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文化芸術創造拠点・京都プロジェクト 「KYOTO PROJECT START UP FORUM ~京都は耕す、育む、磨く~」開催。

PR TIMES / 2018年3月29日 10時1分

アート&サイエンスの新しい挑戦がスタート

 文化芸術創造拠点・京都プロジェクト実行委員会準備会では、「KYOTO PROJECT START  UP FORUM ~京都は耕す、育む、磨く~ 」を3月21日、ロームシアター京都・ノースホール(京都市左京区)にて開催いたしました。これは京都市が、平成29年度から5年間、芸・産学官連携による、文化芸術都市・京都の持続的な発展を目指す「文化芸術創造拠点・京都プロジェクト」のキックオフイベントとして「アート×サイエンス・テクノロジー」をテーマに、国内外の多様な専門家を招いた熱いトークイベントです。



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 文化芸術創造拠点・京都プロジェクト実行委員会準備会では、「KYOTO PROJECT START UP FORUM ~京都は耕す、育む、磨く~ 」を3月21日、ロームシアター京都・ノースホール(京都市左京区)にて開催いたしました。これは京都市が、平成29年度から5年間、芸・産学官連携による、文化芸術都市・京都の持続的な発展を目指す「文化芸術創造拠点・京都プロジェクト」のキックオフイベントとして「アート×サイエンス・テクノロジー」をテーマに、国内外の多様な専門家を招いた熱いトークイベントです。当日は、事前応募があった約200名が来場し、本プロジェクトに対する関心の高さがうかがえました。

 冒頭、平竹耕三京都市文化芸術政策監から「京都プロジェクト」の概要説明が行われた後、門川大作京都市長から「京都市では、あらゆる政策の中で文化芸術を大切にしている。文化で日本を元気にし、世界から尊敬されることを目指したい」との開会の挨拶がありました。
各登壇者の基調講演、プレゼンテーション及びトークセッション、パネルディスカッションの概要は別紙のとおりです。

※文化芸術創造拠点・京都プロジェクトとは
 京都市では、平成29年度から5年間、文化庁補助事業「先進的文化芸術創造活用プラットフォーム形成事業」を活用し、文化芸術都市・京都の持続的な発展を芸・産学官が連携して目指す「文化芸術創造拠点・京都プロジェクト」を展開していきます。文化芸術の新たな可能性と価値を世界に問う「アート×サイエンス・テクノロジー」がテーマの新しい形態のフェスティバルを中心に、京都の資源を生かしながら、文化創造を担う次世代人材の育成、国際的ネットワーク構築などに取り組んでいきます。

■基調講演:「京都が目指すアート&サイエンスの未来」
・京都大学総長/理学博士 山極 壽一

[画像2: https://prtimes.jp/i/32929/4/resize/d32929-4-587320-1.jpg ]

 アートがどのように人間に備わったのか、今日はそこから、アート&サイエンスの未来を考えていきたいと思います。アートが生まれるに至ったのには、3つの要件がありました。一つ目は「自己主張」、二つ目は「共感」、そして三つ目は「コミュニケーション」です。この3つの領域で、アート&サイエンスの未来を創っていくことが大切であると思います。
 ゴリラも自己表現をしますが、人間は、集団の中で共同して子育てしていくようになって、共感やコミュニケーションという行為を手に入れました。そうした行為が変化しつつ積み重なっていくことで、芸術や文化の根本になったのではないかと考えています。
 文化とは、遺伝によらない計画性の共有です。アートやサイエンスを伝え受け継いでいくためには、“言葉”というものが必要です。いわばアートとサイエンスの出発点は同じではないかと私は考えています。もともとサイエンスは効率性を追うので資本主義と相性がよいのですが、そこにアートを加えることで、新たな可能性の幅が広がるのではないかと思っています。
 この京都という場所は、アートとサイエンスを融合するのに、ちょうどいい規模感の街です。伝統として紡いできたものと外からやってくる刺激とを、京都人は昔からうまく融合させて、新たなものを創造し発信してきました。それは、このコミュニティの規模感だからできたことだと思うのです。
 これからの京都は、一人ひとりが生活デザイナーとして文化を発信して欲しいと思っています。それを外の人と共有することで、伝統に囚われない新たな文化を創造していくことができるでしょう。この京都で、未来の人たち、世界の人たちと共有すべき新たなカルチャーを共創していって欲しいと思います。

