日鉄の石炭投資 今後数十年にわたりUSスチールの高水準GHG排出量を固定化
PR TIMES / 2024年8月31日 16時40分
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(C)︎Alamy.com/Satoshi Oga.
(東京、日本、2024年8月30日)日本製鉄が、米国ペンシルバニア州モンバレー製鉄所およびインディアナ州ゲイリー製鉄所での石炭を利用した鉄鋼生産への追加投資を行う意向を発表したことを受け、USスチール買収を確実にするための必死かつ危険な試みであるとし、国際気候団体スティールウォッチは以下の通り声明を出した(1)。
スティールウォッチ代表 キャロライン・アシュレイ
「炭素制約のある世界において、日本製鉄が石炭を利用した鉄鋼生産の延命を約束することで、重要な取引を成立させることができると考えていることは不可解である。米国では鉄鋼業界の脱炭素化競争が激化しており、同社の事業戦略において石炭を使わない製鉄技術に転換する用意があると示すことが重要だ。今回の発表は、日本製鉄がUSスチールの買収に成功した場合、数十年にわたり高排出ガス鉄鋼生産を固定化する計画であることを示している。
日本製鉄が開発を進めるCOURSE50やSuper COURSE50といった高炉の脱炭素化技術は、排出量をわずかに、また段階的に削減するだけの不適切な技術である。鉄鋼業界が1.5℃目標に沿った脱炭素化を達成するためには、あらゆる企業が、高炉の寿命を延ばすことなく廃止する必要がある。米国の意思決定者に対し、日本製鉄の戦略は、日米双方の製鉄を21世紀に導くという課題にそぐわないことが明確となった」
ゲイリー製鉄所第14高炉の処理能力は年間約250万トンである。スティールウォッチの計算によると、稼働率90%、寿命20年の場合、新高炉の耐用年数内の累積CO2排出量は1億トンCO2を超える(2)。
スティールウォッチは今年5月に発表した日本製鉄の気候変動対策評価で、同社が石炭への依存を倍増させていると指摘(3)。先週、日本製鉄がホワイトヘイブン社の豪州ブラックウォーター炭鉱の株式20%を購入すると発表、スティールウォッチは警鐘を鳴らした(4)。今回、条件付きで発表されたゲイリー製鉄所第14号高炉の耐用年数を最大20年延長するための3億ドルの投資は、日本製鉄がさらに石炭へと傾倒していること、また座礁資産リスクを考慮すれば、地球環境だけでなく同社の将来をも危険にさらしていることを示す。一方、米クリーブランド・クリフス社のような石炭を多用するライバル企業でさえ、米国政府の支援を受け水素対応の新しい製鉄生産に投資している(5)。
以上
注
- 日本製鉄の発表にはモンバレー製鉄所について「モンバレー製鉄所の競争力を強化」するための「少なくとも10億ドルの投資」が含まれる。さらに同社はゲイリー製鉄所第14号高炉を約3億ドルで「改修」する意向だ。同社自身の言葉を借りれば、この再整備後、「今後さらに20年程度、設備の稼働が延長されると期待」される。
- Global Energy Monitor data に基づき、平均炭素原単位は粗鋼1トン当たり2.3トンCO2 である。(Worldsteel)
- スティールウォッチ『あまりに遅く、不十分:日本製鉄の気候変動対策の検証』(2024年5月31日)
- スティールウォッチ「日鉄、豪州ブラックウォーター炭鉱へ投資 脱炭素取り組みを脅かす」(2024年8月22日)
- プレスリリース(英語) “Cleveland-Cliffs Selected to Receive $575 Million in US Department of Energy Investments for Two Projects to Accelerate Industrial Decarbonization Technologies.” (2024年3月25日)
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