株式会社PITTAN、大阪大学大学院基礎工学研究科と老化・炎症メカニズム解明のための3次元培養表皮モデルを用いた共同研究を開始
PR TIMES / 2025年1月14日 16時15分
-汗中の抗炎症物質や老化関連因子の分析により、運動効果や老化の新たな評価手法の確立を目指す-
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微量の汗分析から体内の栄養状態を可視化する株式会社PITTAN(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:辻本 和也、以下PITTAN)と、細胞老化メカニズムの研究を行う大阪大学大学院基礎工学研究科(本部:大阪府豊中市、研究責任者:出口 真次 教授、以下大阪大学)は、共同研究開発契約を締結しました。本研究では、3次元培養表皮モデルを用いて、老化や運動に関連する因子の分析を行い、非侵襲的な健康評価手法の確立を目指します。
目的/意義
本共同研究では、老化に伴う皮膚組織からの分泌物質の変化を解明し、汗を通じた老化評価手法の確立を目指します。さらに、運動時に筋肉から分泌されるマイオカインの汗中での検出手法を開発し、その健康増進効果の評価を行います。これらの研究により、簡便な汗分析から得られる健康情報の幅を大きく広げ、予防医療への貢献を目指します。
背景
運動時に筋肉から分泌されるマイオカインは、抗炎症作用や代謝調節作用を持つことが知られており、健康増進における重要な役割を果たしています。特に、IL-6やIL-15などのマイオカインは、筋力トレーニングによって産生が促進され、全身の代謝機能を改善することが報告されています。しかし、これらのマイオカインの分泌動態や、その測定には主に採血による評価が必要とされており、日常生活の中でその効果をリアルタイムに測定し、健康状態の管理や運動の効果を適切に評価する上で、簡便な評価手法の開発が課題となっていました。
また、細胞の老化に関する研究において、PAI-1(プラスミノーゲン活性化抑制因子-1)は重要な老化関連因子として知られています。出口教授らの研究グループは、ヒト線維芽細胞のアクチン細胞骨格構造に対するプロテオーム網羅解析により、63種類の老化関連遺伝子を同定し、そのなかの一つであるPAI-1を含め老化を調節する分子メカニズムの解明を進めてきました(Liu et al., Molecular Biology of the Cell 33, 2022)。しかし、これらの因子が皮膚組織を介してどのように汗中に分泌されるのか、そのメカニズムについては未だ解明されていません。
これまでの研究では、汗中の成分分析による疾病スクリーニングの可能性が示唆されていましたが、汗という希薄な体液からの成分分析が技術的な課題となり、産業としての社会実装には至っていません。特に、マイオカインや老化関連因子などの微量タンパク質の検出は困難とされてきました。PITTANは独自の微量分子分析技術により、従来検出が困難であった汗中の微量成分を高感度で検出することを可能にし、既にエステサロンやフィットネス事業者向けにサービスを展開しています。
本共同研究では、PITTANの持つ微量分子分析技術と、大阪大学が有する3次元培養表皮モデルでの研究実績を組み合わせることで、これらの課題に取り組みます。具体的には、J-TECのEPI-MODELを用いて老化に伴う表皮からの分子産生を解析し、さらにskin-on-a-chipモデルを用いて炎症応答時の分泌物質の変化を調べることで、汗中成分による健康評価の新たな可能性を探ります。
研究内容
本研究では、J-TECのEPI-MODELおよびRevivo社のskin on chipという2種類の3次元培養表皮モデルを使用します。これらのモデルを用いて、老化関連因子であるPAI-1などの分子の発現を制御することで、異なる老化段階の皮膚モデルを作製します。作製したモデルについて、プロテオーム解析による老化関連分泌物質の同定や、免疫沈降実験による分子メカニズムの解明を行います。
また、サイトカイン刺激や温度変化、機械的刺激などを用いて炎症応答を解析します。特に温度変化による実験では、通常の37度から42度程度まで30分程度温度を上昇させ、ヒートショックタンパク質の活性化による炎症促進状態を再現します。さらに、運動時に筋肉から分泌されるマイオカインについて、汗中での検出手法の確立を目指します。
期待される成果
本研究により、汗という非侵襲的な生体試料から、老化状態や運動による健康増進効果を評価できる新たな手法の確立が期待されます。また、3次元培養表皮モデルを用いることで、より生体に近い条件での解析が可能となり、研究成果の実用化への道筋が開けます。これらの成果は、予防医療の新しいアプローチとなることが期待されます。
株式会社PITTAN CEO辻本のコメント
健康とは、自分らしい生き方を実現するための力だと考えています。仕事で成果を上げたい、体力を維持したい、世界を旅したい──人それぞれ異なる価値観に基づき、健康の形も多様です。本研究では、大阪大学との共同研究を通じて、汗を用いた非侵襲的な老化や運動効果の評価手法を確立し、それにより個々の生き方に合った選択肢を見つける手助けができると期待しています。この技術が、より多くの方々に自分の体を深く理解する機会を提供し、日々の生活の中で最適な選択を支える基盤となることを目指しています。
大阪大学 出口教授コメント
これまでの研究により、ヒト線維芽細胞が老化する過程で若い細胞と比較してアクチン細胞骨格修飾タンパク質の発現に顕著な変化が生じることを明らかにしてきました。現在、これらのタンパク質や炎症促進分子がどのように皮膚細胞から分泌され、皮膚組織を経て汗中で検出されるのか、その詳細なメカニズムの解明に取り組んでいます。本共同研究では汗中成分の分析を基盤とした健康状態評価の生物学的基盤を構築し、健康評価や予防医療のさらなる発展に貢献することを目指しています。
PITTANについて
PITTANは、「Lifelong Positivity~生きるを、楽しみきる~」をビジョンに掲げ、革新的な非侵襲の汗中成分分析技術を通じて、人々がポジティブな人生を送り続けることをサポートするスタートアップです。
「いつでも、どこでも、誰にでも」をコンセプトに、非侵襲で気軽なサービス設計にすることで、より多くの方が定期的に精度の高い健康状態モニタリングが可能となり、日々の生活の中で、結果に応じた行動変容を促し、一人一人が豊かになることを目指しています。
郵送モデルでの分析サービスは既にリリースをしており、スキンケアブランド・エステ・フィットネスジムでの採用が進んでいます。今後、ポータブル機の開発を加速し、その場15分以内での分析結果の提供を可能にし、より多くの方に体液分析を身近に感じて頂けるサービスにして参ります。
PITTANウェブサイトURL:https://www.pittan.life/
【問い合わせ先】
PITTANの事業に関する問い合わせ先
株式会社PITTAN
info@pittan.co.jp
本プレスリリースに関する報道機関からの問い合わせ
PITTAN パブリックリレーションズ担当(株式会社日本パブリックリレーションズ研究所)
pittan@japan-pri.jp
大阪大学 基礎工学研究科 庶務係
ki-syomu@office.osaka-u.ac.jp
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