがシャッターを下ろしている姿は、相手にも見えます。教わる側も、「この人は自分のことを知ろうとしてくれないんだ……」と感じてしまうと、同様にシャッターを下ろしてしまい、お互いに壁を作ったままになってしまいます。
相手がシャッターを下ろさないようにするためにも、まずはこちらのシャッターを開け放すことです。こちらが自己開示することで、相手にも少し内面を開いてもらうのです。
例えば、週末の出来事や家族ネタなど、仕事とは関係ない話をこちらからもしてみましょう。
「週末、家族で温泉に行ったんだけど、結構混んでいて、逆に疲れちゃったよ。F君は、週末どこか行った?」のような感じで、自分の話から先にして、相手に話を振ることで話題が広がりやすくなります。
■「自分本位」ではなく「相手本位」を意識
信頼の要素の2つ目、「姿勢」とは私たち教える側の熱意や真摯さを指します。
子が親を選べないように、部下も上司を選べません。もちろん、「上司だって部下を選べない」と言われてしまえば、その通りです。教える側だって、どんな新人が自分の元にやってくるのか、ちゃんと一人前にしてやれるのか、不安を抱えていると思います。
しかし、会社という新しい環境に1人身を投じている新人の不安や疑問は、教える側の私たちよりもずっと多いことでしょう。「この人はどのくらい真剣に自分に向き合ってくれるのか」「きちんと教えてくれるのか」「こちらの身になって考えてくれる人か」など、これらの疑問や不安に私たちは普段の言動で応えていく必要があります。
そのために、教え上手に共通する「相手本位」という姿勢を示すことが大切になります。「相手の立場に立つ」という本質を押さえた上で、相手の「学習を手助けする」ような教え方をすれば、この姿勢は満たされます。「自分本位」ではなく「相手本位」を意識してみましょう。
ここで1つポイントなのが、過保護になり過ぎず、だけど放任し過ぎないということです。あれもこれもと過剰に気にかけてしまうと、自主性が失われてしまう可能性があります。
逆に、相手から自主的に動くのを待って放任していると、場合によっては抱え込んでしまって、重要な問題も見過ごしてしまう可能性があるからです。
相手が困っていたら声をかけるようにするのではなく、困った時にいつでも声をかけられる雰囲気にしておくということが大切です。
■教える側は「値踏み」をされている
最後に「能力」は、私たちの知識・技術・経験・対応を指します。嫌な言い方ですが、教わる側とはいえ、「この人は、自分に教えるだけの能力があるのか?」と、私たち教える側を「値踏み」しています。その彼らの値踏みに応えられるよう、教えていく必要があります。
自分がある程度正解を持っていて教えられるなら、知識・技術は示せるでしょう。ただその時の「説明の仕方」が下手だと、「この人、知識はあっても説明が下手だよな」と、能力を疑われます。私たちは、相手に信頼される説明の仕方をきちんと身につけておく必要があります。
そのためにも、教える本質である「学習の手助けをする」を理解し、身につけておく必要があります。教え方をしっかり身につけていれば、信頼の要素である「能力」は満たされるので、自ずと信頼関係を築くことができます。
信頼関係を最初に築かないと、教えてはいけないのかというと、そんなことはありません。教えながら、失敗を重ねながら、恥ずかしい部分も見せながら、徐々に関係が深まっていくのです。
私たちは完璧ではありませんから、失敗もあって当然、教える側として立派な人物でなくても仕方ない、というくらいの気持ちで、教えるという行為に向き合ってみてください。「すぐに関係は築けるものではない」と考え、気長に相手と接することをおすすめします。
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ラーンウェル 代表取締役
1972年埼玉県生まれ。南ミシシッピー大学卒業後、二社での営業、講師経験を経て、2005年、研修会社ラーンウェルを設立。2010年、仕事をしながら東京大学大学院へ進学。「経営学習論」の中原研究室に参加。新人の組織適応やOJTについて研究。2013年、学際情報学修士号取得。企業研修での専門分野は「教え方」(現場でのOJTや社内講師の養成)。NBSオンライン講座「部下後輩が育つ!上手な仕事の教え方入門」、ダイヤモンド社「研修開発ラボ」等を担当。
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(ラーンウェル 代表取締役 関根 雅泰)
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