■プレゼンテーション&トークセッション1.:アート×サイエンスが社会にもたらすもの

【プレゼンテーション】
・サイエンスギャラリー・メルボルン/プログラム主任 ライアン・ジェフリーズ

[画像3: https://prtimes.jp/i/32929/4/resize/d32929-4-314588-2.jpg ]

 どのようにアートとサイエンスをつなげられるか、海外での事例を交えて説明していきます。
 もともと、アートとサイエンスは全く異なるものでした。それを一緒に考えるようになったのが、STEM教育(Science, Technology, Engineering and Mathematics)からSTEAM教育(Science, Technology, Engineering, Art and Mathematics)へという社会の動きです。
 現代におけるアート&サイエンスの取組の事例をいくつか紹介していきたいと思います。
 オーストラリアでは、アーティストに研究施設を提供することで、例えば、アーティストが自ら生体組織の培養ができる環境が整えられています。また、サイエンス領域の研究者がマウスの細胞を使ったレザージャケットというアート作品を制作したという事例などもあります。
 世界には数多くのサイエンスギャラリーがあり、そこではアートとサイエンスのインタラクティブな融合による様々な作品の制作及び展示があり、若者を刺激する施設になっています。この京都でも、このようなサイエンスギャラリーが展開できるチャンスがあるのではないかと思うのです。

【トークセッション1.】

[画像4: https://prtimes.jp/i/32929/4/resize/d32929-4-434561-3.jpg ]

[画像5: https://prtimes.jp/i/32929/4/resize/d32929-4-869413-4.jpg ]


                          ライアン氏のプレゼン後、メディエーターの田中氏のファシリテーションで、中谷氏とライアン氏との3名のトークセッションが始まりました。
 まず、ライアン氏のプレゼンを受ける形で中谷氏から、日本では、アート&サイエンスの人材教育を必要としているにも関わらず、STEM教育、STEAM教育どちらも認知が低いのではという問題提起が投げかけられました。それに対してライアン氏からは、アートとサイエンスが実は近いものであり、それぞれの視点を取り入れることにより、お互いの領域が広がっていくものである、という気づきを与えることが必要であるとの見解が述べられました。
 また、ライアン氏からは、京都はレベルが高い学生が集まっており、若いポテンシャルが多くあるからこそ、色々なチャンスが数多くある街なのではないかとのコメントがありました。
 中谷氏より、今後のアート&サイエンスのあり方について、「VR」を取り入れることで遠い地域とも一緒につながり共有できる次世代型のサイエンスギャラリーを考えてみてはどうかという意見に対して、ライアン氏から、人と人との新たなつながりはとても重要であるとの見解が述べられました。
[表1: https://prtimes.jp/data/corp/32929/table/4_1.jpg ]


■プレゼンテーション&トークセッション2.:なぜサイエンスがアートを求めるのか
【プレゼンテーション】
・物理学者(CERN(欧州素粒子物理学研究所)) マイケル・ドーザー

[画像6: https://prtimes.jp/i/32929/4/resize/d32929-4-309513-5.jpg ]

 私自身が所属しているCERNでの取組を通じて話していきたいと思います。
私は宇宙の成り立ちを研究しています。まだ解明されていない未知の部分ばかりです。
 CERNでは、多くの国から研究者が集い、日々研究に取り組んでいます。CERNは、若い世代が一番多いのですが、高齢の研究者もいて、彼らはお互いに研究を共有することでクリエイティビティを高め続けています。
我々の研究は、前例がなく失敗が付き物です。また、時間も長い間掛かるものばかりです。この点で、アートとサイエンスはとても似ているのです。
 2011年からCERNにおいてアートとの取組がスタートしました。アーティストがCERNに講演に来たり、アーティストとサイエンティストが共に活動したりといったような3つのプログラムがあります。このプログラムやアートとのコラボレーションにより、サイエンスにおいても時には、アートと同じように回り道や無駄な時間が必要だということに気づく研究者もいます。私自身、このような取組を発信していくことが必要であると考えています。

【トークセッション2.】

[画像7: https://prtimes.jp/i/32929/4/resize/d32929-4-463401-6.jpg ]

[画像8: https://prtimes.jp/i/32929/4/resize/d32929-4-332618-7.jpg ]



