持続可能な農業”放牧”から学ぶ ~ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト WEBセミナー「放牧酪農オンラインセミナー 2024年春 」 実施レポート公開~
PR TIMES / 2024年4月16日 10時45分
2024年4月8日 ニュージーランド政府、フォンテラジャパン株式会社、ファームエイジ株式会社が主体となるニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトにて、放牧酪農に関するWEBセミナー「放牧酪農オンラインセミナー 2024年春 」を開催致しました。当日は酪農家、関係団体など、北海道のみならず全国から60名程の方にご参加いただきました。今回のセミナーでは、放牧による環境対策の推進国ニュージーランドの酪農事例と北海道の放牧酪農家2名をゲストにお招きし、
(1)NZ放牧管理技術と環境推進の紹介(2)持続可能な北海道酪農は? という2つのテーマで、皆様からの質問に答えながら、ディスカッションを行いました。参加者からも多くの質問が寄せられ、充実したセミナーとなりました。
1.丸藤牧場の取組
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北海道の中川町にある丸藤牧場の丸藤 英介氏から、持続可能な酪農経営における取り組みについて説明いただきました。丸藤さんは酪農を始めた理由として、持続可能性の高い酪農の実現という使命感を持っていらっしゃいます。放牧酪農のメリットとして、低コストで効率的な牛の飼料供給、外部要因に左右されず経済的・物理的効率が高い点などが強調されていました。さらに、牛と人の健康にも配慮しています。放牧草の成長を考慮し、乳牛の繁殖能力と飼料の栄養価を重視しています。土壌改良や肥料の適切な利用も重要であり、季節を通じた放牧草の観察を重視しています。
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経営面でも10年後までの経営計画を見据えています。経営計画のシミュレーションでは、預金がマイナスにならないよう注意しており、投資や経営タイミングを決定する際にキャッシュフローを重視しています。同時に家族の幸せも重視し、子供たちに楽しいプライベートを提供することで、将来の農業参入を促しています。牧場の環境整備や景観の魅力も重視されており、地域の条件に合わせた独自の放牧システムの構築を意識されています。
2.アンドリューハーディー氏(NZ酪農家)の取組
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搾乳頭数700頭の牧場を従業員5名で経営しています。
牛の育成では、生後5~6週間まで一日一頭あたり5リットルのミルクを与え、その後5~6週間後には屋外に移し、離乳時の体重目標は約90kgです。ペンの中で飼養するときも衛生管理のために牛を順に移動させ、衛生的な管理を行っています。また、牧草管理では放牧草の品質とエネルギーを最大限に活用するためにローテーションを行い、季節に応じて放牧期間を柔軟に変更させます。
農場では河川や水場の周りにフェンスを、家畜が入らないように設置し、さらに地域の人々が楽しめる環境を整えています。環境保護の規制もあり、牧場主は環境活動を行うためにライセンスを取得しています。牧場主は効率的な経営を目指し、牧場の設備や管理を改善し、データ収集や経営計画の策定に取り組んでいます。
牧場主はニュージーランドの技術を理解し、収益を確保しながら、持続可能な酪農経営を行っています。しかし、技術の普及や他の農家への伝達が難しい場合もあります。
3.高原農場の取組
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高原氏は、トヨタ自動車の工場でエンジンを製造する機械加工ラインで12年間勤めた後、自身の牧場での経営に取り組んでいます。経営学や事業計画の勉強を通じて、黒字化や機械設備の更新などを進めてきました。ニュージーランド・北海道酪農協力プロジェクトに参加し、様々なデータを収集し、計画的な経営を行っています。労働時間や所得の計画にも取り組んでおり、トヨタ自動車で学んだ改善の手法を農業に活かしています。
4.NZにおける持続可能な酪農とは
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ニュージーランドの農業では、共同組合が生産向上を目指して活動しています。ディスカッショングループは毎月異なる農場をモニタリングし、さまざまな管理や話題を議論します。DailyNZが運営するグループでは、明確な目的を持ち、ファシリテーターが運営を担当します。参加者は情報を共有し、各農場の費用や収益、牛の状態などを比較して全体の向上を図ります。コンサルタントの役割は重要で、地域だけでなく他の地域や国の事例を共有することで、新たな視点やアイデアを得て収益向上につなげます。ディスカッショングループでは、異なる立場や状況からの情報共有が重視されます。ICTは使われていませんが、デジタルテクノロジーは土地の価値がある場合にのみ使用され、草の成長をモニタリングし、ローテーションを計画することが重要視されます。持続可能な農業を実現するためには、利益を上げ、経済を持続させる必要があります。
5.セミナーの感想から
持続可能な酪農経営を考えるうえで、酪農を単なる農業としてではなく、ビジネスとして捉え、経営意識を持つことが重要であることが強調されています。また、実際に行動を起こすことの重要性も強調されています。
NZの酪農業界では環境配慮の重要性が指摘され、特に放牧管理や環境整備が数値化され、海外事例を通じて学ぶことが示唆されました。また、牧場主の合理的な経営手法やコスト-プロフィットの意識、草地・家畜の管理の重要性が強調されました。こうしたことは、同時に自身の意識改革につながることも強調されました。放牧酪農の普及を促進するためには技術の普及や消費者への情報発信、酪農家の経営教育が必要であり、オンラインイベントの利便性や発展の余地も評価されました。今後のセミナーの改善や発展に期待が寄せられました。
・次回の開催について
日程が確定次第、HP、SNS上などでご案内差し上げます。
また、記事についてご不明点などございましたら、以下の問合せ先までご連絡ください。
・ファームエイジとは?
持続可能な農業「放牧」を普及するため、35年以上にわたって活動する「放牧の専門家集団」。放牧のためのフェンス、牧道などの全体設計、販売から「グラスファーミングスクール」及び放牧セミナーの企画に至るまで、コンサルティングも含めた放牧に関する総合ソリューションを展開。
ウェブサイト:https://farmage.co.jp/
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