昭和から令和を過ごした建築【国立代々木競技場】
PR TIMES / 2024年4月4日 10時41分
株式会社久米設計(本社所在地:東京都江東区潮見2-1-22)は、当社が改修設計した「国立代々木競技場」が第33回BELCA賞ベストリフォーム部門に選出されたことをお知らせします。
国立代々木競技場は1964年に建築家・丹下健三氏らにより設計された吊り構造により屋根を支える象徴的な外観と柱のない壮大内部空間により、国内外から高く評価されている建築です。株式会社久米設計は株式会社丹下都市建築設計と株式会社川口衛構造設計事務所と協働し、耐震改修だけでなく、安全性向上と機能性向上も含めた改修設計を行いました。所有者である日本スポーツ振興センター、協働設計者、改修施工者の清水建設、大林組、三機工業とともに、BELCA賞を受賞しました。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/123454/13/123454-13-8e8b2e047d49bb1f685950222a75e7b8-2880x1920.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
BELCA賞とは
ビルのロングライフ化に寄与することを目的として設けられた、既存建築物に対する表彰制度です。長期にわたって適切な維持保全をしたり、優れた改修を実施した既存の建築物について、ロングライフ・ベストリフォームの2部門を設け、特に優秀なものを選考委員会にて審議して選び、その関係者を表彰します。
■ベストリフォーム部門
社会的・物理的な状況の変化に対応して、今後の長期使用のビジョンを持って、蘇生させる、もしくは飛躍的な価値向上等をさせるリフォームがなされた模範的な建築物
https://www.belca.or.jp/belca4.htm
【設計者コメント】
代々木競技場は吊屋根を用いた構造と巴形の平面が融合した丹下健三先生による日本のモダニズム建築を代表するマスターピースです。1964年東京オリンピック時には屋内プールであった第一体育館をアリーナに改修するなど、幾度もの改修を経ながら市民に愛されてきました。竣工から50年以上が経過し、耐震性や安全性が課題となるなか、東京2020オリンピック・パラリンピックでの競技会場利用が決まったタイミングで改修設計に参画することは設計組織として大変な栄誉であり、また、大きな責任を伴うチャレンジとなりました。耐震改修に当たっては、川口衞構造設計事務所による基本計画を引継ぎ、意匠を変えないことをコンセプトとしました。バリアフリー化などによって、どうしても必要な意匠変更に当たっては、日本スポーツ振興センターを中心に藤岡洋保東京工業大学名誉教授、内閣官房、文部科学省、文化庁、スポーツ庁の指導助言を受ける体制を取りました。改修施工に当たった清水建設と大林組は1964年時の施工者でもあり、3D測量による擁壁や3次曲面内装の再現、アリーナ天井の試験体による振動台試験などの技術支援を含めて、高品質な工事を実現しました。今回のBELCA賞受賞はこのような多くの関係者のご尽力が結集したものです。設計共同体のパートナーであり、長きに渡り設計者として代々木競技場に携わってこられた丹下都市建築設計の方々には、感謝の念に堪えません。皆様、ありがとうございました。
【建築概要】
名称:国立代々木競技場
所在地:東京都渋谷区神南2丁目1-1
建築主:独立行政法人日本スポーツ振興センター
設計者:丹下・久米設計共同体 川口衛構造設計事務所
施工者:第一体育館 清水建設/第二体育館 大林組・清水建設
延床面積:40,841.42平方メートル
階数:地上2階地下2階
構造:RC一部S造
竣工:1964年/改修:2020年
受賞:BELCA賞(ベストリフォーム部門)/DOCOMOMO Rehabilitation Award/耐震改修優秀建築賞
【設計コンセプト】
見えないところで補強する、マスターピースの意匠保全
歴史的建築の耐震改修に当たり、利用者の視界内での補強をなくすことを方針としました。第一第二体育館とも時刻歴応答解析を用い屋根面も含めた構造体全体での評価を行いました。両棟とも下部構造への耐震壁の増設増厚と杭増設、屋根鉄骨部材のプレート補強や座屈に対する補強等を行うことで、スタンドの柱など、視界内での補強をなくしています。
非構造部材の改修として、支持材の工夫により既存材を生かすアリーナ天井脱落防止、80mm厚スラブへの炭素繊維シート補強等を行いました。岡本太郎氏他による多数の壁画はRC壁の増厚、コンクリートブロック壁への差し筋補強や炭素繊維シート補強により保全しました。安全性向上として、手摺の追加、車椅子席の追加、スロープ追加、舗石平滑化等のバリアフリー化を行い、災害時に利用可能なトイレの採用など地域のレジリエンスにも配慮しました。
過去の改修で変えられた部位を竣工時のイメージに戻すなど、オリジナルへの敬意を持って、マスターピースの意匠保全に努めました。改修後の2021年8月に意匠的にも技術的にも秀でた戦後モダニズム建築として重要文化財の指定を受けています。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/123454/13/123454-13-af3f5e1a637b51c565e9e3cf91d3aaf9-2880x1920.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/123454/13/123454-13-853240d449bca10bf0906d5636158324-2880x1920.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
【会社概要】
株式会社久米設計
「豊かさ」を拓く。私たちは「豊かさ」とは何かを真剣に考える多様な個性の集合体です。地域・人を大切に、未来を見据えた新たな価値を創造していきます。
1932年の創設以来、数多くの都市、建築の設計を手掛けてきました。技術とデザインの融合を追求し、人と社会への貢献を目指す企業です。本社を東京都江東区潮見に構え、社員数約650名(約450名の資格を有する専門家)を擁し、国内外の幅広いプロジェクトに取り組んでおります。持続可能な社会の実現へ、技術とデザインで貢献してまいります。
URL:https://www.kumesekkei.co.jp/
所在地:東京都江東区潮見2-1-22
代表取締役社長 藤澤進
【久米設計Instagram】
https://www.instagram.com/kumesekkei/
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