 マイケル氏のプレゼン後、メディエーターの田中氏のファシリテーションで磯部氏とマイケル氏、3名のトークセッションが始まりました。
 磯部氏からは、サイエンスでは答えを追求しがちだが、実は疑問や問いを持ち続けることが大切だと感じたとのコメントがありました。また、CERNの取組を、京都でのアート&サイエンスの取組に参考にするため、どうすればうまく行くか質問したところ、マイケル氏からは、重要なのは対話・コミュニケーションであり、アーティストとサイエンティストの対話を促すファシリテーターの役割が大きい、という回答がコメントされました。また、マイケル氏からは、アート&サイエンスが生み出す多くの出会いは、アートとサイエンスにおいて、お互いに本当に必要なものは何なのかを理解していくことであり、それは時にはアーティストがサイエンティストになる可能性もある、とのコメントもありました。
 また、CERNでは、コラボレーションの短期的・直接的な成果を求めないことが上手く行くポイントであるとのコメントもありました。アーティストをCERNに招くにあたり、目に見える成果を求めがちだが、それはかえって彼らのクリエイティビティを失わせることにつながってしまうので、アーティストを信頼し最大限の自由を与えることで、自然と成果は生まれてくるものであるというのがマイケル氏の見解でした。
[表2: https://prtimes.jp/data/corp/32929/table/4_2.jpg ]


【トークセッション3.】
 2つのプレゼンテーションおよびトークセッションが終了後、ライアン氏、中谷氏が再登壇し、登壇者全員によるトークセッションが始まりました。まずは、再度「なぜサイエンスがアートを求めるのか」についてトークが繰り広げられました
[画像9: https://prtimes.jp/i/32929/4/resize/d32929-4-275744-8.jpg ]

 “金平糖に角ができるのはなぜか”といった身近な現象からサイエンスに取り組む視点を得るために、アートとのコラボレーションが役立つのではないかというコメントや、世界を根源的に理解したいという動機や、社会とどう関わるかという問題意識に関して、サイエンティストとアーティストは共通している、といったコメントなど、登壇者全員がお互いに次々と意見を交し合うことでトークセッションは大いに盛り上がりました
 最後に、アート&サイエンスを通じて社会に人間性を取り戻すことが必要であり、その点では京都の可能性は大きいというコメントがあり、5人でのトークセッションは終了しました。

■パネルディスカッション
「未来へ向けた更なる文化の創造へ、京都からの発信 ~アート&サイエンスの観点から」

[画像10: https://prtimes.jp/i/32929/4/resize/d32929-4-915214-12.jpg ]

 パネリストそれぞれが、アーティストの視点、サイエンティストの視点から質問を投げ掛け合う形でパネルディスカッションはスタートしました。プロジェクト・コーディネーターの若林氏のファシリテーションで、パネルディスカッションから登壇した尾上氏、小泉氏、山本氏を中心に、多くの対話が行われるとともに、会場からの質問も多くいただくことで活発なパネルディスカッションとなりました。

[画像11: https://prtimes.jp/i/32929/4/resize/d32929-4-498223-11.jpg ]

 アーティストとサイエンティストは遠い存在だと思っていたが、自分自身の内面がふと外に現れ出てくるという点が共通しており、実は近いものであると気づいたとのコメントがアーティスト側から投げかけられました。サイエンティストがアーティストから受けるインスピレーションとは何かという質問に対して、アーティストと接することが、サイエンティストにとって新しい視点・発見を得るチャンスになっているというコメントがありました。普遍性を追求するサイエンティストにとって、多様性の重要さに気づくきっかけをアーティストが与えてくれるという点で、アートとサイエンスは相補的な関係にあるとの見解が述べられました。
 CERNやサイエンスギャラリーは、世の中や社会とどう関わっているのかという質問に対して、研究施設は社会から孤立しがちだが、CERNはアーティストとの交流で都市とのつながりが生まれており、都市とCERNふたつのコミュニティがひとつになってきている、サイエンスギャラリーはSTEAM教育の場として人が自由に出入りすることで、新たなコミュニケーションやマインドセットの場となっている、などといった具体的な事例を上げながらの回答がなされました。
 パネルディスカッションの最後は平竹氏から、「まずは京都にはなかった、アート&サイエンスの“器づくり”から始めていきたい。日本には、アートプロジェクトが数多くあるが、京都らしい取組にチャレンジしたい。過去からのメッセージを共有し、サイエンス・テクノロジーを活用して、耕し、育み、磨きあげるという、人づくりを中心とする京都ならではのプロジェクトを発信していきたい。」との発言で閉幕しました。


[表3: https://prtimes.jp/data/corp/32929/table/4_3.jpg ]


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